2022年6月28日火曜日

国家試験に合格する勉強法

国家試験は,第22~36回は,平成19年度カリキュラム改正の内容です。


第37回国家試験からは,令和元年度カリキュラム改正の内容になります。


丸暗記型勉強にとどまり,理解レベルになっていないと今まで以上に苦戦することが予測されます。


知識があれば解ける問題は減り,知識があることを前提に,思考して問題を解くタイプの問題が増えます。


知識があれば解ける問題のタイプをタクソノミーⅠ型と言います。


知識があることを前提に,思考して問題を解く問題のタイプをタクソノミーⅡ型と言います。


型知識があることを前提に,2回思考して問題を解くタイプをタクソノミーⅢ型と言います。


第37回国家試験からは,現在主流のタクソノミーⅠ型が減り,タクソノミーⅡ型・Ⅲ型が増えることになっていますが,第35回から少しずつ移行していきます。


つまり今後受験する受験生にとって,タクソノミーⅡ型の問題に対応できる実力がもとめられます。


〈タクソノミーⅡ型の問題例①〉


第33回・問題21 次のうち,マートン(Merton,R.K.)が指摘したアノミーに関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ある現象が解決されるべき問題とみなす人々の営みを通じて紡ぎ出される社会状態を指す。

2 下位文化集団における他者との相互行為を通じて逸脱文化が学習されていく社会状態を指す。

3 文化的目標とそれを達成するための制度的手段との不統合によって社会規範が弱まっている社会状態を指す。

4 他者あるいは自らなどによってある人々や行為に対してレッテルを貼ることで逸脱が生み出されている社会状態を指す。

5 人間の自由な行動を抑制する要因が弱められることによって逸脱が生じる社会状態を指す。


まず,マートンのアノミーとは,どんなものかを想起したうえで,それぞれの選択肢に当てはまるか,考えていきます。


これはいずれも逸脱行動理論について述べたもので,それぞれの文章には嘘はありません。


この問題はわかりやすく特徴を出して問題を作ってくれていますので,タクソノミーⅡ型の問題でもタクソノミーⅠ型に近いタイプかもしれません。


正解は,選択肢3です。


〈タクソノミーⅡ型の問題例②〉


第27回・問題23 社会的リスクに関する次の記述のうち,「ベヴァリッジ報告」で想定されていなかったものを1つ選びなさい。

1 疾病により労働者の収入が途絶えるおそれ

2 勤務先の倒産や解雇により生計の維持が困難になるおそれ

3 老齢による退職のために,稼働収入が途絶えるおそれ

4 保育や介護の社会化が不充分なため,仕事と家庭の両立が困難になるおそれ

5 稼得者の退職や死亡により被扶養者の生活が困窮するおそれ


ベヴァリッジ報告の5つの巨人に当てはめて考えていきます。


正解は,選択肢4です。


知識があるうえで,思考が求められています。

こういった問題に対応するためには理解して覚えることを心がけます。

2022年6月27日月曜日

ソーシャルワークにおける外国人支援

 近年の日本に在留する外国人は,300万人です。

 

 

第1位

第2位

国籍別

中国(約80万人)

韓国(約45万人)

在留資格別

永住者(約80万人)

特別技能(約40万人)

産業大分類別

製造業(約30%)

卸売業,小売業(約10%)


こういったものを覚えるときのコツは,トップのものだけを覚えることです。

 

なお,社会福祉士の国家試験の傾向は,


・1位と2位の数字が近い場合は出題されません。

・年によって順位が入れ替わるものは出題されません。

 

といったものがあります。

 

さて,今日のテーマは「ソーシャルワークにおける外国人支援」です。

 

外国人は,外国人であるゆえに,邦人とは異なる困難さを抱えます。

 

現時点(2022年6月)で,最も新しい在留資格は,特定技能です。

 

特定技能には,1号,2号があり,2号では家族の帯同が認められます。

 

そういった背景もあり,外国人への支援は,ますます重要になります。

 

それでは,今日の問題です。

 

第31回・問題118 日系人のMさん(45歳,男性)は,13年前に来日し,35歳の時に日本人女性と結婚した。現在は県営団地に住んでいる。来日理由の一つである祖国に住む父母への定期的な送金も実現したが,働いていたW社が3か月前に倒産してしまい,現在はアルバイトをしつつ,公共職業安定所(ハローワーク)を通じて求職活動を行っている。また,家賃の安い住宅への転居を検討しているものの,まだ見付かっていない。アルバイトの収入と貯金の取崩しで生活しているMさんは,今後の収入に不安を感じたため,外国人を支援する団体のLソーシャルワーカー(社会福祉士)に相談した。

