国家試験の問題は,3つのタイプに分かれます。
タクソノミーⅡ型・Ⅲ型は,単なる知識だけでは正解することができないので,かなり高度な能力が求められます。
求められる能力は,報告書に書かれているように,タクソノミーⅡ型では「解釈力」・「判断力」,タクソノミーⅢ型では「思考力」・「判断力」です。
第35回国家試験は,決して奇をてらった問題が出題されているわけではありませんが,正解するのはそんなに簡単ではないのは,タクソノミーⅡ型,Ⅲ型の問題によるからです。
心理学理論と心理的支援は,もともとタクソノミーⅡ型がよく見られていましたが,第35回では以下のような出題があります。
第35回・問題8 次の記述のうち,内発的動機づけとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 大学の入試の要件となっているため,英語外部検定を受検した。
2 叱責されないように,勉強に取り掛かった。
3 授業中,寒いので,窓を閉めた。
4 お腹が減ったので,席を立って食事に行った。
5 投資に偶然興味を持ったので,勉強した。
正解は,選択肢5です。
内発的動機づけとはどのようなものかを知っていて,そこから例を当てはめてみて,答えを出します。
この問題自体は,タクソノミーⅡ型としては決して高度なものではありませんが,知識が知恵になる程度の理解がなければ,確実に正解するのは難しいと言えます。
なお,この問題には,元ネタがあります。
第23回・問題8 次の記述のうち,内発的動機に基づく行動として,最も適切なものを一つ選びなさい。
1 おこづかいをもらえるので,家事の手伝いをした。
2 興味を持ったので,社会保障の勉強を始めた。
3 お腹が減ったので,パンを食べた。
4 暑いので,教室の窓を開けて換気した。
5 叱られるのが嫌なので,仕方なく勉強をした。
正解は,選択肢2です。
内容は少しずつ変わっていますが,ほとんど一緒です。
第35回国家試験では,「お久しぶりね問題」がいくつか見られたので解いていて面白かったです。
余談ですが,第35回の心理学理論と心理的支援では,ちょっと良くない出題がみられます。
問題13の選択肢1
問題13 心理検査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 乳幼児の知能を測定するため,WPPSIを実施した。
2 頭部外傷後の認知機能を測定するため,PFスタディを実施した。
3 投影法による人格検査を依頼されたので,東大式エゴグラムを実施した。
4 児童の発達を測定するため,内田クレペリン精神作業検査を実施した。
5 成人の記憶能力を把握するため,バウムテストを実施した。
WPPSIの適用は,2歳6か月~7歳3か月です。
ほかに正解になるものはなさそうなので,選択肢1を選ぶしかないと思いますが,乳児は対象としないので,「乳幼児」と表現するのは良くないように思います。
〈今日の一言〉
タクソノミーⅡ型・Ⅲ型は,受験生を苦しめることになるのは間違いないです。心して備えることが必要です。