第35回の国家試験を受験した人は,解きにくかったと感じた人もいたように思います。
問題自体は,それほど変わったものではなくても,出題の仕方を変えることで難易度が上がることがわかる感想です。
タクソノミーⅡ型,Ⅲ型は,例示しての出題のようなので,知識を例に合わせて考えることが必要です。
第35回の代表的なタクソノミーⅡ型の一つは,以下の問題でしょう。
第35回・問題76 次の記述のうち,医療チーム内で専門分野を超えて積断的に役割を共有するトランスディシプリナリモデルの事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Fさんの病状が急変したため,医師は,看護師へ静脈注射機材の準備,薬剤師へ薬剤の準備,医療ソーシャルワーカーへ家族への連絡の指示を出した。
2 災害発生による傷病者の受入れのため,G病院長は,全職員の招集,医師へのトリアージ,看護師へ手術室の準備,医事課職員へ情報収集などの指示を出した。
3 Hさんの食事摂取の自立の希望を達成するため,理学療法士は座位保持,作業療法士は用具の選定,管理栄養士は食事形態,看護師は食事介助の工夫を行った。
4 一人暮らしで在宅療養中のJさんの服薬管理について,往診医,訪問看護師,薬剤師,訪問介護員,介護支援専門員等の自宅への訪問者それぞれが,Jさんとの間で確認することにした。
5 自立歩行を希望するKさんの目標をゴールに,理学療法士,作業療法士,看護師,介護福祉士とでケースカンファレンスを行い,立位保持訓練の方法を検討した。
トランスディシプリナリモデルはチームワークモデルの一つです。
一般的には,役割を交換して実務を行うことを言いますが,医療現場は,業務独占の専門職が存在するので,実際に役割を交換することはできません。
そういった意味で,この問題はとてもよい出題をしたように思います。
この問題の中で,本来自分が行うものと違う業務に関するものでありそうなのは,選択肢4と5でしょう。
しかし,選択肢4は,服薬管理という目標を共有して,それぞれの専門職がかかわっているので,インターディシプナリーモデルだと言えます。
ということで,正解は選択肢5だと考えます。
5 自立歩行を希望するKさんの目標をゴールに,理学療法士,作業療法士,看護師,介護福祉士とでケースカンファレンスを行い,立位保持訓練の方法を検討した。
1 Fさんの病状が急変したため,医師は,看護師へ静脈注射機材の準備,薬剤師へ薬剤の準備,医療ソーシャルワーカーへ家族への連絡の指示を出した。
2 災害発生による傷病者の受入れのため,G病院長は,全職員の招集,医師へのトリアージ,看護師へ手術室の準備,医事課職員へ情報収集などの指示を出した。
3 Hさんの食事摂取の自立の希望を達成するため,理学療法士は座位保持,作業療法士は用具の選定,管理栄養士は食事形態,看護師は食事介助の工夫を行った。
この3つは,マルチディシプナリーモデルです。
今後は,こういったタイプの問題が随所で出題されることが予測されるので,例示できるくらいの知識にして国家試験に臨むことが求められるでしょう。