国家試験が終わると「今までと傾向が変わった」という感想が多く聞かれます。
しかし,受験生が感じるほど,傾向は大きく変わっていることはありません。
第35回国家試験では,タクソノミーⅡ型・Ⅲ型の出題が多くなったものの,結局は今までにも出題されていたものでした。
国家試験は常に一定程度変化しています。
そうでなければ,現場では役立たない「知識があっても知恵のない社会福祉士」を生み出すことになってしまいます。
今回は,第35回を振り返るシリーズの最後です。
第35回・問題9 次の記述のうち,性格特性.の5因子モデル(ビッグファイブ)の1つである外向性の特徴として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ささいなことで落ち込みやすい。
2 新しいことに好奇心を持ちやすい。
3 他者に対して親切である。
4 他者との交流を好む。
5 責任感があり勤勉である。
うまい出題です。
社会福祉士の国家試験は,選択肢が5つ必要です。ビッグファイブも5つなので,ぴったり合います。
ビッグファイブは,「外向性」「神経症傾向」「誠実性」「調和性」「(経験への)開放性」(知的好奇心)の5つが特性因子であるとするものです。
こんなものでもタクソノミーⅡ型として出題することができることに軽い感動を覚えます。
このような問題を出題されると驚きます。しかし,落ち着いて考えると設問は,外向性なので,ビッグファイブでなくても,外向性を示すものを選べば正解できます。
これが,経験への開放性だったら,難易度はぐんと上がったことでしょう。
それでは,解説です。
1 ささいなことで落ち込みやすい。
→ 神経症傾向
2 新しいことに好奇心を持ちやすい。
→ (経験への)開放性
3 他者に対して親切である。
→ 調和性
4 他者との交流を好む。
→ 外向性
5 責任感があり勤勉である。
→ 誠実性
ということで,正解は選択肢4の「他者との交流を好む」でした。
〈今日の一言〉
今日の問題の難易度は,かなり高いです。
なぜなら思考して答えるタクソノミーⅡ型だからです。
問われていること自体は,それほど難しくありません。
タクソノミーⅡ型・Ⅲ型は,知識があっても思考がうまくできないと正解することができないので,勉強する際は,簡単にでも例示できるくらいの知識にするように心がけましょう。