 次のうち,この段階においてLソーシャルワーカーがMさんに対して行うこととして,適切なものを2つ選びなさい。

1 帰国するよう助言する。

2 祖国への送金をやめるように助言する。

3 生活保護の申請を勧める。

4 日本で支えてくれる知人・友人の状況を尋ねる。

5 家賃減免の仕組みの有無と適用条件を県営団地の管理者に確認したか聞く。

 

Mさんは,日本人と結婚しているので,在留資格を持ちます。

 

生活保護法は,外国人には適用されません。

 

なぜなら,生活保護法は,

 

第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。

 

と規定されているからです。

 

日本人の配偶者は,在留資格をもちますが,日本人ではないので,生活保護法は適用されません。

 

しかし,だからといって,外国人が保護を受けられないわけではありません。

 

永住者や日本人の配偶者などは,制度の弾力的な運用により,日本人と同じように保護を受けることが可能です。

 

さて,Mさんは「この時点において」生活保護を受けることが可能なのでしょうか。

 

答えは,「NO」です。

 

なぜなら,アルバイトの収入と貯金で生活できているためです。

 

貯金を使い果たし,アルバイト収入だけでは最低限度の生活ができないと認められた場合,保護が認められます。

 

この問題の正解は,選択肢4と5です。

 

4 日本で支えてくれる知人・友人の状況を尋ねる。

5 家賃減免の仕組みの有無と適用条件を県営団地の管理者に確認したか聞く。

 

選択肢3を消去できたなら,答えはこの2つしか考えられません。

2022年6月26日日曜日

個人情報保護法

今回は,個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)です。

 

この法律に示されている各種定義を確認したいと思います。

  

個人情報

生存する個人に関する情報

個人識別符号

特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号。

個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号。

要配慮個人情報

本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの。

仮名加工情報

他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報。

匿名加工情報

特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報。

個人情報取扱事業者

個人情報データベース等を事業の用に供している者。

〈対象外〉

・国の機関

・地方公共団体

・独立行政法人等

・地方独立行政法人

 

なお,法ができた時は,個人情報取扱事業者には,規模の小さい事業者が除かれていましたが,今は規模の大小にはかかわりはなく,個人情報取扱事業者となり,この法律の対象となります。

 

個人情報取扱事業者の義務

個人情報を取り扱うに当たっては、利用目的をできる限り特定しなければならない。

利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

 

 

 

今日の問題は2問です。

 

まずは,1問目です。

 

31回・問題117 個人情報の保護に関する法律の規定について,次のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 個人を識別できない情報も個人情報の保護の対象である。

2 この法律において「個人情報」とは,生存する個人に関する情報である。

3 業務に関して知り得た個人情報は,理由のいかんを問わず漏らしてはならないとされている。

4 個人情報取扱事業者は,個人情報を取り扱うに当たり,その利用目的をできる限り包括的に設定しなければならない。

5 国は,個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情の適切かつ迅速な処理を図るために必要な措置を講ずるものとされている。

 

とても難しい問題です。

 

しかし,ここで注目してほしいことは,法の細部を聞いているわけではないことです。

 

落ち着いて考えると答えは何とか見えてくる,というか,正解ではないものは消去できそうです。

 

必ず押さえておかなければならないことは,「個人情報とは何なのか」です。

 

正解は,選択肢1と5です。

 

2 この法律において「個人情報」とは,生存する個人に関する情報である。

5 国は,個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情の適切かつ迅速な処理を図るために必要な措置を講ずるものとされている。

 

迷うのは,選択肢5でしょう。

 

国ではなく,地方公共団体かもしれないと考えてしまうかもしれません。

 

福祉に関することは,基本的に地方公共団体の自治事務にあたるので,必要な措置を講じることは地方公共団体の役割になり得ます。

 

しかし,個人情報保護を考えてみた場合,地域の実状に合わせて対策を立てる意味がありません。

 

そう考えると国が行うものだと考えられます。

 

そして,もう一つ重要なことは,試験問題をつくるにあたって,まったくないものを考えることは難しいということです。

 

もともとある規定を変えて出題することは簡単ですが,規定されていないものを新たに考えて出題するのは,かなり面倒な作業です。

 

