社会福祉士の国家試験では,記録形式について出題されます。しかも出題頻度がかなり高いものです。
現場に入ったら,自然と覚えるものなので,国家試験でわざわざ出題する必要もないように思いますが,正しい知識を持つことは,受験者を選別できるので,国家試験としては適切なのかもしれません。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題117 記録の形式と文体に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 エバリュエーションシートにはソーシャルワーカーとクライエントとの相互作用が時系列に記録される。
2 フェイスシートにはアセスメント結果,目標,計画が一覧で示される。
3 問題志向型記録では,問題ごとにS(主観的情報),O(客観的情報),A(アセスメント),P(計画)の項目に沿って記述する。
4 逐語体は会話の一語一句を聞き取ってその要点をまとめて箇条書きにしたものである。
5 説明体は,事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。
この時の国家試験を受験した人は,「何この問題」と思ったことでしょう。
国家試験は,一定数は必ずこういった問題を混ぜて出題します。
しかし,まったく手が出ない問題ではありません。
重要なことは,このような問題であっても焦ることなく,知っている知識を総動員して考えることです。
それでは,解説です。
1 エバリュエーションシートにはソーシャルワーカーとクライエントとの相互作用が時系列に記録される。
エバリュエーションシートは,知らなくても,エバリュエーションは知っているでしょう。
そうです。
エバリュエーションは,「支援の評価」です。
エバリュエーションシートは,支援の評価を記入する記録用紙です。
2 フェイスシートにはアセスメント結果,目標,計画が一覧で示される。
フェイスシートは,クライエントの基礎情報の記録用紙です。
3 問題志向型記録では,問題ごとにS(主観的情報),O(客観的情報),A(アセスメント),P(計画)の項目に沿って記述する。
これが最も難関のものでしょう。しかし,これが正解です。そのためにこの問題の難易度は高くなります。
問題志向型記録は,POS(Problem
Oriented System=問題志向型)に基づいて,記録するものです。
S(客観的情報) → クライエントの主訴など O(客観的データ) → 血圧,体温など A(アセスメント) → SとOから考えられること P(プランニング) → 支援計画 |
これらの項目に沿って,記録していきます。
余談ですが,POSを日本に紹介したのは,『生き方上手』で知られる聖路加国際病院の元・理事長の故・日野原重明先生です。
これは国家試験には出題されないので,覚える必要はありません。
4 逐語体は会話の一語一句を聞き取ってその要点をまとめて箇条書きにしたものである。
逐語体は,会話をすべて書き取るものです。
5 説明体は,事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。
説明体は,クライエントの説明を記述するものではなく,事実についてのワーカーの解釈などを記述するものです。