2023年2月13日月曜日

第35回国家試験におけるタクソノミーⅡ型の問題~その2

社会福祉士の国家試験は,出題範囲が広いですが,やみくもに出題されているわけではありません。

 

国家試験の実施機関として指定されている公益財団法人社会福祉試験・振興センターは,「出題基準」を示しています。

 

その範囲には収まっていないと思われる出題もなくはないですが,基本的に出題基準の範囲から出題されます。

 

平成19年度の改正カリキュラムによる国家試験は,第22回に始まり,第36回で終了します。

 

37回からは,令和元年度の改正カリキュラムによる国家試験となります。

このカリキュラムの出題基準はまだ発表されていませんが,早めに発表されることが予測され,第37回以降に受験する人は,その内容を学んでいくことになります。

 

さて,第36回国家試験は,平成19年度の改正カリキュラムの最後の年です。

35回国家試験もそうでしたが,第36回国家試験は,受験対策しやすい時です。

 

22回以降,国家試験を繰り返してきたので,どこがどのように出題されるかが明確になっているのです。

 

しかし,受験生を苦しめるのは,タクソノミーⅡ型・Ⅲ型の出題です。

 

35回・問題135 事例を読んで,B社会福祉士が,Cさんの希望を踏まえて特に意見を聴くべき職種として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 急性期病床を有する病院に医療ソーシャルワーカーとして勤務するB社会福祉士は,10日前から入院中のCさん(79歳,一人暮らし)の退院時カンファレンスに臨んだ。その会議には,Cさんを担当する看護師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士・言語聴覚士・医療ソーシャルワーカー,Cさん本人が同席した。Cさんは軽度の脳梗塞を初めて発症して入院し,その後の治療等によって,基本的な日常生活動作や,言語・コミュニケーションに関する症状はほぼ消失したため,医学的には定期的な外来通院に移行できる状態である。しかし,利き腕の右手を動かしづらく,既存の調理器具ではうまく調理ができなくなっており,在宅生活には支援が必要な状況である。Cさんは,「調理はずっと行ってきたことなので,上手にできるようになりたい」と希望している。

1 看護師

2 理学療法士

3 作業療法士

4 管理栄養士

5 言語聴覚士

 

それぞれの専門職がどのような専門性をもっているのかを理解していないと確実に正解することは困難です。

 

正解は,選択肢3の「作業療法士」です。

 

理学療法士と作業療法士の違いを明確にわかっていることがこの問題で正解するために必要です。

 

職種

法に規定される業務

理学療法士

身体に障害のある者に対し,主としてその基本的動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マツサージ,温熱その他の物理的手段を加えること。

作業療法士

身体又は精神に障害のある者に対し,主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため,手芸,工作その他の作業を行なわせること。

言語聴覚士

音声機能,言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため,言語訓練その他の訓練,これに必要な検査及び助言,指導その他の援助。

 

応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るのが,作業療法士です。

 

この問題の難易度は決して高くはありません。なぜなら,そこそこの知識があれば,看護師,管理栄養士,言語聴覚士は,消去することが可能だからです。

 

試験後に,「2つまで絞り込めた」ということをよく聞きます。

 

しかし,残った2つから正解を選ぶためには,確実な知識に裏づけられた応用力が必要です。ここが合否を分けます。

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