2024年5月31日金曜日

マイナス思考をプラスに変える! リフレーミングでやる気アップ!

時間がない

眠くなる

頭に入らない

年齢のせいで記憶力が落ちている


など,ネガティブな気持ちになる言葉は受験生の近くにはたくさん転がっています。


リフレーミング


聞いたことありますか?


リフレーミングとは


見方・考え方を変える技法です。


もし,先ほどのような言葉が頭に浮かんで来たら,リフレーミングしてみましょう。


時間がない。それは良いですね。なぜなら,それだけ充実した生活を送っている証拠です。


眠くなる。それは良いですね。なぜなら,眠れるわけですから。眠くなるのは精神が安定している証拠です。


頭に入らない。それは良いですね。なぜなら,頭に入れようとしているから頭に入らないと感じます。


年齢のせいで記憶力が落ちている。そうなんですね。年齢のせいで記憶力が落ちていると感じているのですね。年齢を重ねた分,いろいろな経験が勉強に生きて来ますよ。


これらは,人とのやり取りですが,自分の中でも自問自答することができます。


マイナス言葉が出て来そうになったら,リフレーミングしてみましょう。


今,勉強が難しいと思っていませんか? それはとても素敵なことですね。なぜなら,新しいものにチャレンジしている証拠だからです。


難しい試験だからこそ,チャレンジする意義があります。

明るい明日に向かって進んでいきましょう。


リフレーミングや解決志向アプローチの質問技法は,実生活にも使えます。


それでは今日の問題です。


第25回・問題2 

加齢に伴う心身の変化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 体重から体脂肪量を差し引いた,除脂肪体重が増加する。

2 流動性知能は,高齢になるまで変わらない。

3 加齢による聴力の低下は,低い音(低周波領域)から始まる。

4 中重度の要介護高齢者では,低栄養を来しやすい。

5 加齢によっても,嚥下機能は低下しにくい。


今日の問題は,加齢に関する問題です。


国試では,子どもの発達と加齢に関するものの出題が多いです。

ポイントを押さえれば比較的簡単です。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 体重から体脂肪量を差し引いた,除脂肪体重が増加する。


加齢とともに脂肪が増えていきます。


体重は変わらずとも,脂肪が増えた分,脂肪を除いた体重(除脂肪体重)は減少します。


よって×。


2 流動性知能は,高齢になるまで変わらない。


流動性知能と結晶性知能は,しっかり違いを覚えておきましょう。


加齢に伴い低下するのが流動性知能

加齢によって低下しないのが結晶性知能


つまり高齢になるまで変わらないのは結晶性知能です。


よって×。


3 加齢による聴力の低下は,低い音(低周波領域)から始まる。


これは間違う人は少ないでしょう。経験的にもよく知られているものです。


もちろん高い音ですね。


よって×。


こんな誰もが×をつけられるような問題でさえ,国試会場では間違ってしまうことがあるのが怖いところです。


低い音が聞こえなくなるのは伝音性難聴

高い音が聞こえなくなるのは感音性難聴


老化に伴い,音が聞こえにくくなるのは,感音性難聴です。


4 中重度の要介護高齢者では,低栄養を来しやすい。


高齢者介護に携わっている人なら分かると思いますが,低栄養状態になりやすいです。


そのため介護保険でも栄養に関して,栄養改善加算,栄養マネジメント加算があります。

病院では,NST(栄養サポートチーム)を組織して活動しています。


もちろん答えは正解です。


5 加齢によっても,嚥下機能は低下しにくい。


これも高齢者介護に携わっている人ならよく分かると思いますが,嚥下機能は低下することで,誤嚥リスクが高まります。


よって×。


〈今日のヒント〉


一つひとつの問題を丁寧に見ていくと決して問題自体は難しくはないことを実感することができるでしょう。


しかし,国試では解説してくれる人はいません。

自分で手掛かりを見つけながら解いていくことになります。


過去問は何度も解いていくと答えを覚えてしまうこともあるでしょう。

機械的に解いても問題を読み解く力は向上しません。


答えを覚えてしまっても,毎回しっかり問題文を読むことが大切です。


そうすることで,国試当日,一見難しそうであっても,その中から手掛かりを見つけ出すことができるようになっていきます。


今は参考書中心の勉強で良いですが,最後までそれ一本で行っては絶対にだめです。

問題を解く訓練をする必要があるからです。

2024年5月30日木曜日

結果の出る勉強法~自己満足の勉強法はやめてください!!

前回も書いたように,夏は何よりも重要な時です。


今を逃すと,合格はどんどん遠ざかってしまいます。


もう既に勉強をしている人

これから勉強を本格スタートする人


いろいろな人がいると思います。


特に注意したいのは・・・


点数を取りにくい科目に時間をかけすぎて,本来得点しやすい科目の勉強がおろそかになることです。


子ども頃も経験したと思いますが,得意な科目はどんどん伸びたのではないでしょうか。


それに比べて不得意な科目は勉強してもそれほど点数が伸びなかったのではないでしょうか。


時間がたっぷりあれば,苦手科目を攻略することはとても意味のあるものだと思います。


自信にもなるでしょう。


しかし,国試まで8か月という限られた期間では,自己満足のための勉強ではなく,結果が出る勉強でなければなりません。


自己満足できても,合格できなかったら,意味がありません。


得点しやすい科目は専門科目が多い。

得点しにくい科目は共通科目が多い。


勉強が思うように進まないという人は,勉強する科目の順番を変えてみる工夫も必要です。


上記をヒントに,得点しやすい科目と得点しにくい科目を交互に組んでいくという方法も有効です。


また近接領域の科目を関連づけていくという方法もあります。


歴史や人名を覚えるのが苦手という人は大勢います。


出題されたとしても,多くて1科目1問です。


そんなところに多くの時間をかけるのはもったいないです。


他の領域で十分逆転できます。


苦手科目の中にも比較的苦手ではない領域はあるはずです。


問題を解くコツをつかんで試験に臨めば,0点を恐れる必要はありません。


試験委員は,勉強していた人が0点にならないようにちゃんと仕掛けをしてくれているからです。


トラップも仕掛けますが,その逆に0点を取らないように工夫もしてくれているのです。


勉強しても点数が取りにくい科目に時間をかけすぎて,勉強すれば得点が伸びる科目に時間をかけすぎるのは,間違った勉強法です。


第26回・問題150 

保護観察官の業務として行う「専門的処遇プログラム」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 専門的処遇プログラムは,心理療法の一つである認知行動療法が基になっており,自発的意思に欠ける対象者には適用とならない。

2 専門的処遇プログラムを受けるのは仮釈放者ではなく,保護観察付執行猶予者である。

3 専門的処遇プログラムの一つである覚せい剤事犯者処遇プログラムは,簡易薬物検出検査と組み合わせて,断薬の意思を強化しながら実施する。

4 専門的処遇プログラムの一つである性犯罪者処遇プログラムは,逸脱した性的欲求を低下させることに焦点を当てて実施する。

5 就労が優先すると認める場合には,保護観察官の判断により,専門的処遇プログラムの実施を取りやめることができる。


専門的処遇プログラムは・・・


保護観察処分に付された者に対して,特別遵守事項として実施されるものです。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 専門的処遇プログラムは,心理療法の一つである認知行動療法が基になっており,自発的意思に欠ける対象者には適用とならない。


認知行動療法が基になっていることは正しいです。


しかし専門的処遇プログラムは,特別遵守事項として行われるものです。


ちゃんとやらなければ,不良措置として,仮釈放や執行猶予が取り消されることもある必ず遵守しなければならないものです。


自発的意思の有無は関係なく,取り組まなければなりません。


よって×。


2 専門的処遇プログラムを受けるのは仮釈放者ではなく,保護観察付執行猶予者である。


仮釈放者も保護観察に付されると対象となります。


よって×。


3 専門的処遇プログラムの一つである覚せい剤事犯者処遇プログラムは,簡易薬物検出検査と組み合わせて,断薬の意思を強化しながら実施する。


薬物乱用は抜け出すのがとても難しいこともあり,再犯率が高いものです。


そのために覚せい剤事犯者処遇プログラムがあります。

断薬の意思を強化するのはとても重要なものです。

よって正しいです。


4 専門的処遇プログラムの一つである性犯罪者処遇プログラムは,逸脱した性的欲求を低下させることに焦点を当てて実施する。


専門的処遇プログラムは,認知行動療法に基づくものです。


問題となる行動を分析し,同様の行動を起こさないように訓練していきます。


よって×。


逸脱した性的欲求を低下させるのはどうやったらできるのかは分かりませんが,そういう欲望は抑圧されると,その反動が大きいように思います。


5 就労が優先すると認める場合には,保護観察官の判断により,専門的処遇プログラムの実施を取りやめることができる。


特別遵守事項を定めるのは,保護観察所の長あるいは地方更生保護委員会です。


決定を変更できるのは,決定した者です。


つまり,保護観察所の長あるいは地方更生保護委員会です。


保護観察官ではありません。


よって×。


この原則は,ほかの法制度も同様です。


国試まで8か月。


効率よく勉強を進めたい時期です。


もし4月から勉強を始めたのにかかわらず,現代社会辺りで止まっているとしたら,勉強法に問題ありです。


比較的得意そうな科目に見当をつけて,そこから取り組み直す方法を提案します。


苦手科目があっても得意科目があれば必ず合格基準点に到達します。


再来年に受験するという方へ・・・


時間はたっぷりあります。

苦手科目をしっかりつぶして行ってもまだまだ時間はあります。


今から勉強を始めることは,確実に合格できる方法の一つです。

8月はすべての方にとって重要な時です。


チームfukufuku21と一緒に合格を目指して頑張りましょう。

2024年5月29日水曜日

多い知識よりも,しっかりした知識をつけること

 決して合格は難しくないのに,勉強不足で不合格になるのはもったいないです。


昔から自分は

記憶するのが得意だ

という方なら,短期決戦に向くかもしれません。


なぜなら,このような人は覚え方のコツを知っているからです。


もし

記憶するのはそんなに得意ではない

と感じているなら,夏場は特に重要な時期と言えます。


同じことを何度も書きますが,ある程度基礎力をつけるには時間がかかります。


チームfukufuku21は,最低4か月は必要だと見積もっています。


スタートが遅くなればなるほど,合格が厳しくなっていくのは,火を見るよりも明らかです。


さあ,ここで本気を出しましょう!!


