第33回国試が終わり,第34回国試に向けてのカウントダウンが始まりました。
第34回国試を受験する人の多くは,この時期にはまだスタートを切っていないはずです。
第33回国試問題の解説はしません。なせなら,直近の国試から2年連続して出題されるものは少ないからです。
特に一見さんが,続けて出題されることはないからです。第33回国試の解説をするのは,3年後ということになるでしょう。
今回の国試の問題の傾向としては,全部入れ替え作問法というラクラク作問法が多くみられたことです。
第33回・問題10 社会的関係において生じる現象に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 初対面の人の職業によって,一定のイメージを抱いてしまうことを,同調という。
2 相手に能力があると期待すると,実際に期待どおりになっていくことを,ハロー効果という。
3 頻繁に接触する人に対して,好意を持ちやすくなることを,単純接触効果という。
4 外見が良いことによって,能力や性格など他の特性も高評価を下しやすくなることを,ピグマリオン効果という。
5 集団の多数の人が同じ意見を主張すると,自分の意見を多数派の意見に合わせて変えてしまうことを,ステレオタイプという。
これが全部入れ替え作問法の例です。
試験委員にとって最も難しいのは,間違い選択肢をうまくつくることです。
全部入れ替え作問法は,はっきり言えば手抜きです。
この問題を正しいものにすれば,以下のようになります。
・初対面の人の職業によって,一定のイメージを抱いてしまうことを,ステレオタイプという。
・相手に能力があると期待すると,実際に期待どおりになっていくことを,ピグマリオン効果という。
・頻繁に接触する人に対して,好意を持ちやすくなることを,単純接触効果という。 → これが正解
・外見が良いことによって,能力や性格など他の特性も高評価を下しやすくなることを,ハロー効果という。
・集団の多数の人が同じ意見を主張すると,自分の意見を多数派の意見に合わせて変えてしまうことを,同調という。
全部入れ替え作問法は,試験委員にとってはラクラク作問法ですが,国試にとって,本当は適切ではないものだと思います。
なぜなら,一つ手がかりがあると,芋づる式に答えが見つかる可能性があるからです。
つまり,全部入れ替え作問法だと気づくことが何よりも大切だと言えるでしょう。
知恵を働かせることは社会福祉士に必要なので,こういったところに気づくというのも必要なスキルなのかもしれません。
しかし,問題づくりで言えば,全部入れ替え作問法は手抜きだと思っています。
今までほとんど見られなかったものですが,第32回に突然増えました。
第32回国試の試験委員は3分の2もメンバーが入れ替わったので,問題づくりに慣れてななかったからだろう,と思っていました。
第33回国試は,試験委員の入れ替えがほとんどなかったのにもかかわらず,この作問法が見られたのは,解禁されたと思ってよいのだと思います。
過去問を解く意味は,どのように問題が作られているのかを知って,得点力を高めるためにあります。
2年連続して出題されるものはほとんどないのにもかかわらず,過去問を解くのは,こういったことを体に身につけることだと言えるでしょう。
第34回国家試験は,第33回国家試験の延長線上にあります。
現時点では,第33回国家試験のボーダーラインがどうなるのかは誰も分かりません。
そのため,自己採点でボーダーラインぎりぎりだったという人は,合格発表までドキドキの毎日を送ることになるでしょう。
できれば余裕がある点数を取りたいものです。