社会保障給付費に関する出題は,第22回以降では,
第22,23,25,26,27,28,29,30,32,34回に出題されています。
近年は1年おきの出題になっていますが,出題頻度が高いことに変わりはありません。
社会保障給付費の機能別内訳では,少子化対策で「家族」に関する給付が伸びてきていますが,それでもまだまだ低いレベルです。
国が目指す全世代型とは,高齢者に偏っていたものを子育て世代などに対する給付を増やすことです。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題50 「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会保障給付費の対国内総生産比は20%を超えている。
2 政策分野別社会支出の構成割合が最も高いのは,「家族」に対する支出である。
3 政策分野別社会支出のうち,「住宅」支出の構成割合は10%を超えている。
4 部門別社会保障給付費の対国内総生産比をみると,「医療」が最も高い。
5 社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い。
これまでに,何度も何度も繰り返し目にしてきた問題だと思いますが,国試前にはやっぱり確認しておきたい筆頭は社会保障給付費でしょう。
社会保障給付費に関連して覚えるものが多いために,得点できない人が多いみたいです。
正解は,選択肢1です。
1 社会保障給付費の対国内総生産比は20%を超えている。
注意したいのは,対国民所得比です。
対国内総生産比は約20%です。
対国民所得比は約30%です。
それでは,ほかの選択肢も簡単に解説します。
2 政策分野別社会支出の構成割合が最も高いのは,「家族」に対する支出である。
OECD基準の社会支出が出題されたのは,この時が初めてでした。
ILO基準の社会保障給付費とでは計上されるものが少し異なりますが,基本はほとんど同じです。
つまり,家族は少なく,最も多いのは高齢です。
3 政策分野別社会支出のうち,「住宅」支出の構成割合は10%を超えている。
社会支出は,最も多い「高齢」と2番目の保健医療を合わせると80%にもなります。
ほかの項目の割合は,10%を超えることはなさそうだと判断してほしいです。
4 部門別社会保障給付費の対国内総生産比をみると,「医療」が最も高い。
社会保障給付費の内訳で最も多いのは,年金です。しかし,対国内総生産比となると迷ってしまいがちです。
対国内総生産比ももちろん年金が最も多くなります。金額が最も多いのは年金なので,対国内総生産比も当然,年金が最も多くなります。
5 社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い。
社会保障財源で最も多いのは,社会保険料です。これまで何度出題されたかわからないくらい繰り返し出題されています。
なお,公費負担の内訳は,国が70%,地方が30%です。