さて,今日の問題です。


第26回・問題149 

「医療観察法」が定める医療観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「医療観察法」が制定されたことにより,「精神保健福祉法」が定めていた措置入院の制度は廃止された。

2 「医療観察法」が規定する審判は,地方裁判所において裁判官と裁判員との合議体により行われる。

3 裁判所により入院命令が言い渡された場合,その対象者に対して医療を実施する指定入院医療機関は. 法務大臣が指定した病院である。

4 精神保健観察の実施機関は,法務省が所管する保護観察所であり,保護観察所に配属される社会復帰調整官がその事務に従事する。

5 入院によらない医療を受けさせるいわゆる通院決定がなされた場合,その通院医療の期間には制限がない。


医療観察法は,更生保護法と並び,もう一つの山と言えます。


医療観察法の覚えるポイントはとても少ないです。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 「医療観察法」が制定されたことにより,「精神保健福祉法」が定めていた措置入院の制度は廃止された。


精神保健福祉法の措置入院は,自傷他害の恐れがある時に,精神保健指定医2人以上が診察して一致した場合に都道府県知事等の措置によって行われる入院形態です。


精神保健福祉法による入院形態

任意入院

医療保護入院

措置入院

緊急措置入院

応急入院


の違いをしっかり覚えておきましょう。


医療観察の目的とは・・・

心神喪失または心神耗弱(こうじゃく)の状態で,殺人,強盗,放火,不同意性交等,不同意わいせつ,傷害,の重大な他害行為を行った者の社会復帰を促進すること。


精神保健福祉法の措置入院は「自傷他害の恐れがある場合」の入院です。

医療観察とはまったく違います。


当然今も措置入院に限らず,精神保健福祉法による入院はあります。

よって×。


2 「医療観察法」が規定する審判は,地方裁判所において裁判官と裁判員との合議体により行われる。


裁判員制度は国民が審判にかかわることで裁判が身近で分かりやすいものになることを期待されて導入されたものです。


裁判員のような精神保健福祉の素人が審判するわけがありません。


裁判官と精神医療の専門家である精神科医が選任される精神保健審判員の合議体で審判します。


よって×。


医療観察は,そんなに簡単に行われるものではありません。


3 裁判所により入院命令が言い渡された場合,その対象者に対して医療を実施する指定入院医療機関は,法務大臣が指定した病院である。


更生保護制度も医療観察制度も福祉の領域のものではなく,司法制度の領域のものです。


管轄しているのはもちろん厚生労働省ではなく,法務省ということになります。


縦割りになっていることが多い行政ですが,医療は専門外の法務大臣が医療機関を指定するのは,危険極まりないです。


餅は餅屋。

医療は厚生労働大臣の協力が必要です。

指定は厚生労働大臣が行います。


よって×。


医療観察は,指定入院医療機関と指定通院医療機関で実施します。


私立病院も通院医療機関の指定を受けることができますが,入院医療機関の指定は,私立病院は指定を受けられず,国,都道府県の設置する病院に限定されています。


この部分は,第一種社会福祉事業の実施主体に似ていますね。


福祉の場合は社会福祉法人という特殊法人も第一種社会事業を行なうことができます。


4 精神保健観察の実施機関は,法務省が所管する保護観察所であり,保護観察所に配属される社会復帰調整官がその事務に従事する。


精神保健観察は,入院によらない医療を行う通院決定がなされた場合,通院治療しながら社会復帰調整官の見守り助言を受けて地域生活を送るものです。


精神保健観察は,更生保護法に規定される保護観察所が実施機関となって行われます。


よって正解です。


保護観察所は,保護観察と医療観察を行い,保護観察官と社会復帰調整官が配置されています。


5 入院によらない医療を受けさせるいわゆる通院決定がなされた場合,その通院医療の期間には制限がない。


期間には原則3年間という制限があります。


必要な場合は最長2年間の範囲で延長もあります。


よって×。


何度も同じことを書きますが,この科目は多くの人があまり勉強しないものです。


しかし範囲は狭いのでちょっと勉強すれば,すぐ得点力がつく科目です。


こんなところで数点の差がつくものです。


勉強すれば取れる問題を確実に得点していくのが,実は最も合格に近づくことになります。


〇〇が出るかもしれないよ。一応見ておいてください


そういう先生は多いです。


しかしチームfukufuku21はそういうことを言って,受験生の覚えさせる範囲を広げさせる先生は嫌いです。


そう言った先生は,そこから出題されれば「ほらね」と自己満足するでしょう。


しかし,どこから出題されるか分からない白書や報告書に目を通しても,それを押さえておくことはかなり難しいです。


気分転換に目を通しておく程度が良いのではないでしょうか。


覚える範囲を広げさせる先生は,受験生に何点取らせるつもりなのかなぁ,と思ってしまいます。


6割取るのは決して簡単なことではありませんが,基本ポイントを押さえていけば必ず合格基準点は超えられます。


中途半端な知識がたくさんあるよりも,数は少なくても確実な知識があった方が得点できます。


国試は,みんなが思うほど,深い知識は求められていません。

ましてや広い知識がなくても何とかなります。


再受験を目指す人は,国試に失敗したのは知識が足りなかったからだ,と考えていませんか?


合格・不合格は,紙一重の差です。


国試に合格できなかったのは,本来なら解けた問題でミスしてしまったことが大きいです。


 <今日の一言>


「知識が足りなかった」と思って,知識を増やすのは失敗の元です。

基本ポイントを押さえていけば,必ず合格基準点は超えられます!!

2024年5月28日火曜日

勉強のエンジンがかからない人へ

なかなか勉強に身が入らない,という声をお聞きします。


たしかにそのお気持ちはよくわかります。


他にやるべきことが多く,いざ勉強をしようと思ったらすっかり疲れ切っているのではありませんか。


そんな方へのアドバイスです。


まとまった時間を作って勉強しようとしているところに無理があるのではないでしょうか。


いつでもどこでも勉強できるようにしてみてはいかがでしょうか。


参考書であれば,科目ごとに切り離してしまう。


コピーして持ち歩く。


スマホなどを活用した勉強法もあります。


ある人は,車を運転中,赤信号で停車中にも開いてみた,とのことです。


1分だとしても10回信号に引っかかれば10分勉強にもなります。


すごい執念ですね。


再受験の方は「勉強してもまただめだったらどうしよう」とも思われる方もいらっしゃいます。


合格・不合格は紙一重。


「試験会場から帰ってきて,冷静に読めば正解できた問題はいくつもあった」という声は本当によく聞きます。


しっかり読めば合格できた可能性もあったということでしょう。


それだけ紙一重だと思います。


実力差はないと言っても良いです。

ここで気持ちが折れてはもったいないです。


ここで気持ちを入れ替えて,勉強を進めましょう。


気持ちが弱くなった時に,ぜひ自分に問いかけてみてください。


なぜ私は社会福祉士を取りたいの?


どうして社会福祉士の資格を取りたいと思ったの?


社会福祉士になったら何をしたいの?


根性はある程度は必要かもしれません。


しかし,勉強が辛いと思ったらモチベーションは長続きしません。


勉強を楽しいと思うのは大変なことだと思います。


しかし,勉強は目的に到達するための手段であると思えれば何とかなりそうだと思いませんか。


無理は禁物!!


無理は,今日は頑張れても,気持ちが弱くなったとき,体調がよくないことがあったら,それをきっかけに勉強が進まなくなってしまいます。


8か月あれば,十分合格にたどり着くための「知識」「解く技術」は身につけられます!!


短いようで長いです。


モチベーションを保つことを考えながら8か月を乗り切りましょう!!


さて,それでは今日の問題です。


第26回・問題148 

更生保護施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 更生保護施設を運営するのは,更生保護法人でなければならない。

2 更生保護施設は,被保護者に対して,宿所や食事の提供だけでなく,酒害・薬害教育やSST(社会生活技能訓練)などの処遇も行う。

3 更生保護施設が保護観察所の長の委託に基づいて行う更生緊急保護の期間は,最大6か月間と定められており,延長は認められない。

4 更生保護施設が被保護者の保護に要した費用のうち,保護観察所の長の委託に基づく保護に要した費用については,国と都道府県が支弁する。

5 更生保護施設の補導員は,保護司を兼ねることができない。


更生保護制度は,司法制度の一つです。


国の責任で実施されるもので,地方公共団体の自治事務として行われる福祉制度と性格が異なります。


その中で,ちょこっと福祉に似ているのが,今日の問題の更生保護施設です。

どこが似ているかというと,社会福祉事業を行う法人として社会福祉法に規定される社会福祉法人に対し,更生保護事業を行う法人として更生保護事業法に規定される更生保護法人があるところです。


しかも公益事業も収益事業も行えることもそっくりです。


なお以前は,更生保護施設を運営できるのは,更生保護法人のみとされていましたが,現在は規制緩和に伴い,更生保護法人以外でも認められ,社会福祉法人,NPO法人,社団法人も運営しています。


更生保護施設とは,出所等ののち,帰住するべき場所がない人を保護して再出発の支援をする施設です。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 更生保護施設を運営するのは,更生保護法人でなければならない。