それでもたまにそれにチャレンジした問題もあります。そうすると正解はとても単純でわかりやすいものであっても受験生は混乱します。そして間違えます。

 

それでは正解以外の解説です。

 

1 個人を識別できない情報も個人情報の保護の対象である。

 

個人を識別できない情報は個人情報ではありません。

 

3 業務に関して知り得た個人情報は,理由のいかんを問わず漏らしてはならないとされている。

 

ソーシャルワークでも秘密保持義務がありますが,秘密を開示することができる場面はあります。

 

例えば,クライエントの生命に危機があるような場合です。

 

そこから「理由のいかんを問わず」ということはないだろうと考えることができます。

この法律の場合は,生命,健康,生活,財産を害するおそれがある場合は開示できます。

 

しかし,これは開示であり,漏らすということではありません。

 

何な問題です。

 

4 個人情報取扱事業者は,個人情報を取り扱うに当たり,その利用目的をできる限り包括的に設定しなければならない。

 

この問題が難しいのは,この選択肢を消去できないためです。

 

正しくは「包括的に設定しなければならない」が「特定しなければならない」です。

 

この問題は,消去ではなく,選択肢5を正解だろうと思うことができなければ,得点することは不可能に近いものだと思います。

 

もう1問です。

 

34回・問題115 次の記述のうち,個人情報の保護に関する法律の内容として,正しいものを1つ選びなさい。

1 死亡した個人に関する個人情報も保護の対象とする。

2 個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的として,個人情報取扱事業者の遵守すべき義務等を定めている。

3 個人情報取扱事業者が第三者に個人データを提供するときは,本人の生命の保護のために必要な場合でも,常に本人の同意を得なければならない。

4 個人情報取扱事業者は,個人情報の取扱いに関する苦情の解決について,地方公共団体に委ねなければならない。

5 匿名加工情報とは,特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって,当該個人情報を復元できないようにしたものである。

 

これは,1問目と異なり,消去法で正解できます。

 

キーとなるのは,

 

1 死亡した個人に関する個人情報も保護の対象とする。

 

個人情報は,生存する個人に関する情報です。

 

これを知らなければ,消去することができません。国家試験は,結局こういったところの知識の差が合否を分けます。

 

法の細部まで知らないといけないわけではありません。

 

それでは,それ以外の解説です。

 

2 個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的として,個人情報取扱事業者の遵守すべき義務等を定めている。

 

個人情報取扱事業者の権利利益を保護することを目的にするわけがありません。

 

保護されるのは,個人の権利利益です。

 

3 個人情報取扱事業者が第三者に個人データを提供するときは,本人の生命の保護のために必要な場合でも,常に本人の同意を得なければならない。

 

「常に」があるので,「常に」ではないと考えることができるでしょう。

 

本人の生命の保護のために必要な場合でも,本人の同意を得なければなりません。

 

同意を得なくても良いのは本人の同意を得ることができない場合です。

 

 

4 個人情報取扱事業者は,個人情報の取扱いに関する苦情の解決について,地方公共団体に委ねなければならない。

 

(個人情報取扱事業者による苦情の処理)

個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。

 

と規定されています。

 

5 匿名加工情報とは,特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって,当該個人情報を復元できないようにしたものである。

 

これが正解です。

 

匿名加工情報を知らずとも,ほかの選択肢を消去していくことで,この選択肢が残ります。

 

正解するために重要なことは,選択肢1を消去できることです。

 

個人情報保護の対象には,死亡した人の情報は含まれないことを知っていることが必要だったということです。



〈今日の一言〉


国家試験に合格するのに必要なのは,深い知識ではなく,確実な知識!

2022年6月25日土曜日

ソーシャルワークの記録

今日は,前説なしで問題です。


第31回・問題116 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ソーシャルワーカーの判断や主観的な解釈を含めず,客観的な事実を記述する。

