2021年2月19日金曜日

グループワーク~集団を活用した援助技術

社会福祉士の国家試験は,第22回にカリキュラムが変わり,第37回でまた新しいカリキュラムになります。


大学で最も早く新しいカリキュラムに変わり,その学生が卒業する時に,新しいカリキュラムでの国家試験に移行します。


いよいよ科目にソーシャルワークという名称が入ります。資格創設から30年以上かかって,ようやくです。


ソーシャルワークは,以下のように分かれます。

①ケースワーク

②グループワーク

③コミュニティワーク


今回は,そのうちグループワークを取り上げます。


グループワークは,集団を活用した援助技術です。


この視点を忘れてはなりません。


第28回・問題115 事例を読んで,グループワークにおけるMソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)の対応について,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 総合病院の精神科病棟でMソーシャルワーカーは,退院支援の一環としてグループワークを活用した社会生活技能訓練(SST)を行っている。退院後に症状が再発したときに備えて,どんなときに体調不良になるのかをグループで話し合っていたとき,メンバーのAさんが,唐突に「どうせ,そんなこと考えてもしょうがない。悪くなるときは悪くなるんだから」とぶっきらぼうに言った。それを聞いたメンバーのBさんは,「お前みたいなやる気がない奴は居ても仕方ない。出て行けよ」と冷たく言った。Aさんは怒りの表情でBさんをにらみつけた。

1 「Bさん,そんなふうに言わないで,みんな仲良くしましょう」

2 「Aさん,同じことを言ってた人が前にいたけど,グループで変わりましたよ」

3 「二人とも,気が済むまで話してください」

4 「お二人それぞれ思いがあるんですよね」

5 「Aさん,無理にグループに参加しなくてもいいですよ」


グループワークの作業期では,メンバー間の葛藤やぶつかり合いが現れることがあります。


これを避けてはなりません。というか,それを活用するするのがグループワークです。


避けているのは,


1 「Bさん,そんなふうに言わないで,みんな仲良くしましょう」

5 「Aさん,無理にグループに参加しなくてもいいですよ」


これらは絶対に正解になりません。


2 「Aさん,同じことを言ってた人が前にいたけど,グループで変わりましたよ」


これは一般化している返しです。グループワークであっても,個別化の原則は貫かれます。


3 「二人とも,気が済むまで話してください」


これは一見よさそうな対応だと思う人もいるでしょう。

しかし,これも絶対に正解になりません。


なぜなら「気が済むまで話してください」では,グループワーカーの役割を放棄していますし,「気が済むまで」と言っていますが,気が済まなければどうするのでしょう?

先を見通せない,つまり戦略のない対応は,その場しのぎでしかありません。


4 「お二人それぞれ思いがあるんですよね」


これが正解です。

葛藤が起きていることを受け止めて,リフレーミングの技法を使って返しています。


争っていることを「それぞれの思いがあるからだ」と発想を変えています。

このように見方を変えることをリフレーミングと言います。


とても素敵な返しだと思いませんか?


<今日の一言>


グループワークは,集団を活用した援助技術です。

できるグループワーカーは,葛藤が生まれてきたら,うろたえるどころか,「やったー」と思うでしょう。

葛藤は,グループが成長するきっかけとなるからです。

それにもかかわらず,国家試験では「葛藤が起きないようにする」といったような内容で出題されます。

こういったタイプのものは,当然ですがすべて誤りです。

集団を活用しないのなら,ケースワークで良いということになってしまいます。

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