先述のように,更生保護法人以外も運営できます。


よって×。


2 更生保護施設は,被保護者に対して,宿所や食事の提供だけでなく,酒害・薬害教育やSST(社会生活技能訓練)などの処遇も行う。


更生保護施設は,出所等をした人の自立を支援する施設です。


宿所や食事を提供するだけではなさそうな感じはありますね。


すべての施設で酒害・薬害教育やSSTを行ってはいませんが,一部の施設で行っています。


よって正解です。


3 更生保護施設が保護観察所の長の委託に基づいて行う更生緊急保護の期間は,最大6か月間と定められており,延長は認められない。


緊急更生保護は,対象者が申し出て,保護観察所の長が必要と認める場合に実施されます。


別な言い方をすれば,保護観察所の長が必要と認めても,対象者が申し出なければ行われません。


また,保護観察に付されている者にも行われません。


期間は,6か月以内,必要な場合は6か月を超えない範囲で延長することができます。


よって×。


4 更生保護施設が被保護者の保護に要した費用のうち,保護観察所の長の委託に基づく保護に要した費用については,国と都道府県が支弁する。


更生保護は,国の責任で行いますが,社会保障の範囲にある生活保護とは違います。


法定受託事務でも自治事務でもありません。


生活保護も国の責任で実施されますが,地方の負担はありません。


ここが更生保護制度の特徴だと言えます。


都道府県の負担はないので×。


5 更生保護施設の補導員は,保護司を兼ねることができない。


補導員は,生活指導などを行う職員です。


保護司を兼ねている人が多いようです。


よって×。


本当に兼ねることができないとしたら,兼任することで不都合があるからでしょう。


そんなことはなさそうですね。

少し想像できれば×はつけられたと思います。


それよりも選択肢2は,勉強している人なら,絶対に〇を付けられたことでしょう。というか〇をつけてほしいと思います。


国試は難しそうに見えますが,ポイントを押さえた勉強をして,国試当日は落ち着いて問題を読むことができれば,合格基準点は超えることができます。

2024年5月27日月曜日

国試まで8か月。学習計画の立て方

時間があるときは,勉強の選択肢はたくさんあります。


じっくり自分に合った勉強法を見つけ出すことができることでしょう。


しかし,時間の経過とともにその選択肢がどんどん少なくなっていきます。


10月から勉強しても合格できるよ


チームfukufuku21にとって有難くないアドバイスです。


10月から勉強しても合格はできます。

実際にそのようなアドバイスをするのですから,間違いではない情報だと思います。


しかし,そこには,どのような勉強をしたのか,どのくらいの時間をかけたのか,という視点が抜けています。


一日4時間ではだめ,一日5時間が必要,なんて落とし穴が待っているかもしれません。


来年の試験で確実に合格するつもりなら,6月にどれだけ自力をつけられるか,にかかっていると言えます。

これから勉強を本格始動する方は,特にしっかり学習計画を立てていただきたいと思います。

全過程を10とカウントすると,

インプット6:アウトプット4の割合が理想です。


既に勉強を進めている方は,その分量が逆になってもよいと思います。


インプットを終えてからアウトプットするという進め方をする方は,11月までインプット。12・1月がアウトプットということになります。


インプット・アウトプットを交互に組み合わせる方は,6:4くらいのバランスがよいです。


60分だったとしたら,インプット40分,アウトプット20分というバランスになるでしょう。


このような勉強法が取れるのは,

8月までにスタートを切った人だけです。


9月以降に勉強を始める方は,

どこかを端折っていくことを余儀なくされます。


そこでアウトプットが端折られることが多くなると思いますが,それは間違った勉強法です。


端折るとすれば,インプットです。


なぜなら,アウトプットに時間をかけて問題を解く力を上げれば,知識不足はカバーできる可能性があるからです。


インプットに時間をかけると,知識がつきますが,言い回しを変えられたら対応不可になり,思考停止に追い込まれる恐れが高くなります。


端折らないように済み,バランスよく勉強できるためには,最低6か月が必要です。


今から本格スタートすれば,かなりの確率で合格できますが,遅くなればなるほど厳しくなるのがわかることでしょう。


今日から「刑事司法と福祉」に入ります。


この科目の中心は,更生保護法と医療観察法です。


それでは今日の問題です。


第26回・問題147 

更生保護法における保護観察に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 保護観察の目的は,犯罪をした者及び非行のある少年に対する適切な社会内処遇を行うことにより, 再犯を防ぎ,非行をなくすことである。

2 保護観察を実施する機関は,仮釈放については裁判所,保護処分については地方更生保護委員会である。

3 権力的性格を有する指導監督と福祉的な性格を有する補導援護の内容は,更生保護法において,保護観察の種類に応じて具体的に定められている。

4 保護観察官は指導監督を行い,保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。

5 更生保護法には保護者に対する措置が規定されており,保護観察官は必要があれば親に対しても指導を受けるよう命じることができる。


保護観察は,更生保護の中心です。


必ず出題されます。


しかも覚えるべきポイントは限られます。


参考書,過去問を使えば,しっかり押さえられます。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 保護観察の目的は,犯罪をした者及び非行のある少年に対する適切な社会内処遇を行うことにより, 再犯を防ぎ,非行をなくすことである。


これが正解です。


2 保護観察を実施する機関は,仮釈放については裁判所,保護処分については地方更生保護委員会である。


仮釈放の許否を決定するのは裁判所ではなく地方更生保護委員会です。


保護観察官は置かれていますが,保護観察は行いません。


保護観察を行うのは,保護観察所です。


よって×。


3 権力的性格を有する指導監督と福祉的な性格を有する補導援護の内容は,更生保護法において,保護観察の種類に応じて具体的に定められている。


保護観察には,設問のように「指導監督」と「補導援護」があります。


指導監督の中には,誰もが守らなければならない「一般遵守事項」と必要に応じて設定される「特別遵守事項」があります。


特別遵守事項には,「専門的処遇プログラム」があります。


現在は,「覚せい剤事犯者処遇プログラム」「飲酒運転防止プログラム」などが実施されています。


指導監督ともう一つには福祉的な「補導援護」があります。


これはさらに個別対応が求められるので,法で具体的に定めるような性格のものではありません。もちろん具体的に定められていません。


よって×。


4 保護観察官は指導監督を行い,保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。


この問題は何度も同じスタイルで出題されています。


保護観察官と保護司は協働して保護観察を行うものであり,役割分担はありません。


よって×。


5 更生保護法には保護者に対する措置が規定されており,保護観察官は必要があれば親に対しても指導を受けるよう命じることができる。


これはかなり難しい問題です。

しかし選択肢1が確実に答えだ,と分かる問題なので,まったく知らなくても構いません。


ただし,今後はこの出題を足掛かりにして,出題される可能性があるので,しっかり覚えておきましょう。


正しくは,命じることができる,ではなく「指導,助言その他の適当な措置をとることができる」とされています。

よって×。

2024年5月26日日曜日

最高のパフォーマンスを発揮できる勉強法

社会福祉士の国試は,出題範囲が広い,と言われます。


実際に19科目もあるわけですから,広いのでしょう。


しかし科目は多岐に渡っていますが,一つの科目のボリュームはそれほど多くはありません。


最高のパフォーマンスを発揮できる勉強法


参考書を読むだけだとどうしても集中力に欠けます。


「書く」「声で読む」「表にまとめる」などの方法があるでしょう。


しかし,これらは,すべて覚える(インプット)する勉強法です。


最高のパフォーマンスを発揮するためには,覚えるだけではだめです。


問題を解く(アウトプット)の工程が必要です。


インプット+アウトプットを組み合わせた勉強法は欠かせません。


多くの受験生は,インプットに時間をかけますが,アウトプットの時間が少ないように思います。


今まで見てきているように,一つひとつの問題はそれほど難解なものではありません


しかし解説なしで,いきなり問題を見せられると,とてつもなく難しく感じるはずです。


再来年受験される方は,このことを特に覚えておいてください。


難しく感じる壁を克服するのが「アウトプット」の訓練です。


インプットとアウトプットの組み合わせで考えたときには,参考書に書かれたものに大半を費やすよりも,アウトプットの時間の方が多い方がよいです。


これが多くの人が言う「過去問をやっていれば合格するよ」という意味のからくりです。


過去問を使って内容を覚えることはもちろん大切ですが,それよりも大切なことは,過去問を使って,問題がどのように作られているかを知ることです。


社会福祉士の国試で合格するパフォーマンスを発揮するための勉強は・・・


インプット+アウトプット


インプットだけ,アウトプットだけという偏った勉強で,受験に失敗した人をたくさん知っています。



インプットとアウトプットの組み合わせ方


最初は,ひたすらインプット,国試が近くなってきたら,アウトプット。


インプットとアウトプットを交互に組み合わせてすすめていく。


アウトプットが先でインプットがあと。それを組み合わせていく。


などがあるでしょう。


ぜひ自分に合ったうまい組み合わせ方を見つけ出して,最高のパフォーマンスを発揮しましょう!!


それでは今日の問題です。


第26回・問題145 

公共職業安定所(ハローワーク)の行う業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 総合支援資金の貸付

2 公共職業訓練のためのコースの開設

3 有料の職業紹介

4 無料職業紹介事業の許可

5 障害者雇用に対する技術的助言・指導


公共職業安定所(ハローワーク)は,職業安定法(1947・昭和22年)に規定されています。


ハローワークは身近な存在ですが,1問まるごとハローワークが出題されたのは,おそらくこの問題が初めてだったと思います。


ハローワークは,就労支援に関してとても重要な役割を担っています。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 総合支援資金の貸付


総合福祉資金は,生活福祉資金貸付制度の一つですね。


同制度は都道府県社協が行っています。申し込み窓口は市町村社協なので市町村社協と間違いやすいですが,実施主体は都道府県社協です。


しっかり覚えておきましょう。

ハローワークの事業ではないので間違いです。


2 公共職業訓練のためのコースの開設


公共職業訓練は,国・都道府県(民間に委託可)が行っています。

ハローワークは,公共職業訓練が必要な人に対してあっせんを行っています。


コースは開設しません。


よって×。


3 有料の職業紹介


ハローワークが実施する職業紹介は,有料ではなく無料です。


よって×。


4 無料職業紹介事業の許可


ハローワークのような現業部門は許可を行うことはありません。


許可を行うのは,厚生労働大臣です。


よって×。


5 障害者雇用に対する技術的助言・指導


障害者雇用促進法に基づく法定雇用率に関する報告は,よく知られていないと思いますが,ハローワークに対して行っています。


ハローワーク法定雇用率を下回っている事業主に助言・指導を行っています。


よって正解です。


これが分からなくても他の選択肢は消去できるので,結果的にこれが残ると思います。



ハローワークは,法定雇用率を大幅に下回る事業主に対して障害者雇い入れ計画の作成を命じます。


それでも改善が見られない場合は,勧告を出します。


それでも改善されない場合は,企業名を公表します。


官報や厚労省の報道発表で企業名が公表されても,大打撃を受けることはなさそうですが,1人を2人とダブルカウントできるような障害者を雇用することができたら,実は企業側の費用的なメリットはあります。


国試では,

答えはこれだ! とすぐ分かる問題は少ない


今日の問題のように,丁寧に消去することで答えがあぶり出される問題がほとんどです。

これは受験生にとって実に辛いものです。

解けたという実感がないからです。


消去がうまくできないと,正解にたどり着くのは厳しくなります。

アウトプットは,消去する技術を高めることに他なりません。

2024年5月25日土曜日

年齢は国家試験勉強に関係するか?