2 説明体は,事実についてのクライエントによる説明や解釈を記述するものである。

3 実践の根拠と証拠を示し,援助の評価にも活用される。

4 SOAP方式で記録する場合,Aはソーシャルワーカーが行う今後の援助計画のことである。

5 クライエントに不利益となるような情報を記載しないようにする。


一問一答式の問題集をすすめる先生がいますが,私たちチームfukufuku21はすすめません。


一問一答式の問題集は,知識を確実につけるためには役立ちますが,それだけの話です。


解く力はつきません。


この問題の答えは,選択肢3です。


3 実践の根拠と証拠を示し,援助の評価にも活用される。


この文だけを見ると,何の疑問もなく,正しいと思うでしょう。


しかし,ほかの選択肢と混ざると,そんなに簡単には正しいと思えなくなります。


これが国家試験です。


先生方は頭の良い人たちなので,このことが理解できないのだと思います。


一問一答だけで国家試験に臨んだとしたら,基礎練習のみで試合に臨むようなものです。

試合で本当に勝とうと思ったら,実戦に近い練習が必要です。


国家試験を確実に正解するのは,思うほど簡単ではありません。

確実な知識があればそんなことはない,と思っていると足元をすくわれかねません。


この問題の場合,うっかりすると間違ってしまいそうなのは,選択肢1です。


確実な知識があれば,誤りだとわかるかもしれませんが,勉強しないものを混ぜて出題して,受験生を混乱させます。これが国家試験です。

最後は必ず国家試験と同じスタイルの問題を解く,つまり五者択一(あるいは択二)の問題を解くことが大切です。

それなら,最初から五者択一の問題に取り組んだほうが良いと思うのは変でしょうか。

2022年6月24日金曜日

スーパービジョンとパラレルプロセス

今回は,スーパービジョンを取り上げます。

 

スーパービジョンの出題頻度は,限りなく100%に近いものです。

 

どんな出題があっても対応できる確実な知識が必要です。

 

〈スーパービジョンの機能〉

教育的機能

価値・知識・技術を教える機能

支持的機能

スーパーバイジーを支える機能

管理的機能

スーパーバイジーの業務を管理する機能

 

 

スーパービジョンの出題頻度は高いこともあり,さまざまな問われ方をします。

 

それが今日のもう一つのテーマである「パラレルプロセス」です。

 

パラレルプロセスとは,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係が,ワーカーとクライエントの関係で展開されていくようになることをいいます。

 

もともとは精神分析学の概念です。

 

ということは,スーパーバイジーは,無意識のうちにスーパーバイザーとの関係をクライエントに向けてしまうものだと考えられます。

 

その結果がパラレルプロセスとなります。

 

「無意識」というのが,いかにも精神分析学らしいと思いませんか。


図式化するとこんな感じです。




 

 




それでは,今日の問題です。

 

31回・問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。

2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。

3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。

4 パラレルプロセスとは,スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。

5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーバービジョンの支持的機能である。

 

この問題は,パラレルプロセスを知らずとも,消去法でも答えられるかもしれません。

 

しかし,一つでも消去できないと答えられないので確実性は下がります。

 

それでは解説です。

 

1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。

 

スーパービジョンの目的は,ソーシャルワーカーのスキルを高めることにあります。

 

2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。

 

スーパービジョンの契約は,スーパービジョンを始める前の段階で行います。

 

3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。

 

ピアは「仲間」の意味です。ピアカウンセリングという言葉もあります。

 

ピアスーパービジョンは,仲間同士で行うもので,スーパーバイザーのような別の立場の人はいません。

 

4 パラレルプロセスとは,スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。

 

これが正解です。

 

パラレルプロセスの考え方に基づくと,スーパービジョンが良い関係の中で行われる時は良いですが,あまり良くない時は,クライエントとの間にその関係を持ち込むことになるので,注意が必要です。

 

5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーバービジョンの支持的機能である。

 

支持的機能は,スーパーバイジーを支える機能です。

 

業務を調整するのは,管理的機能です。

2022年6月23日木曜日

セルフヘルプグループの紹介が有効な場面

セルフヘルプグループ(自助グループ)は,当事者のグループです。


専門職が主導的にかかわるグループワークと異なり,当事者が主体的に参加して活動しているところに特徴があります。



セルフヘルプグループには,「ヘルパーセラピー原則」という効果があります。


人を援助することで,自分も援助されるという原則です。


クライエントの抱える問題によって,セルフヘルプグループをクライエントに紹介することはとても有効な手段です。


今日の問題は,セルフヘルプグループを紹介することが有効な事例です。


しかし,紹介する場面を間違えると効果がなくなってしまいます。


いつでも有効だと思っているとミスする原因となります。


第31回・問題114 事例を読んで,J医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の応答として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 希少難病を患っているKさんは,J医療ソーシャルワーカーに,「自分は心理的にも社会的にも孤立しているのでとても苦しい。似たような立場の人と話してみたい」と相談した。

