2023年2月7日火曜日

第35回国家試験から考える第36回国家試験対策

国家試験の問題は,3つのタイプに分かれます。





















タクソノミーⅡ型・Ⅲ型は,単なる知識だけでは正解することができないので,かなり高度な能力が求められます。


求められる能力は,報告書に書かれているように,タクソノミーⅡ型では「解釈力」・「判断力」,タクソノミーⅢ型では「思考力」・「判断力」です。



第35回国家試験は,決して奇をてらった問題が出題されているわけではありませんが,正解するのはそんなに簡単ではないのは,タクソノミーⅡ型,Ⅲ型の問題によるからです。


心理学理論と心理的支援は,もともとタクソノミーⅡ型がよく見られていましたが,第35回では以下のような出題があります。


第35回・問題8 次の記述のうち,内発的動機づけとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 大学の入試の要件となっているため,英語外部検定を受検した。

2 叱責されないように,勉強に取り掛かった。

3 授業中,寒いので,窓を閉めた。

4 お腹が減ったので,席を立って食事に行った。

5 投資に偶然興味を持ったので,勉強した。


正解は,選択肢5です。


内発的動機づけとはどのようなものかを知っていて,そこから例を当てはめてみて,答えを出します。


この問題自体は,タクソノミーⅡ型としては決して高度なものではありませんが,知識が知恵になる程度の理解がなければ,確実に正解するのは難しいと言えます。


なお,この問題には,元ネタがあります。


第23回・問題8 次の記述のうち,内発的動機に基づく行動として,最も適切なものを一つ選びなさい。

1 おこづかいをもらえるので,家事の手伝いをした。

2 興味を持ったので,社会保障の勉強を始めた。

3 お腹が減ったので,パンを食べた。

4 暑いので,教室の窓を開けて換気した。

5 叱られるのが嫌なので,仕方なく勉強をした。


正解は,選択肢2です。


内容は少しずつ変わっていますが,ほとんど一緒です。


第35回国家試験では,「お久しぶりね問題」がいくつか見られたので解いていて面白かったです。


余談ですが,第35回の心理学理論と心理的支援では,ちょっと良くない出題がみられます。


問題13の選択肢1


問題13 心理検査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 

1 乳幼児の知能を測定するため,WPPSIを実施した。

2 頭部外傷後の認知機能を測定するため,PFスタディを実施した。

3 投影法による人格検査を依頼されたので,東大式エゴグラムを実施した。

4 児童の発達を測定するため,内田クレペリン精神作業検査を実施した。

5 成人の記憶能力を把握するため,バウムテストを実施した。


WPPSIの適用は,2歳6か月~7歳3か月です。


ほかに正解になるものはなさそうなので,選択肢1を選ぶしかないと思いますが,乳児は対象としないので,「乳幼児」と表現するのは良くないように思います。


〈今日の一言〉


タクソノミーⅡ型・Ⅲ型は,受験生を苦しめることになるのは間違いないです。心して備えることが必要です。

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