 国家試験勉強をしていると,覚えられないことに焦りを感じることは多々あります。


昨日勉強したはずなのに,今日開いたら,新しいページを開いているような気になることさえあります。


こんな時,記憶力の低下を実感するかもしれません。


しかし,以前に書いたように,脳の機能低下そのものによる記憶力の低下よりも,いろいろなことがじゃまするために,子どもの時のように反復して覚えることができない,ということの影響の方が大きいと考えています。


私は〇歳だから,覚えられない。限界を感じる


とよく聞きます。


その気持ちは痛いほど分かります。


しかし,逃げ道を作っても,良いことはないので,何か自分なりに勉強法を工夫してみませんか。


子どもとは違うので,昔やった方法と同じでは効果を出すのはちょっと厳しいかもしれません。


人生経験豊富な社会人には


若者や子どもにはない知識と知恵がある!


いわゆる結晶性知能です。


結晶性知能は年齢的にも向上していきます。


これを学習に活かさない手はありません。


無味乾燥に感じるものでも,ひと工夫を加えることで,見え方も変わって来ます。


さて,それでは今日の問題です。


第26回・問題142

次の記述のうち,次世代育成支援対策推進法に定められている内容として,正しいものを1つ選びなさい。

1 国に,児童の適切な保護又は支援を図るため,要保護児童対策地域協議会の設置義務が課されている。

2 都道府県に,次世代育成に関する相談その他の援助の業務を行う児童委員を置くこととされている。

3 市町村は,児童の適正な保護又は支援を図るために必要があると認めるときは,一時保護を行うことができる。

4 常時雇用する労働者が一定数以上の事業主には,次世代育成支援の実施に関する計画の策定義務が課されている。

5 企業は,雇用する労働者の申出により,3歳に達するまでの子について育児休業の取得を認めなければならない。


次世代育成支援対推進法に関する問題です。


同法は,子どもが健やかに生まれて育つ環境を社会全体で整備することを目的に,2003年に成立したものです。


同法では,行動計画を規定しています。


10年の時限立法でしたが,10年延長中です。

この延長に伴い,市町村・都道府県行動計画の策定は任意になりました。


101人以上雇用する一般事業主の行動計画の策定義務はそのまま残っています。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 国に,児童の適切な保護又は支援を図るため,要保護児童対策地域協議会の設置義務が課されている。


この選択肢を見て・・・


「わからない」


と思考を止めてはいけません。


日本語は漢字が基本なので,漢字を見ると意味が分かることもあります。


要保護児童は,保護が必要な児童ですから,次世代育成支援には関連しそうもないなぁ,と思えれば成功です。


同協議会は児童福祉法によるものです。


よって×。


因みに次世代育成支援対推進法が規定しているのは,次世代育成支援対策地域協議会です。


ここで思考を止めてしまうと,後半にある正解にたどり着くのは難しくなることでしょう。


最初に難しめの選択肢を配置し,受験生の思考を混乱させることで,後半に配置したやさしめの選択肢を選ぶ率を下げます。


国家試験問題の常とう手段です。


2 都道府県に,次世代育成に関する相談その他の援助の業務を行う児童委員を置くこととされている。


児童委員は児童福祉法に規定され,民生委員法による民生委員が兼任しています。


今でさえ民生委員のなり手がないのに,さらに次世代育成に関する相談の業務を行うようになったら,本当になり手がいなくなってしまいます。


もちろんこのような規定はなされていません。

よって×。


あなたが情熱あふれる児童委員でも,新たな業務を与えられたら大変だなぁ,と思うことでしょう。

それでもあなたは情熱あふれる児童委員なので,きっと継続しようと思うかもしれません。


しかしそれはあなたが情熱あふれた児童委員だからです。みんなが同じとは限りません。


日本の官僚は優秀です。彼らが作る法制度は極めて合理的です。国民の納得を得るのは,そんなに簡単なことではないからです。


3 市町村は,児童の適正な保護又は支援を図るために必要があると認めるときは,一時保護を行うことができる。


一時保護するのは,保護者から引き離す必要のある児童です。

これも次世代育成支援に関連しそうもないです。


一時保護は児童福祉法に規定されます。また市町村の業務ではなく都道府県の業務です。


よって×。


これらの問題で分かることは,この科目は児童福祉法が中心であることです。それを他の法律に絡めて出題しています。


勉強が進んだ人なら,一時保護を知らないわけはありません。


しかし,勉強が足りない人は・・・


一時保護って聞いたことがあるなぁ,と思ってこの選択肢を選んでしまいます。


勉強が足りない人の特徴は・・・


知っているものを選択肢しがちである,ということです。


4 常時雇用する労働者が一定数以上の事業主には,次世代育成支援の実施に関する計画の策定義務が課されている。


答えは,簡単なところにありました。


これが正解ですね。


一定数以上とは,101人以上ということになります。


5 企業は,雇用する労働者の申出により,3歳に達するまでの子について育児休業の取得を認めなければならない。


次世代育成支援対推進法は,先述のように,子どもが健やかに生まれて育つ環境を社会全体で整備することを目的とした法律です。


育児休業は極めて個人的な問題です。


法律の意図と違いそうです。


その通り,育児休業は,育児休業・介護休業法に規定されています。


よって×。


社会人の知識・知恵は,奥が深いです。


今まで見聞きしてきたことを手掛かりにしていけば,かなり問題を解く糸口がつかめます。


国家試験は,日本語で出題されます。

日本語的にとらえると,解ける問題はたくさんあります。


決して思考を止めてはいけません。



<今日の一言>


社会人には,記憶力に長ける学生にはない,知識・知恵がたくさんある



国家試験はマークシート。

答えは必ず問題文の中にあります。


知識・知恵を総動員して,正解にたどり着きましょう。

決して思考を止めてはいけません。

2024年5月24日金曜日

過去問を使った勉強法は社会人向き! そのコツを大公開!!

 

分厚い参考書をしっかり覚えるのも良いですが,時間が取れない社会人には,効果的とは必ずしも言えません。

参考書である程度の知識を付けたら,模擬問題や過去問をたくさん解いて勉強するのは,社会人に向いています。


その際,特に注目したいのは,正解できなかった問題です。


間違った問題でも,解説を読めば理解できると思います。



しかし時間をおいてもう一度同じ問題を解いてみると,

一度間違った問題は,また間違う率が高いです。


脳が間違って覚えているからです。



解説を読んだ時は,「なるほど」と思っただけでは,また間違う恐れがあります。



もし2回同じ問題で間違った場合は,

間違った問題は,正しい文章に書き替えてノートや参考書に書きましょう。

 

過去問や模擬問題を解くのはとても意義があるのですが,正しくない文章を見続けることになるので,間違った文章を右脳が覚えることになります。



正しい文章に書き換えることは,ただ書き写すのではなく,自分の頭で考えることになるので,とても印象深く脳に叩き込まれます。


勉強は,ひと手間かけることで効果が見違えます。



理解力が特に求められる科目では特に必要でしょう。


制度の中でもでも理解しにくい制度もあるので,その場合は図表などにまとめてみるのも良いと思います。


いずれにしても,


間違った問題は徹底的につぶし込む。



この作業を繰り返していけば,「問題が解ける」力はかなりアップします。

 

さて,それでは今日の問題です。

 

26回・問題141 

現行の児童手当制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童手当は,児童の年齢にかかわらず同一の金額が支給される。

2 児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。

3 児童手当は,児童が18歳に達する日以後の最初の331日まで支給される。

4 児童手当は,第3子の児童から支給される。

5 児童手当を受けようとする父母等は,都道府県知事の認定が必要である。

 

児童手当は,民主党政権の時に子ども手当が支給されていましたが,児童手当法自体は存続していたので,子ども手当の期限が終了して,また児童手当が支給されています。

子ども手当には,所得制限がありませんが,児童手当には所得制限があることが相違点です。


それでは,詳しく見て行きましょう。

 

1 児童手当は,児童の年齢にかかわらず同一の金額が支給される。

 

 

児童の年齢にかかわらず同一というのが,とても怪しげですね。

もちろん同一ではありません。

よって×


このようなタイプの問題は,一度読むと,もう引っかからないと思います。

 

2 児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。

 

知られていないと思いますが,事業主も拠出しています。

よって正解。

 

3 児童手当は,児童が18歳に達する日以後の最初の331日まで支給される。



子どもがいないと厳しいと思いますが,児童手当が支給されるのは,児童が15歳に達する日以後の最初の331日までです。

よって×

児童が18歳に達する日以後の最初の331日まで支給されるのは,児童扶養手当です。

これに引っかかった人は,正文化しておきましょう。

 

4 児童手当は,第3子の児童から支給される。

 

児童手当法が出来たのは1971(昭和46)年です。

最初は多子による貧困防止のために設けられました。

そのため,対象は第3子からでしたが,現在は第一子から支給されています。

よって×

5 児童手当を受けようとする父母等は,都道府県知事の認定が必要である。

 

 

認定請求書を市町村長に提出し,認定されれば支給されます。

よって×

都道府県と市町村の役割を考えた場合,都道府県が認定するとは考えにくいです。




<今日の一言>


学習は,ひと手間かけることでより効果的になります。



8
月から勉強を本格化すれば,時間に余裕があります。


焦りは,勉強の大敵です。


気持ちに余裕を持つためには,早めからのスタートは欠かせません。


特に再来年受験するという方は,たっぷり時間があります。

モチベーションを保ちながら,コツコツ頑張っていきましょう!!