1 「同じような悩みをお持ちの患者さんの集まりを持ちましょう」

2 「一人ひとり事情が異なるので,他の人と話すことは難しいです」

3 「病気が関係しているので,相談に乗るには主治医の許可が要ります」

4 「カルテを調べて同じ病気の患者さんの連絡先をお教えします」

5 「思いを聞いてもらえるボランティアをお願いすることもできるかと思います」


こんな短い事例ですが,答えにつながる情報を組み込んで作られています。


正解は,選択肢1と5です。


1 「同じような悩みをお持ちの患者さんの集まりを持ちましょう」


これは,「自分は心理的にも社会的にも孤立しているのでとても苦しい」に対応する応答です。


5 「思いを聞いてもらえるボランティアをお願いすることもできるかと思います」


これは,「似たような立場の人と話してみたい」に対応する応答です。


このほかの選択肢は解説も必要としないでしょう。


Kさんへの応答に限らず,だめな応答です。


セルフヘルプグループを紹介するタイミングを見極めることはとても重要です。


しかし,国家試験は,判断が難しいような問題を出題することはしません。


明らかに判断できるように作ります。


それでは,国家試験でセルフヘルプグループの紹介が有効ではないものとしてどんな場面が使われると思いますか。


想像がつくと思いますが,インテーク場面です。


何もわからないうちに,解決策を提示するような内容になっているものは,すべて不適切な対応です。

2022年6月22日水曜日

国試問題に出題されるグループワーク

グループワークは,集団を活用した援助技術です。

 

できるグループワーカーは,葛藤が生まれてきたら,うろたえるどころか,「やったー」と思うでしょう。

 

葛藤は,グループが成長するきっかけとなるからです。

 

それにもかかわらず,国家試験では「葛藤が起きないようにする」といったような内容で出題されます。

 

こういったタイプのものは,当然ですがすべて誤りです。

 

集団を活用しないのなら,ケースワーク(個別援助技術)で良いということになってしまいます。


それでは今日の問題です。

 

31回・問題113 グループワークに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。

2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。

3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。

4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。

5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。

 

この問題でも葛藤の出題がみられます。

 

それでは解説です。

 

1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。

 

グループワークは,グループを活用して,クライエント個々に働きかけていきます。

 

つまり目的(最終目標?)は,クライエントの問題の解決及び成長です。

 

2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。

 

葛藤や対立は,成長のきっかけとなります。

 

回避しては,グループワークの意味をなしません。

 

グループワーカーの力量が試される瞬間です。

 

3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。

 

相互援助システムとはずいぶん大げさな表現ですが,これを生かして説明すると,開始期では相互援助システムを形成します。

 

相互援助システムの形成が促進されるのは,作業期です。

 

4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。

 

ワーカーが主体,といったものはどんな問題でも正解になりません。

 

主体はあくまでもクライエントです。ワーカーはクライエントを側面から支援する存在です。

 

国家試験では,手を変え品を変え,さまざまな問いをされますが,この基本を絶対に忘れないことが大切です。

 

5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。

 

これが正解です。

 

何も特別なものではないように思うかもしれませんが,国試会場でこの問題を正解するのはそれほど簡単ではありません。

 

そこが国家試験の怖いところです。

2022年6月21日火曜日

社会資源の類型と活用

社会資源とは,クライエントの福祉ニーズを充足するために用いられるすべてのものです。

 

フォーマルな社会資源とインフォーマルな社会資源に分けることができます。

 

なお,フォーマルとは「公式な」といった意味です。

フォーマルな社会資源

制度化されたもの。

例:介護保険サービス,障害福祉サービスなど。

インフォーマルな社会資源

制度化されていないもの。

例:家族,友人,地域住民,ボランティア,法人が提供する独自のサービスなど。

 

国家試験では,フォーマルな社会資源とインフォーマルな社会資源では,どちらを優先して活用するか,といったことが繰り返し出題されています。

 

さて,どちらを優先すべきなのでしょうか。あるいは,どちらを優先させなければならないのでしょうか。

 

そんな原理や原則は存在しません。

 

クライエントのニーズに沿って,柔軟に活用されるからです。

 

極めて当たり前のことです。しかし,さまざまな科目で,さまざまな問われ方をするので,混乱することもあります。

 

37回国家試験からタクソノミー分類に基づく問題がバランスよく出題されることになります。

 

