第37回国家試験から新しいカリキュラムによる出題となります。
そのためなのかどうかはわかりませんが,出題基準に示されたものの穴埋めのような出題が続いています。
戦略的な出題がなされてこなかったということなのでしょう。
第35回の国家試験で象徴的だったのは「高齢者」でしょう。
この科目が10問あるのは,平成19年度カリキュラム改正で,「老人福祉論」と「介護概論」が統合されたためです。
さて,今日のテーマは「お久しぶりね」問題です。
ソーシャルワークのプロセスの終結(ターミネーション)は,平成19年カリキュラム改正では,1問丸ごと出題されたことがありませんでした。
その穴を埋めるように第35回に出題されています。
それでは,その問題です。
第35回・問題103 相談援助の過程における終結に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルワーカーが,アセスメントを行い判断する。
2 残された問題や今後起こり得る問題を整理し,解決方法を話し合う。
3 クライエントのアンビバレントな感情のうち,肯定的な感情に焦点を当てる。
4 クライエントは,そのサービスを再利用しないことを意味する。
5 問題解決の過程におけるソーシャルワーカーの努力を振り返る。
正解は,選択肢2です。
実はこの問題は「お久しぶりね」問題です。第21回にほとんど同じ内容の問題が出題されています。
第21回・問題120 ソーシャルワーク過程における終結に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
1 終結の時期は,援助の必要性とその充足度を評価してソーシャルワーカーが決定する。
2 終結の際には,問題解決に至るまでのソーシャルワーカーの努力を肯定的に評価し,それをクライエントと共有する。
3 終結の際には,残された問題の確認とその解決方法についての検討を行う。
4 援助の終結は,クライエントがその社会福祉機関・施設を今後利用しないことを意味する。
5 終結の焦点は,クライエントの主観的側面ではなく,問題解決の程度を客観的に評価することに向けられる。
ほとんど内容は一緒です。
正解も第35回と同じです。
3 終結の際には,残された問題の確認とその解決方法についての検討を行う。
この問題が出題されたときには不思議な問題だと感じました。
もう10年以上前のことです。
不思議だと思ったのは,選択肢1です。
1 終結の時期は,援助の必要性とその充足度を評価してソーシャルワーカーが決定する。
こんなものに引っ掛かる人はいるのかと思ったのですが(失礼),チームfukufuku21のメンバーも当時引っ掛けられた人がいます。国家試験は怖いものです。
〈今日の一言〉
3年間の過去問を完璧に覚えても合格に必要な知識量には足りません。
参考書は過去問を加工してつくります。つまりもっと以前からの過去問の内容を網羅しているということになります。
参考書に書かれていないものも出題されます。
しかし,その多くは参考書に書かれている内容で十分に対応可能です。