2024年5月23日木曜日

合格する戦略

書店に行くと試験対策本がたくさん並ぶ時期になってきました。


何を選んで良いのか迷うことでしょう。


社会福祉士に限らず,試験対策には,「いろいろなものには手を出さず,一つを集中して使う」ことが鉄則です。


一つの参考書だと不安があるのか,複数のものを買ってしまう人もいます。


確かにこちらに出ているのに,こちらには出ていない,というものもあります。


しかしよく考えてみてください。


片方にしか出ていないというものは,頻出度はそれほど高くない


と考えられます。別な見方をすれば,複数の参考書を買う意義(皮肉です)は,「共通項を探し出し,覚えるポイントを絞り込む」というものはあるかもしれません。


でもそんな時間があるのなら,覚えることに集中した方が良いですよね。


複数のものがあっても,使い切れずどっちつかずになってしまうことは絶対に避けなければなりません。


ただ,最初に買ったものがどうしても使いにくいために,別の物に変える,ということはあるかもしれません。


しかし,その場合であって,前の物は完全に見切りをつけることが大切です。


薄っぺらい参考書ならいざ知らず,ある程度の分量がある参考書なら,その項目を選んで掲載しているのは,意味があると思います。


逆に・・・


掲載していないものにも意味があります。



今日の問題です。


第26回・問題140 

母子保健法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 妊産婦と18歳未満の子どもを対象にしている。

2 市町村長は,養育上必要があると認めるときは,その未熟児の保護者に対して保健師等による訪問指導を行うように定めている。

3 母子福祉センターの設置について定めている。

4 助産施設の設置について定めている。

5 妊婦が母子健康手帳を受け取る義務について定めている。


母子保健法は,母性および乳児と幼児の健康の保持・増進を図ることを目的に1965(昭和40)年に成立したものです。


日本の乳幼児の死亡率を大きく下げるのに貢献しました。


母子健康手帳,1歳6か月及び3歳児検診を規定しています。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 妊産婦と18歳未満の子どもを対象にしている。


対象は,先述のように妊産婦,乳児と幼児です。

よって×。


2 市町村長は,養育上必要があると認めるときは,その未熟児の保護者に対して保健師等による訪問指導を行うように定めている。


ここからがちょっと難しくなっていきます。


これが正解です。


この時点で▲をつけておいても良いです。消去法でこの選択肢が残ります。


3 母子福祉センターの設置について定めている。


母子福祉センターは母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定されている施設です。


よって×。


母子保健法が規定しているのは「母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)でしたが,法制度の改正で,令和6年4月から,市区町村子ども家庭総合支援拠点の機能と合わせて,「こども家庭センター」に生まれ変わっています。


4 助産施設の設置について定めている。


助産施設は,児童福祉法に規定されている施設です。


よって×。


5 妊婦が母子健康手帳を受け取る義務について定めている。


届け出しなければならないとは,規定されていますが,受け取る義務は規定されていません。


よって×。


受け取る義務はちょっと変ですよね。大きなお世話です。


勉強を早い時期から始めた人は,模擬問題集などで勉強を進めていく人も出てくる時期ともなります。


〈今日の一言〉


このサイトでは,過去問を使って問題の解き方を紹介していますが,国試では,まったく同じ文章では出題してくれません。



模擬試験や模擬問題集は,新しい切り口の問題を解く訓練をすることになります。


そのため,過去問よりも難しいと感じることもあるでしょう。


しかし,それも訓練です。


この訓練をしないと,国試当日,問題用紙を開いたときに,頭が真っ白になって,平常心を失います。


そのまま問題に取り組んだ時にどんな結果になるのか,想像に難くありません。


2024年5月22日水曜日

何となく「変だな」と思えれば,答えは見つけられる!

勉強をしても覚えられない


覚えたつもりでもすぐ忘れる


いつの時代も受験生の悩みは一緒です。


特に,なじみのある制度は覚えやすいですが,なじみのない専門用語はなかなか簡単に覚えられるものではありません。



覚えられないので,勉強に行き詰っている



これもよく聞かれる言葉です。


しかし,地道な勉強は,国家試験では必ず底力となって現われます。


特に国家試験は,マークシート。


問題文の中には必ず答えはあり,覚えたものを直接的に想起できなくても「何か変だな?」と感じることができれば,国家試験では答えられる


忘れても反復して覚える作業を繰り返すことで,必ず頭のどこかに残ります。


特に限られた時間で問題文を読まなければならない国家試験では,直感的に「何か変だな?」と思えることは,とても大事なことです。


しっかり勉強をしてきた方が違和感を覚える選択肢はほとんど誤りだと思っても良いです。

そうなるためには,今の地道な勉強が何よりも大切です。


国家試験では,答えはこれだ!


とすぐ分かる問題はとても少ないです。


消去法で答えを導き出します。


そのため,少しでも冷静に,消去し,または分からない時には▲をつけることは極めて重要です。


今やっている勉強は,1つでも2つでも選択肢を消去するために行っていると言えるでしょう。


マークシート! 万歳!!


今日から科目は,児童・家庭福祉に入ります。


児童分野に関連した仕事をしていないとちょっと手ごわそうに感じるかもしれません。


しかし見方を変えると,障害者や低所得者よりももう少し身近なところに存在している領域であると言えます。


なぜなら,児童分野は自分が通り過ぎてきたもの,あるいは子どもがいれば現実問題だと言えますし,家庭分野もひとり親など,そんなに遠いものではないからです。


しかも,幾度も改正しているとは言え,この科目の中心は,戦後直後から70年も続いている児童福祉法です。その分,過去問の蓄積があります。


覚えるべき領域は広そうですが,ポイントをしっかり押さえると得点できるようになる科目です。


苦手意識は決して持たないことです。


それでは,今日の問題です。


第26回・138 

我が国の児童福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。

2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。

3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。

4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。

5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


現在の国家試験では,人名と実績を問うものは,この科目くらいです。


他の科目でも人名は出題されていますが,人名そのものよりも,その内容が合っているかを問う問題がほとんどです。



そういう意味で,単語カードを使った勉強法は,この科目の人名が一番向いていると言えます。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。


この年に受験した人がこの問題を見たとき,かなりドキッとしたことでしょう。高木先生はこの時点ではまだ出題が多くなかったからです。


選択肢の最初に難しいものを配置したときは,正しい選択肢は後半に配置させるのは,国家試験の常套手段です。


分からないときは,冷静に▲を付けましょう。


この時に冷静に▲を付けられないと,そんなに難しくないこの問題で失敗しますので,注意が必要です。


結果的に,この選択肢は誤りです。


高木先生は,東京帝国大学の整形外科教室の教授で,肢体不自由児の療育を実践しました。



濃尾大震災の孤児を救済するために活動したのは後述の石井亮一です。


2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。


留岡幸助は家庭学校を設立したのは正しいですが,少年教護法の制定の前か後かは分からないかもしれません。


こんな時は冷静に▲をつけましょう。


結果的にこの選択肢は誤りです。


しかしよく考えてみてください。


今の時代と違って,制度があって事業を始めるのではなく,制度がないところから始まるのです。


今あるほとんどの福祉サービスは,制度がないところから始まり,そのあとに制度がついてくるのです。


家庭学校を設立したのは明治期。

少年教護法ができたのは,昭和に入ってからです。


明治の豪傑は本当にすごいですね。


3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。


これは,まったくひねりがないです。間違いを作っています。


石井亮一は滝乃川学園,近江学園は糸賀一雄です。


よって×。


4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。


山室軍平は久しぶりの出題でした。


日本で救世軍を広めた人ですね。


キングクレー館を設立したのは片山潜です。


因みにバーナードに影響を受けたのは岡山孤児院の石井十次です。


よって×。


いろいろな要素をごちゃまぜにした選択肢です。


5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


これはひねりがなく正解です。


ただ,野口幽香=二葉幼稚園


という単純図式で覚えるとだめです。


他の施設も同じですが,その施設はどのようなものであるかを覚えることが求められます。


選択肢5まで冷静にたどり着けた人だけが,正解できたと思います。


高木先生にダメージを受けて頭が真っ白になった人は,ここで正解するのは大変だったはずです。


<今日の一言>


消去法は,最高の解答テクニック!!

2024年5月21日火曜日

市町村の役割と都道府県の役割の違い

法制度に関連した科目の出題基準には,ほとんどの科目に,


国の役割


都道府県の役割


市町村の役割


というものがあります。


都道府県と市町村の役割は,正しいものを間違ったものに入れ替えてしまえば,誤りの文章が一丁上がり。


作成は結構簡単ですし,しかも不適切問題にはなりにくいです。


従って,国家試験ではかなりの頻度で見られます。



しっかり覚えておかないともったいないです。


一つひとつの科目に限定して勉強していると他の科目との関連が見えづらいですが,意識して関連するように見てみると,他領域であっても仕組み自体は似ているものがあることに気が付くことでしょう。


逆に他では見られないその領域の特徴というものも見られます。


例えば・・・共通するものには・・・


都道府県

・サビ管やケアマネなどの研修事業を行なう。

・事業者の指定。

・不服申立て先。

・市町村の支援的立場。


市町村

・介護保険サービスや障害福祉サービスなどの利用申請窓口。

・要介護認定,障害支援区分認定の実施。

・サービスの実施。


その領域の特徴

介護保険

・指定は都道府県。ただし地域密着型は市町村。

障害福祉

・精神通院医療の支給決定は都道府県。育成医療と更生医療は市町村

・指定一般相談支援事業者の指定は都道府県。指定特定相談支援事業者の指定は市町村。


共通するものは,共通する原則を覚えること。応用が効きます。


その領域の特徴は,しっかり違いを覚えましょう。特に狙われやすいです。

いずれもしっかり押さえておくことで,得点力はぐ~んと上がります。


それでは今日の問題です。


第26回・問題133 

介護保険制度における保険者としての市町村の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 要介護認定において,限界集落や離島,豪雪地帯などの地理的特性や,同居家族の有無などの家庭環境,所得などの経済的状況等に配慮した独自の認定基準を,地域ごとに条例により定めることができる。

2 地域支援事業の任意事業として,介護方法の指導,介護者の健康相談実施,認知症見守り支援事業等の家族介護支援事業を実施することができる。

3 地域密着型サービスに関し,その適正な事業運営に資するとともに,地域に開かれたサービスとすることでサービスの質の確保と向上を図るために,運営適正化委員会を設置しなければならない。

4 介護保険施設に入所している低所得の要介護者等について,入所中の居住費及び食費の負担に関し, 一般会計を財源として特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付を行うことができる。

5 介護保険財政の安定化を図るため,財政安定化基金を設置して,保険料未納により収入不足が生じた場合に交付金を交付したり,給付費の増大のために収支不均衡が生じた場合に資金を貸与したりするなどの事業を行うことができる。