そのうち,タクソノミーⅡ型は,知識があることを前提にして,一度考えて答えを出すタイプの問題です。

 

現在の問題は,覚えた知識を思い出すことができれば答えられるタクソノミーⅠ型が多いですが,今後はタクソノミーⅡ型が増加します。

 

そうなったら,丸暗記型の勉強では,とうてい太刀打ちできなくなります。

 

「これはどういうことなのか」ということを考えながら覚えることをおすすめしたいです。

 

それでは,今日の問題です。

 

31回・問題112 相談援助における社会資源に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 フォーマルな社会資源とは,私的な人間関係の中で提供されるものである。

2 社会資源の開発の方法として,ソーシャルアクションは不適切である。

3 社会資源の活用の目的は,ソーシャルワーカーの自己実現を図ることである。

4 クライエントにとっては,ソーシャルワーカーも社会資源である。

5 社会資源の活用に際しては,インフォーマルな社会資源の活用を優先する。

 

この問題は,タクソノミー分類では,Ⅱ型にあたります。

 

社会資源の意味を知っていることを前提にそれぞれの選択肢を考えながら解いていきます。

 

この問題は,問題づくりが下手なので,社会資源の知識がなくても消去できる選択肢が含まれます。

 

そのため,問題の難易度はかなり低くなっていますが,今後は知識がなくても消去できる選択肢がかなり少なくなると考えられます。

 

その理由は,試験委員に対する支援が行われていくからです。

 

それでは,解説です。

 

1 フォーマルな社会資源とは,私的な人間関係の中で提供されるものである。

 

私的な人間関係の中で提供されるものは,インフォーマルな社会資源でしょう。

 

2 社会資源の開発の方法として,ソーシャルアクションは不適切である。

3 社会資源の活用の目的は,ソーシャルワーカーの自己実現を図ることである。

 

問題づくりが下手だと思うのは,この2つです。

 

解説する必要もないでしょう。

 

4 クライエントにとっては,ソーシャルワーカーも社会資源である。

 

これが正解です。

 

また,クライエントにとって,ソーシャルワーカーは環境でもあります。


 

5 社会資源の活用に際しては,インフォーマルな社会資源の活用を優先する。

 

社会資源に関する出題があった場合の定番です。何を優先するという決まりはありません。

2022年6月20日月曜日

死の受容過程

クライエントの思わぬ反応があると,ソーシャルワーカーはうろたえがちです。


しかし,気を付けなければならないのは,クライエントの言葉尻をとらえた安易な対応です。


クライエントの喜怒哀楽のうち,特に「怒」の感情を見せられるとうろたえがちです。


今回,紹介する事例は,がんの末期患者の家族との初回面接です。


キューブラー・ロスは,著書『死ぬ瞬間』で,死の受容過程として以下の5段階を紹介しています。


1 否認

2 怒り

3 取引(死を回避しようとすること)

4 抑うつ

5 受容


すべての人がこのような段階を経て死を受容するわけではありませんが,対人援助を行う人は理解しておくことが求められます。


患者だけではなく家族に接する場合も同じです。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題111 事例を読んで,G医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応についての次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 G医療ソーシャルワーカーは,末期がんのHさん(54歳)の主治医から,「患者と夫には,今後は積極的治療ではなく緩和ケアが望ましいことについて説明済みである。緩和ケアができる病院を探してあげてほしい」との電話を受け,Hさんの夫と初回面接を行った。夫は面談室に入るなり,「誰だあなたは。この病院はどうして病人を見放すんだ」と声を荒げた。

