国家試験に合格するのに大切なのはもちろん知識ですが,知恵は不足する知識を補完してくれます。
別な言い方をすれば,知恵がないと点数は伸びません。
知識があっても知恵のない社会福祉士は,現場では必要としていないからです。
現場では自分で考えて判断しなければならないことが多くあります。国家試験は,そのための訓練の場であると言えます。
だから知識をもとに思考して答えを考えるタクソノミーⅡ型,Ⅲ型の出題が求められているのでしょう。
それでは今日の問題です。
第32回・問題48 第7期介護保険事業計画(2018年度(平成30年度)開始)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域包括支援センターが,創設されることになった。
2 市町村が実施主体となる地域支援事業が開始された。
3 介護保険事業計画が,初めて地域包括ケア計画と位置づけられた。
4 「基本指針」において,医療法に規定される医療計画との整合性を確保することの重要性が明記された。
5 第7期の第一号被保険者の保険料が全市町村で引き上げられた。
(注)「基本指針」とは,「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(平成30年3月13日厚生労働省告示第57号)のことを指す。
過去のものなので,もう同じものは出題されることはありません。
正解は,選択肢4です。
4 「基本指針」において,医療法に規定される医療計画との整合性を確保することの重要性が明記された。
2018年度(平成30年度)は,多くの福祉計画等が同時スタートした年です。
このチャンスを見逃すことなく,さまざまな改正が行われました。
その一つが医療計画の策定期間をそれまでの5年の1期とするものから,6年を1期にしたことです。
地域包括ケアシステムの実現を目指して,介護保険事業(支援)計画と医療計画を整合性の関係としてすすめるためです。
こういった知識を使ってこの問題の答えを推理して,選択肢4が正解だと考えます。
国家試験が過去問よりも難しいと感じる人は多いですが,それは参考書などで勉強しているからです。
持っている知識を活用して考えるのは,できるソーシャルワーカーに必要なことでしょう。
答えがすぐわかる問題ばかりであれば,知識があっても知恵がない社会福祉士が誕生することになってしまいます。
そんな社会福祉士は必要とされません。
国家試験は,知恵のある社会福祉士になってもらうための訓練の場とも言えるかもしれません。
試練に耐えて,念願の国家資格を取得してくださいね。