介護保険の保険者としての問題です。



介護保険の保険者は,市区町村です。


介護保険は,わが国5つめの社会保険として創設されたものです。


5つの社会保険のうち,都道府県が保険者となるのは,国民健康保険のみです。

国民健康保険は,もともとは市町村が保険者でしたが,制度改正によって,現在は市町村と都道府県が保険者となっています。


介護保険は,家族などが担っていた介護を社会連帯の考え方に基づき社会保険制度にして,介護の社会化(家族労働から解放)を目指しました。


しかも国の保険ですから,どこでサービスを受けようとも,同じ基準で実施されることに特徴があります。これが介護保険の特徴です。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 要介護認定において,限界集落や離島,豪雪地帯などの地理的特性や,同居家族の有無などの家庭環境,所得などの経済的状況等に配慮した独自の認定基準を,地域ごとに条例により定めることができる。


介護保険は法定受託事務ではなく自治事務ですが,全国一律の基準が定められています。


要介護認定が条例によって独自に定めることが出来ると,どこでも同じサービスが受けられるという介護保険の大前提が崩れてしまいます。


例えば・・・


特養の入所基準は,原則として要介護3以上ですが,同じ身体状況にもかかわらず,A市では要介護2,B市では要介護4,となってしまえば,B市に住んでいれば利用可能ですが,A市では利用はできないこととなってしまいます。


よって×。


2 地域支援事業の任意事業として,介護方法の指導,介護者の健康相談実施,認知症見守り支援事業等の家族介護支援事業を実施することができる。


介護保険は,自治事務です。


これだけがっちり制度が決められているにもかかわらず,自治事務である理由は,保険者で独自に実施することができる事業があるからです。


市町村特別給付,そして地域支援事業です。


地域支援事業の中でも必須事業がありますが,それ以外にも任意事業として独自に行うことができるようになっています。


よって正解です。


3 地域密着型サービスに関し,その適正な事業運営に資するとともに,地域に開かれたサービスとすることでサービスの質の確保と向上を図るために,運営適正化委員会を設置しなければならない。


運営適正化委員会は,社会福祉法に規定されています。


かなり頻出です。


運営適正化委員会が設置されるのは,都道府県社協です。


介護保険の不服申し立ては,都道府県の介護保険審査会


障害福祉サービスは都道府県(障害者介護給付費等不服審査会を設置している場合は同委員会に事務を行わせることができる。ただし窓口は都道府県)。


介護保険の苦情は国保連。


地域密着型サービス事業者の指定は市町村が行いますが,サービスの質確保に関するものは,先述のように都道府県レベルです。


市町村レベルではそこまでの体力がないからだと言えます。


よって×。


4 介護保険施設に入所している低所得の要介護者等について,入所中の居住費及び食費の負担に関し, 一般会計を財源として特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付を行うことができる。


介護保険や国民健康保険の会計については,一般会計と切り離して,特別会計を組まなければなりません。


よって×。


5 介護保険財政の安定化を図るため,財政安定化基金を設置して,保険料未納により収入不足が生じた場合に交付金を交付したり,給付費の増大のために収支不均衡が生じた場合に資金を貸与したりするなどの事業を行うことができる。


財政安定化基金は,介護保険特別会計が赤字になった際に,一般会計から繰り越さなくても良いように都道府県に設置された機関です。


財源は,国,都道府県,市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担しています。


よって×。


どんなに勉強しても,知らない問題は出題されます。


丸暗記で勉強していたら,国家試験当日・・・


分からない,どうしよう・・・


と思考が停止してしまいます。


知っている知識をフル活用して,足りないピースを埋めていくこと。


これができるように勉強している人は合格します。

これができるように勉強していない人は,合格するのに苦労します。


似たような制度を整理して覚えることは,知らないものが出題されても,そこを手掛かり・足掛かりにして,壁をよじ登って行くことが出来ます。


手掛かり・足掛かりは,多ければ多い方が壁を登りやすくなるのは言うまでもありません。


今,このサイトで提案していることは,試験当日の手掛かり・足掛かりをたくさん用意することに他なりません。

2024年5月20日月曜日

しっかり勉強することの重要性

国家試験では,頻出の人物にもかかわらず,見たことのない文になっていることがあります。


「自分が勉強不足だったのか」と不安になる瞬間でしょう


しかし・・・


「この人はこんなことを言ったのかな」と思うものは,多くの場合は誤りです。


しっかり参考書を勉強してきた方はこの感覚を信じてください。


今の国家試験は,しっかり勉強した人は得点できるように問題が作成されています。

国家試験はいかにも難しそうに見えるように,予防線を張って作問しています。


それは誤りとなる選択肢を「いかに正しいように見せるか」にかかっています。

そのパターンは見えていますので,試験委員を逆手にとることはできそうです。

国家試験は,決して怖くはないです。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題132 

地域密着型サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。

2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。

3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。

4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。

5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。


地域密着型サービスは,2005年の法改正で創設されたものです。


その前からあった「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)は,地域密着型サービスとなりました。


地域密着型サービスは,従来型と違い小規模の事業所であり,指定は市町村が行います。

基本的には,その市町村の住民が対象となるものです。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。


先述のように地域密着型サービスはその市町村の住民を対象としています。そのため,住所地特例がありません。


しかし,完全に利用できないかというと,実はそうでもなく,市町村同士の同意があれば利用可能です。


よって×。


2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。


この問題はおそらく,市町村特別給付と混同させるための出題のように思います。


市町村特別給付には,第1号被保険者の保険料だけが使われます。

これは市町村が把握できるのは第1号被保険者の保険料のみであるという事情があります。


地域密着型サービスは,市町村が指定するサービスですが,市町村特別給付と違って,介護保険の基準内サービスです。


そのため。第2号被保険者の保険料も使われます。


よって×。


3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。


地域密着型サービスは,市町村が指定するので,ある程度の自由が認められています。


基準を超えてしまうと,上乗せサービスになり市町村特別給付の範ちゅうになってしまいますが,それを超えない範囲で定めることができるようになっています。


よって正解。


 4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。


いくつも列記される選択肢は,その中に間違いを織り込むことができるので,誤りになりやすくなります。


この問題では・・・


通所介護

短期入所

訪問介護

訪問リハビリテーション


の4つがあります。


落ち着いて見てみる必要があります。


列記されたものの中で小規模多機能型居宅介護のサービスに含まれないのは訪問リハビリテーションです。


よって×。


5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。


定期巡回・随時対応型訪問介護看護は,夜間に限定されるものではありません。

夜間に巡回訪問するのは,夜間対応型訪問介護です。


よって×。


国家試験は,日本語


落ち着いて問題文を読めば,知識が足りなくても,分かるものもあります。


自分の努力を信じましょう。

2024年5月19日日曜日

勉強が進めば,知識がつながってくる!!

勉強のし始めは,すべての言葉が分からないので,勉強は遅々として進まないと思います。


こんなペースで合格するのだろうか・・・


と心配になるかもしれません。


でも・・・・・・大丈夫!!


勉強が進むにつれて知識が増えると,だんだん進むペースは早くなります。


なぜなら・・・


科目は違っても,内容はつながっているものがあるからです。


辛い気持ちを乗り越えるのは大変だと思いますが,今が頑張り時です。


それでは今日の問題です。


第26回・問題128 

老人福祉法が制定された1963年(昭和38年)当時の状況に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 老人福祉法の制定に先立つ1960年(昭和35年)の国勢調査において,我が国の人口の高齢化率は7% を超え,高齢化社会に突入した。

2 老人福祉法では,市町村による老人家庭奉仕員に関する規定が置かれた。

3 老人福祉法において,特別養護老人ホームの制度が創設されたが,常時介護を要する者であれば,市町村の措置でなくても,施設との契約により入所することができた。

4 老人福祉法には,有料老人ホームに関する規定は設けられていなかった。

5 老人福祉法において,70歳以上の老人の医療費の一部負担分を国と地方自治体が支給することにより,1963年(昭和38年)から老人医療費は無料とされた。



高齢者分野で働いていても,介護保険サービス事業所で働いているとなじみのない法律と言えるでしょう。


第29回国試では,措置の問題が出題されました。

その中で,「老人居宅介護等事業」というのが出題されました。


この時は知らなかったのですが,調べてみると介護保険の「訪問介護」だということが分かりました。「居宅介護」という名称から,障害者総合支援法を連想した人もいたかもしれません。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 老人福祉法の制定に先立つ1960年(昭和35年)の国勢調査において,我が国の人口の高齢化率は7%を超え,高齢化社会に突入した。


日本が高齢化社会に突入したのは1970年です。


よって×。


高齢社会は1995年。超高齢社会は2007年です。


2 老人福祉法では,市町村による老人家庭奉仕員に関する規定が置かれた。


老人家庭奉仕員は,現在のホームヘルパーです。


全国で初めて制度を実施したのは,長野県です。

そのあと,大阪,東京が続き,老人福祉法で規定されました。


よって正解。


1980年代までこの言葉が使われました。


3 老人福祉法において,特別養護老人ホームの制度が創設されたが,常時介護を要する者であれば,市町村の措置でなくても,施設との契約により入所することができた。


老人福祉法以前は,生活保護法に規定された養老施設がありました。


養老施設は法制定とともに養護老人ホームになり,特別養護老人ホームが新設されました。


老人福祉法は現在でも同じですが,契約ではなく,措置によって利用します。


よって×。


なお,現在の特別養護老人ホームは老人福祉法における名称です。


介護保険法に基づく名称は,指定介護老人福祉施設が正式名称です。



老人福祉法による措置による利用の時は,特別養護老人ホーム,介護保険法による契約による利用の時は,指定介護老人福祉施設,が正式名称です。ここまでは国試には出題されません。


4 老人福祉法には,有料老人ホームに関する規定は設けられていなかった。


老人福祉法制定時に新たに規定されたのは,「特別養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」「有料老人ホーム」「老人福祉センター」です。


よって×。


5 老人福祉法において,70歳以上の老人の医療費の一部負担分を国と地方自治体が支給することにより,1963年(昭和38年)から老人医療費は無料とされた。


老人医療費無料化は,先進的な一部の自治体が実施していましたが,1973年の法改正で法制化されました。


一部負担が導入されたのは,1982年の老人保健法制定の時です。


無料化の時代はたった9年間で終了しましたが,これがその後のわが国の医療を大きく変えていくことになります。


2024年5月18日土曜日

苦手心を捨て去った先に道は開ける~その2

前回まで「福祉サービスの組織と方法」を取り上げてきました。

 