1 夫に対してその態度を改めるよう促す。

2 夫に病状の説明を行う。

3 夫の怒りを受け止め,気持ちを聴く。

4 夫との面談を切り上げ,夫以外のキーパーソンを探す。

5 ソーシャルワーカーはどのようなことを支援するのかについて説明する。


この事例は,初回面接であることが明示されています。


初回面接の基本に沿ったものは以下の2つしかないので,事例を読まなくても答えはわかります。


3 夫の怒りを受け止め,気持ちを聴く。

5 ソーシャルワーカーはどのようなことを支援するのかについて説明する。


事例を読むと


選択肢3は「この病院はどうして病人を見放すんだ」に対応するもの。


選択肢5は「なんだあなたは」に対応するもの。


となっていることがわかります。


それではほかの選択肢も確認します。


1 夫に対してその態度を改めるよう促す。


これが言葉尻をとらえた対応です。試験でこれを選ぶワーカーは,面接場面ではさらに混乱するでしょう。


社会福祉士の国家試験には,この選択肢を選ぶと不合格といった禁忌肢はありませんが,そうしても良いくらいに良くない対応です。


2 夫に病状の説明を行う。


病状の説明を行うのは,医師の役割です。


4 夫との面談を切り上げ,夫以外のキーパーソンを探す。


今の時点では何もわかっていない段階です。

2022年6月19日日曜日

アウトリーチについて

ソーシャルワーク系の科目は,事例問題があるので点数が取りやすいと思っている人は多く,そのため,ほかの科目よりも勉強する時間を多くかけない人もいるようです。


事例問題は正解して当然です。


ソーシャルワーク系にはカタカナ用語が多いので,勉強しないと意味がわかりません。


今日のテーマのアウトリーチは,ソーシャルワークを真面目に学ぶ人にとっては必ず見聞きしたことがあるものでしょう。


しかし,知らない人にとっては,想像がつかないと思います。


アウトリーチはともかく,ソーシャルワーク系の科目はカタカナ用語が多いので,勉強不足の人は得点を稼ぐことが不可能です。


苦手科目をカバーすることはとうていできないことでしょう。


ということで,ソーシャルワーク系の科目もほかの科目と同じように時間をかけて勉強する必要があります。


ここで戦略を間違うと合格は遠のいてしまいます。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題110 アウトリーチに関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。 

