2021年2月12日金曜日

社会福祉士の国家試験の合格率

社会福祉士の国家試験の合格率を見てみると,高い年でも30%ちょっとです。


第30回国試は,いわゆるボーダーラインを99点に挙げてまで,この合格率を死守しました。


ボーダーラインが問題の難易度によって上下するのは致し方ありませんが,受験生にとっては,迷惑な話です。


ボーダーラインが固定されていれば受験生は安心できるのかもしれませんが,そうなると年度間の公平さに欠けてしまいます。

毎年同じような難易度の問題をつくるのは,実はとても難しいものです。


ボーダーラインがどのようになってもびくともしない点数を取りたいものです。


さて,しばらく今日の問題を休んでいましたが,今回から再開します。


改めてどうぞよろしくお願いします。


それでは早速今日の問題です。


第28回・問題109 事例を読んで,この場面でのF医療ソーシャルワーカーの面接の在り方として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Gさん(45歳,男性)は,一人暮らしをしていた。糖尿病があり,通院しているが,主治医や看護師の指示にもかかわらず,服薬や栄養,運動などの生活に問題があった。

 病状が進行し腎障害と糖尿病性網膜症があり,人工透析が必要となった。失明の可能性もあることから,入院・治療を行うこととなり,1週間前に入院した。

 入院当初から,同室の他の入院患者との折り合いが悪く,また,先日,見舞いに来た職場の上司に対して,大声で苛立った話し方をするなどの状況が見られたため,F医療ソーシャルワーカーが面接を行うこととなった。

1 これまでの生活の自己管理の失敗を反省させる。

2 失明状態に備えて,身体障害者手帳を申請するように説得する。

3 問題の原因が服薬管理にあると考え,指導的な働きかけを行う。

4 Gさんの病気と現在の状況に共感し今の課題について話し合う。

5 Gさんの退院後の生活に向けた話合いをする。


相談援助の理論と方法は,例年は21問出題されています。


事例があるので,点数が取りやすいと思って勉強をしないと痛い目に遭います。


正解できて当然であり,ミスすることは命取りになります。


この問題の場合,選択肢1~3は消去できるでしょう。

最も不適切なものは,選択肢2の「説得する」です。

「説得する」はソーシャルワークにはありません。

自己決定できるように,クライエントの側面すら支援するのがソーシャルワークです。


残るのは,


4 Gさんの病気と現在の状況に共感し今の課題について話し合う。

5 Gさんの退院後の生活に向けた話合いをする。


正解は,選択肢4ですが,選択肢5が正解にならないのは「この場面」では不適切だからです。


「選択肢5は間違いなのですか」と聞かれると「不適切ではありません。しかし最も適切なものではありません」と答えるでしょう。


この問題は「この場面で最も適切なもの」を選ぶものです。


この前提を忘れるとミスする原因です。

選択肢4は,障害を負ったGさんの心に寄り添っているため,最も適切だと言えます。

心理的支援を忘れたソーシャルワーカーは,ワーカー失格だと言えるでしょう。

初回面接は,特別なものです。ラポールの形成に努めることが大切です。

最新の記事

ソーシャルワーク4科目で合格をつかむ

ソーシャルワーク系の4科目は,社会福祉士になるためにはとても重要な科目です。 今日は,そのうちの共通科目の「ソーシャルワークの基盤と専門職」です。 少し難しいかもしれませんが,しっかり覚えれば点数を稼ぐ科目になります。 それでは,今日の問題です。 第26回・問題91  2007年...

過去一週間でよく読まれている記事