参考書を見ると難しそうに見えますが,問題をよくよく読んでみると,意外と難しくなさそうだ,とは感じませんでしたか。

 

確かに,組織理論などは難しいものもあります。

 

しかし,心理学や社会学と密接な関連があるので,それらの知識をフル稼働すれば何とかなりそうだと思いませんでしたか。

 

苦手だと思えば,どこまでも難しく感じます。

 

難しくない,と思えれば,どこかに突破口を見出すことが出来ます。

 

苦手意識を持つのは損

 

合格するのも,不合格なるのもほんのちょっとの差です。

 

毎日の勉強はとても大切です。

 

夜に時間が取れなければ,早起きして勉強するのも一つの手です。夜よりもリズムが作りやすいと思います。

 

それでは,今日の問題です。

 

26回・問題125 

「男女雇用機会均等法」におけるセクシュアルハラスメント及び「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」におけるパワーハラスメントに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 職場におけるセクシュアルハラスメントは,業務を遂行する事業所内で起きたことを対象とするので,事業所外の行為は対象とならない。

2 事業主がセクシュアルハラスメント防止対策を講ずべき対象の労働者には,受け入れている派遣労働者は含まれない。

3 セクシュアルハラスメントの相談対応では,相談者と行為者の主張の不一致や,事実関係の確認が十分にできない場合であっても,第三者からの聴取は禁じられている。

4 職場におけるパワーハラスメントには,上司から部下に対する行為だけでなく,同僚間,あるいは部下から上司に対して行われるものも含まれている。

5 職場におけるパワーハラスメントの予防や解決に当たっては,職員間で自発的に解決すべきものなので,事業主の関与は避けた方がよいとされている。

()1 「男女雇用機会均等法」とは,「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」のことである。

2 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」とは,「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」において平成24315日に取りまとめられた提言のことである。

 

セクハラ・パワハラの問題です。

 

もう出題されることはないかもしれませんが,せっかくですから見て行きましょう。

 

1 職場におけるセクシュアルハラスメントは,業務を遂行する事業所内で起きたことを対象とするので,事業所外の行為は対象とならない。

 

もちろん,事業所外の行為も対象ですね。

 よって×。

 

2 事業主がセクシュアルハラスメント防止対策を講ずべき対象の労働者には,受け入れている派遣労働者は含まれない。

 

もちろん,派遣労働者も対象です。

 よって×。

 

3 セクシュアルハラスメントの相談対応では,相談者と行為者の主張の不一致や,事実関係の確認が十分にできない場合であっても,第三者からの聴取は禁じられている。

 

禁じるわけがないです。

 よって×。

 

誰がどのように禁じるのでしょうか。

 

4 職場におけるパワーハラスメントには,上司から部下に対する行為だけでなく,同僚間,あるいは部下から上司に対して行われるものも含まれている。

 

もちろん同僚間,部下から上司だってありますね。

 よって正解。


同僚の幅寄せや部下からの突き上げは辛いものです。

 

5 職場におけるパワーハラスメントの予防や解決に当たっては,職員間で自発的に解決すべきものなので,事業主の関与は避けた方がよいとされている。

 

自発的な取り組みでは限界があります。事業主の関与は大切ですよね。

 

よって×。

2024年5月17日金曜日

最短距離でゴールにたどり着くコツ

 国試で覚えなければならないものは,最低でも2,000アイテム(1科目約100アイテム)は必要です。


分厚い参考書には,その3倍の情報量があります。


それを完璧に覚えると理論上は9割が取れます。


しかし,国家試験に合格するには,そんな点数は必要ではありません。


分厚い参考書の7割を覚えられれば,6割ライン,78点は超えるだけの知識量になる!


初期の頃は,まだ試験で何を問うかが明確ではなかったのでしょう。


過去には,報告書が出された順番,法律が成立した順番などが問われたことがあります。

今はそのようなもの出題されません。年号が分からないと解けない問題は現在では皆無です。年号が覚えられない人は多いと思いますが,心配することはありません。年号よりも重要なのは,その内容です。


あと,人名は今まで何人出題されたか数えたこともありませんが,1,000名以上はいるかもしれません。


分厚い参考書は,厳選しているとは言え,一度しか出題されていないものも掲載されています。


分厚くない参考書に載っていなくて,分厚い参考書に出ているものは,一回しか出題されたことのないものと考えられます。


参考書選びのヒント


項目数が少なくでも丁寧に説明しているものがおすすめです。

それが最短距離で合格をつかむためのコツです。


ただし,項目数が少なくても,簡単にしか説明していないものは,最後の仕上げに使うタイプのものです。これ一冊では戦えませんので要注意です。


それでは今日の問題です。


第26回・問題124 

サービスマネジメント論を基礎とした福祉サービスにおける管理運営に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 サービス提供のプロセスには,利用者も参加するため,利用者の参加の態度や行動によって,サービスの質が影響を受ける。

2 サービスは,それを提供して得られる成果が重要であり,サービス提供のプロセスをあまり重視する必要はない。

3 サービスは,特定の場所において,特定の職員によって提供されることから,利用者が事前にサービスの質を予測することが容易である。

4 サービス提供においては,失敗や問題を未然に防ぐ体制が重要であって,失敗や問題が起きる可能性を前提とした取組は必要ない。

5 サービス利用者のニーズに応えるためには,マニュアル化や統率のとれた組織が重要であり,利用者に直接対応する職員に自律的な判断や行動を求めるべきではない。


今日の問題は,サービスマネジメントです。


実にこの科目らしい問題です。


社会福祉士に求められるのは,


相談援助のプロフェッショナルだけではなく,組織管理の役割も求められているからです。


ケアマネと社会福祉士の資格の重みの違いはいくつもありますが,この科目をしっかり学ぶことは,ケアマネが基礎資格で社会福祉士を目指している人にとっては,極めて重要ですし,最も社会福祉士らしいと言えます。


なじみのないものは多いかもしれませんが,今後のキャリアを広げるためにも重要です。


さて詳しく見ていきましょう。


1 サービス提供のプロセスには,利用者も参加するため,利用者の参加の態度や行動によって,サービスの質が影響を受ける。


対人サービスの特徴は,その場で提供され,その場で消費されることです。


当然,消費する側の態度や行動が影響しないわけがありません。


よって正解。


あるべき論で,ご利用者の態度でサービス提供が変わってはいけない,と主張したところで,それはあるべき論です。


別な言い方をすると,ご利用者の態度や行動はサービス提供の質に変化をもたらすので,変化しない技量が必要だと主張していることだと言えるでしょう。


2 サービスは,それを提供して得られる成果が重要であり,サービス提供のプロセスをあまり重視する必要はない。


成果はもちろん大切ですが,プロセスがとても重要です。

たとえば,とても技術が高い病院があり,そこに入院治療したとします。


求める成果は,無事に治って退院することです。

しかし,看護師の態度や療養環境が良くなくても良い,ということはありません。


ヘルスケアのサービスは,どのようにそのサービスが提供されるのかはとても重要です。


よって×。


どのようにそのサービスが提供されたのかを評価することをプロセス評価といいます。

成果を評価することは,アウトカム評価といいます。


3 サービスは,特定の場所において,特定の職員によって提供されることから,利用者が事前にサービスの質を予測することが容易である。


先述のように,対人サービスの特徴は,その場で提供され,その場で消費されることです。

事前に情報を得ていたとしても,その場でなければ分からないことは多いです。


よって×。


4 サービス提供においては,失敗や問題を未然に防ぐ体制が重要であって,失敗や問題が起きる可能性を前提とした取組は必要ない。


インシデントに対してのヒヤリハット報告書を分析し,対策を立てる職場も多くあります。

これは事後対策ではなく,事故防止対策です。


事後対策ももちろん大切ですが,リスクマネジメントではそれを防ぐことが大切です。


よって×。


5 サービス利用者のニーズに応えるためには,マニュアル化や統率のとれた組織が重要であり,利用者に直接対応する職員に自律的な判断や行動を求めるべきではない。


マニュアル絶対主義は限界があります。笑い話にされるファストフード店のやり取りです。


お客さん「〇〇を100個お願いします」

店員「店内でお召し上がりですか」

お客さん「……」


マニュアル通りだと,このようなおかしな対応になります。


自律的な判断や行動は,サービスマネジメントでは極めて重要です。


よって×。


今日の問題も落ち着いて読めば,そんなに難しくはないです。しかし,国試では落ち着いて読むことはそんなに簡単ではありません。


<今日の一言>


たくさんたくさん問題を解いて,問題慣れすること。

合格するためには,とても大切です。


過去問を解くのは,問題に慣れるためです。

そこを意識しないと意味がないと言ってもよいでしょう。

2024年5月16日木曜日

難しそうでも,実はそんなに難しくない!

 国家試験は・・・


決して正解するのが難しい問題が出題されているわけではない!!