1 支援を求めて相談室を訪れるクライエントを対象とする。

2 相談援助過程の援助開始時だけではなく,援助が始まった後も有効である。

3 慈善組織協会(COS)の友愛訪問員活動に起源を持つ。

4 所属機関のバックアップを必要としない対応方法である。

5 地域住民とのつながりの構築は不要である。


アウトリーチは地域に出かけていって,ニーズをキャッチすることをいいます。


アウトリーチのもともとの意味は,腕を外に伸ばすことで,アウトリーチの地域に出かける様子がまさしく腕を外に伸ばすように見えることからその名がついています。


この問題は,アウトリーチを知っていて,その知識をもとに思考して,答えを出すタクソノミーⅡ型です。その分,少し高度です。


それでは解説です。


1 支援を求めて相談室を訪れるクライエントを対象とする。


アウトリーチは,訪室するクライエントを待っているものではなく,地域に積極的に出かけていく支援法です。


2 相談援助過程の援助開始時だけではなく,援助が始まった後も有効である。


これが―つめの正解です。


援助が始まった後には,モニタリング,アフターケアなどがありますが,これらにはアウトリーチも含まれます。


3 慈善組織協会(COS)の友愛訪問員活動に起源を持つ。


もう一つの正解はこれです。


COSを知らない人はいないと思います。知らないという人は,今,ここで調べて覚えておきたいです。


友愛訪問員活動はCOSが行った援助方法です。


ケースワークの起源ではないの? と思って選ばなかった人もいるのではないかと思います。


しかし,訪問なので,アウトリーチの起源でもあります。ここが思考のしどころです。


なお,近年の研究によって,イギリスCOSでは,「友愛訪問」と言わず,「地区訪問」と言っていたことが明らかになっています。


友愛訪問は,アメリカCOSで誕生した用語らしいです。


日本社会福祉学会の第62回秋季大会で,沖縄大学の富樫八郎先生が


ロンドンC.O.S「友愛訪問員」及び病院「アルモナー」記述に関する検討


という研究を発表しています。


https://www.jssw.jp/conf/62/pdf/A02-4.pdf


医療ソーシャルワーカーの源流であるアルモナーとともに新しいカリキュラムのテキストにどのように記述されているのか楽しみです。


4 所属機関のバックアップを必要としない対応方法である。


この選択肢も一度考えなけれぱなりません。


さて,アウトリーチは本当に所属機関のバックアップを必要としないのでしょうか。


それぞれで考えてみましょう。


アウトリーチは,外に出かけていくため,時間も費用も多くかかります。


所属機関がそれを許してくれることも必要でしょう。


アウトリーチでは,より複雑な課題を抱えた福祉ニーズを発見することもあります。


それをワーカーが一人で抱えると大変なことになります。


スーパービジョンがより必要になるでしょう。


こういったことを国試会場で瞬時に考えなければなりません。


第37回からは国試の問題数が減りますが,おそらく問題が減る分,試験時間も短くなるのではないかと思います。


知識を想起するだけで答えを出せるタクソノミーⅠ型の問題と異なり,タクソノミーⅡ型,Ⅲ型は,思考を1回,あるいは2回必要とします。


その分,答えを出すのに時間がかかるはずです。


思考する訓練が必要です。


5 地域住民とのつながりの構築は不要である。


一度考えることが必要です。


この選択肢は誤りですが,地域住民のつながりの構築はどんな時に必要なのでしょうか。


社会福祉士の国家試験では,アウトリーチの方法として住民懇談会が登場します。


町内会との関係がないとおそらく住民懇談会は成功しません。



〈今日の一言〉


ソーシャルワーク系の科目は意外と難しい


今日の問題は,アウトリーチを取り上げました。


それほど難しいものではありませんが,カタカナ用語であることとタクソノミーⅡ型であることから,確実な知識と柔軟な思考が求められています。


まずは確実な知識を必要とすることを忘れてはなりません。

2022年6月18日土曜日

児童福祉法の令和4年改正~新しい認定資格

児童福祉法は,近年の児童虐待の増加などの問題に対応するために改正を重ねています。

 



この中で「6.子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上」は,ソーシャルワーカーにとって,とても重要なところです。

 

新しい認定資格が作られます。

 

さらに,国家資格化が検討されていきます。



出典:厚生労働省ホームページ「1.児童福祉法等の一部を改正する法律案について」

https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000916556.pdf


今日は,家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)です。

 

家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)の業務

1)対象児童の早期家庭復帰のための保護者等に対する相談援助業務

 ①保護者等への施設内又は保護者宅訪問による相談援助

 ②保護者等への家庭復帰後における相談援助

 

2)退所後の児童に対する継続的な相談援助

 

3)里親委託の推進のための業務

 ①里親希望家庭への相談援助

 ②里親への委託後における相談援助

 ③里親の新規開拓

 

4)養子縁組の推進のための業務

 ①養子縁組を希望する家庭への相談援助等

 ②養子縁組の成立後における相談援助等

5)地域の子育て家庭に対する育児不安の解消のための相談援助

6)要保護児童の状況の把握や情報交換を行うための協議会への参画

7)施設職員への指導・助言及びケース会議への出席

8)児童相談所等関係機関との連絡・調整

9)その他業務の遂行に必要な業務

 

里親に関するものは,里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)の役割ではないの? と思う人は順調です。

 

どちらも里親に関する業務を行いますが,家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)のほうが広い業務を担います。

 

今後は,児童福祉にかかわるこういった専門職が新しくできる認定資格を取得して活躍することになるのでしょう。

 

そして,国家資格化が実現すればさらなるキャリアアップの道が開けます。

 

それでは,今日の問題です。

 

31回・問題109 事例を読んで,児童養護施設のE家庭支援専門相談員(社会福祉士)の退所に向けた援助に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 児童養護施設に入所しているFちゃん(11歳,女児)は,母親の引取り希望をはじめのうちは喜んでいた。しかし,週末の一時帰宅を繰り返すうち,母親と二人で暮らすことの不安をE家庭支援専門相談員に訴えるようになった。

1 E家庭支援専門相談員が方針を考えて決定するので,Fちゃんは心配しなくてよいと伝える。

2 Fちゃんが不安を訴えていることを児童相談所に報告し,今後の援助について連携を図る。

3 母親の意向を大切にするよう,Fちゃんを励ます。

4 家に帰る計画についてどうするかを一緒によく考えていこうとFちゃんに伝える。

5 今の不安は退所する時には誰でも感じることだから考えなくてよいと伝える。

 

将来,児童・家庭領域で働くことを考えているなら,この問題は間違ってはなりません。

 

もし,児童・家庭領域で働いている現任者がこの問題を間違ったとしたらかなりまずいです。

 

だめな対応は,以下の3つです。

 

1 E家庭支援専門相談員が方針を考えて決定するので,Fちゃんは心配しなくてよいと伝える。

3 母親の意向を大切にするよう,Fちゃんを励ます。

5 今の不安は退所する時には誰でも感じることだから考えなくてよいと伝える。

 

誰が見てもこれはだめな対応でしょう。

 

ということで,正解は残る2つです。

 

2 Fちゃんが不安を訴えていることを児童相談所に報告し,今後の援助について連携を図る。

4 家に帰る計画についてどうするかを一緒によく考えていこうとFちゃんに伝える。

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