社会福祉士の国家試験の合格率を見てみると,高い年でも30%ちょっとでした。
しかし,今はその制約がなくなったようで,受験生の実力によって合格できるようになりました。
本当に良かったと思います。
さて,しばらく今日の問題を休んでいましたが,今回から再開します。
改めてどうぞよろしくお願いします。
それでは早速今日の問題です。
第28回・問題109 事例を読んで,この場面でのF医療ソーシャルワーカーの面接の在り方として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gさん(45歳,男性)は,一人暮らしをしていた。糖尿病があり,通院しているが,主治医や看護師の指示にもかかわらず,服薬や栄養,運動などの生活に問題があった。
病状が進行し腎障害と糖尿病性網膜症があり,人工透析が必要となった。失明の可能性もあることから,入院・治療を行うこととなり,1週間前に入院した。
入院当初から,同室の他の入院患者との折り合いが悪く,また,先日,見舞いに来た職場の上司に対して,大声で苛立った話し方をするなどの状況が見られたため,F医療ソーシャルワーカーが面接を行うこととなった。
1 これまでの生活の自己管理の失敗を反省させる。
2 失明状態に備えて,身体障害者手帳を申請するように説得する。
3 問題の原因が服薬管理にあると考え,指導的な働きかけを行う。
4 Gさんの病気と現在の状況に共感し今の課題について話し合う。
5 Gさんの退院後の生活に向けた話合いをする。
ソーシャルワークの理論と方法(専門)は,9問出題されます。
事例があるので,点数が取りやすいと思って勉強をしないと痛い目に遭います。
正解できて当然であり,ミスすることは命取りになります。
この問題の場合,選択肢1~3は消去できるでしょう。
最も不適切なものは,選択肢2の「説得する」です。
「説得する」はソーシャルワークにはありません。
自己決定できるように,クライエントの側面すら支援するのがソーシャルワークです。
残るのは,
4 Gさんの病気と現在の状況に共感し今の課題について話し合う。
5 Gさんの退院後の生活に向けた話合いをする。
正解は,選択肢4ですが,選択肢5が正解にならないのは「この場面」では不適切だからです。
「選択肢5は間違いなのですか」と聞かれると「不適切ではありません。しかし最も適切なものではありません」と答えるでしょう。
この問題は「この場面で最も適切なもの」を選ぶものです。
この前提を忘れるとミスする原因です。
選択肢4は,障害を負ったGさんの心に寄り添っているため,最も適切だと言えます。
心理的支援を忘れたソーシャルワーカーは,ワーカー失格だと言えるでしょう。
初回面接は,特別なものです。ラポールの形成に努めることが大切です。