まだ,勉強に本腰が入っていない方にお伝えしたいのは,合格,不合格はほんのちょっとの差であるということです。


たくさんの問題に触れる時間は必ず設けてほしいと思います。


解説されると「あぁ,分かった」と思うことでしょう。


国試では自分の実力で答えを引き出さなければなりません。

ヒントを教えてくれる人はいません。


それによって必ず最後の1・2点はゲットできるはずです。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題123 

社会福祉法人に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 経営の透明性の確保は,不祥事防止の観点からは不可欠であるが,利用者の利益の保護とは相反する。

2 税制上の優遇措置や各種の助成に対して公的なチェックが行われることから,外部に対するそれ以上の経営の透明性は求められていない。

3 事業報告書,財務諸表の情報開示は,事業経営の適正性を確保するためのもので,利用者のサービス選択に資する目的はない。

4 自主的な経営機能の強化及び内部牽制体制の確立の観点から,社会福祉法人の代表権は,理事長のみが有することになっている。

5 社会福祉事業経営者としての自主性・自律性を発することによって,地域の様々な福祉需要の実態への対応が期待されている。


社会福祉法人制度改革の骨子


1 経営組織のガバナンスの強化

 議決機関としての評議員会を必置(小規模法人について評議員定数の経過措置),一定規模以上の法人への会計監査人の導入 等


2 事業運営の透明性の向上

 財務諸表・現況報告書・役員報酬基準等の公表に係る規定の整備 等


3 財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実 役員報酬基準の作成と公表,役員等関係者への特別の利益供与の禁止 等

 「社会福祉充実残額(再投下財産額)」の明確化

 「社会福祉充実残額」を保有する法人に対して,社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務付け 等


4 地域における公益的な取組を実施する責務

 社会福祉事業及び公益事業を行うに当たって,無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することを責務として規定


これらは,押さえておきましょう。問題を解くときのベース的な知識となります。


さて,詳しく見ていきましょう。


1 経営の透明性の確保は,不祥事防止の観点からは不可欠であるが,利用者の利益の保護とは相反する。


制度改革前の出題ですが,それを考慮して作成したのはないのか,と思うような出題です。

経営の透明性が,利用者の不利益になるはずがありません。


よって×。


2 税制上の優遇措置や各種の助成に対して公的なチェックが行われることから,外部に対するそれ以上の経営の透明性は求められていない。


3つめの選択肢にあるように,この出題時点でも,事業報告書,財務諸表の情報開示は行われています。

もちろん外部に対する経営の透明性は求められます。


よって×。


3 事業報告書,財務諸表の情報開示は,事業経営の適正性を確保するためのもので,利用者のサービス選択に資する目的はない。


実際に活用することは少ないかもしれませんが,事業所を選ぶための情報になります。


よって×。


4 自主的な経営機能の強化及び内部牽制体制の確立の観点から,社会福祉法人の代表権は,理事長のみが有することになっている。


これは勉強していないと分かりにくいと思いますが,社会福祉法人代表権は,理事すべてが代表権を持っています。


よって×。


ただし,定款で限定することはできます。


5 社会福祉事業経営者としての自主性・自律性を発することによって,地域の様々な福祉需要の実態への対応が期待されている。


この選択肢が,今日の社会福祉法人改革につながるものです。


「地域における公益的な取組を実施する責務」です。


よって正解。

2024年5月15日水曜日

すべては学習計画を立てるところから始まる

 人によって勉強の進め方は違う


それはそれでよいでしょう。


国家試験の結果が残念だった方に共通しているのは,


問題を解く訓練をしていない,あるいは足りない


と感じていることです。


問題を解く訓練をしていないことは,スポーツで言えば,個々の練習はしていても,練習試合を行わずに,本戦に出場するのと同じようなものです。


本当に試合で勝とうと思えば,練習試合を積み重ねて,その結果を踏まえて修正して,また練習試合を繰り返す,というようなプロセスは欠かせません。


「問題を解く訓練」は,本番に近い形である模擬試験を受けたり,模擬問題集を解いたりすることでついていきます。


知識をつけることに精一杯になって,模擬試験も模擬問題集を解く時間がなくなることだけは,避けてください。


さて本題です。受験科目19科目を分けると法制度と理論系の科目に分けることができます。今,ご紹介している「福祉サービスの組織と経営」は,理論系の科目です。


法制度は,覚えれば得点になりやすいですが,理論系は,丸覚えはほとんど効かないと言っても過言ではないでしょう。


法制度と理論系の覚え方はおのずと変わって来ます。


理論系はちょっと面倒ですが,これはどういうことを言っているのか,自分なりに解釈することが大切です。


理論系が理解しにくい理由は,目に見えないものを言語化しているからと言えます。そういう面では,想像力豊かな方が有利と言えるかもしれません。


さて,それでは今日の問題です。


第26回・問題121 

組織学習に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 組織学習論では,組織の偶発的,一時的な適応についても,組織学習としてとらえる。

2 ダブルループ学習とは,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組識学習の形態である。

3 組識学習は,新しいものを取り入れたり変革する過程を対象とするのであって,それが組織に定着する段階は対象としない。

4 組織学習では,試行錯誤や実験的取組により生み出される内的な知識獲得を重視し,他組織で成功したシステムの模倣は避ける。

5 医療・福祉事業のような非営利組織においては,営利組識に比較して組織学習の意義は低い。


今日の問題は,組織学習です。組織学習とは,組織も個人と同じように学習し,変化・発展していくことです。


組織であっても,個人であっても学習は学習ですから,分からないなりに,理解することは可能だと思います。


「組織学習,何,それ。分からない」と放棄したらその時点で終わりです。


それでは,詳しく見ていきます。


1 組織学習論では,組織の偶発的,一時的な適応についても,組織学習としてとらえる。


ちょっと難しそうですね。

学習といえば,心理学の学習理論が思い出されると思います。


スキナーのねずみの実験やソーンダイクの猫の実験,ケーラーのチンパンジーの実験などがあります。


特にソーンダイクの提唱した試行錯誤学習を思い起こしてみると,いろいろ試してみて偶然見つけた手掛かりを何度も繰り返すことで学習していくものです。


これで分かるように偶発的な出来事だけでは学習になりません。

それを繰り返すことで学習していきます。


組織学習も同じです。偶発的なものは学習ではありません。

繰り返しが必要です。


よって×。


2 ダブルループ学習とは,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組識学習の形態である。


ダブルループ学習という難しいものが出題されました。


組織学習には,


シングルループ学習

ダブルループ学習


があります。


シングルループ学習 

すでに学んだことに従って行動し深めていく学習。


ダブルループ学習 

シングルループ学習を行っているとき,新たな問題が起こり,それを解決していく学習。


発展する組織は,常にシングルループ学習とダブルループ学習を行っていることになります。


また,組織学習には,アンラーニングという重要な過程もあります。


ダブルループ学習によって新しく学んだことで,古くなり組織に合わなくなったやり方が出てきます。


それを捨て去ることをアンラーニングと言います。


話を戻します。


シングルループが既存,ダブルループが新規,なので正解です。


3 組識学習は,新しいものを取り入れたり変革する過程を対象とするのであって,それが組織に定着する段階は対象としない。


定着しないと学習とは言えません。

組織学習も同じ。組織に定着させるのが組織学習です。


よって×。


4 組織学習では,試行錯誤や実験的取組により生み出される内的な知識獲得を重視し,他組織で成功したシステムの模倣は避ける。


心理学の学習理論では,試行錯誤学習,洞察学習,模倣学習,観察学習などかあります。


試行錯誤学習と洞察学習は,自分一人で学習するものですが,模倣学習と観察学習は,参考にする他者が存在します。


これらも当然学習です。組織学習も同じです。

模倣も組織学習です。


よって×。


5 医療・福祉事業のような非営利組織においては,営利組識に比較して組織学習の意義は低い。


組織学習は,組織が変化・発展していくために行われます。営利・非営利に限らず,組織学習は必要です。


組織にとって現状維持は,あり得ません。

環境も人も変わるのに,その組織だけが現状維持することはないです。


はたから見て,現状維持を保っているとしたら,常に発展する努力をしているからにほかなりません。


よって×。


ダブルループ学習が分からなくても,他の選択肢を丁寧に読み込んでいけば消去できることでしょう。


「分からない」と放棄してしまったら,その時点で終わりです。


苦手心は捨て去りましょう。


国家試験は日本語で出題されます。

どこかに答えにつながるヒントを見つけられる可能性があります。

2024年5月14日火曜日

苦手心を捨てなさい! 合格への道はそこから開ける!!

前回,社会福祉士は,出題範囲が広いことはメリットにもなるとご紹介しました。


苦手だと思っていた科目でも,丁寧に見ていけば,必ずそんなに苦手ではない領域は見つけられます。


苦手


という意識があると,それを見つけにくくなります。


得意ではない科目であっても,それを苦手ととらえると余計に見えるものも見えなくなります。


逆に最も良いのは,


苦手意識をなくす


国試で最も避けなければならないのは・・・自信をなくすこと


苦手だと思う心を捨て去ることができれば,おのずと道は開けます。



敵は我にあり!!


道を開くか閉じるかはあなた次第です。


苦手心はどのように捨て去りますか?

そんな投げかけをして,今日の問題に入ります。


第26回・問題120 

組織内コンフリクト(葛藤・対立)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 組織内で集団業績に負の影響を与えるような過剰なコンフリクトは,組織にとって有害である。

2 組識内のコンフリクトによって,新しいアイデアが生まれることはない。

3 組織内のある当事者が他の当事者の目標達成手段を妨害する現象は,コンフリクトとは言わない。

4 組織内のコンフリクトに対処する最も優れた方法は,葛藤の相手と顔を合わせないようにすることである。

5 組織を構成するグループ間の目標が一致しなくても,グループ間にコンフリクトが生じることはない。



この問題は,「福祉サービスの組織と経営」です。この科目は,心理学や社会学につながるものが出題されるのが特徴です。


その意味で最もこの科目らしい問題と言っても良いでしょう。


この科目について別な言い方をすれば・・・


心理学や社会学で学んだことの集大成である


もしこれらの科目を国試に受かるためだけの勉強だと考えていたら,勉強は実践に意味を持たないことになります。


今日の問題は,落ち着いて読めば解ける問題です。


今の国試は,勉強をちゃんと積み重ねた人は,得点できるようにできています。


それではそれぞれを詳しく見ていきましょう。


1 組織内で集団業績に負の影響を与えるような過剰なコンフリクトは,組織にとって有害である。


これは深く考えることなく,正解にできることでしょう。


もちろん正解です。


2 組識内のコンフリクトによって,新しいアイデアが生まれることはない。


いろいろぶつかりあうことで,新しい発見はできるものです。


よって×。


3 組織内のある当事者が他の当事者の目標達成手段を妨害する現象は,コンフリクトとは言わない。


妨害はコンフリクトっぽくないですが,それは心理学上の葛藤ととらえるからです。


精神保健福祉士の国試ではよく出て来ますが,コンフリクトには「対立」という意味があります。


そういう意味で,この回の国試は,やっぱりあの第25回の後の回だったので,試験委員は本当に慎重に作問したことがよくわかります。


わざわざ問題文の中にコンフリクト(葛藤・対立)と出してくれています。


精神保健福祉士で出てくるコンフリクトは,地域移行や施設建設などで,地域住民が反対運動を起こすことです。


地域住民は,自分たちの正義で反対します。

建築推進派がもし地域住民の中にいたとしたら,完全に対立構造となるでしょう。


そしてお互いに目標達成手段を妨害しようとするでしょう。


これはもちろんコンフリクト(対立)です。


その構造と同じものが職場内にあったとしてもやっぱりコンフリクトです。


よって×。


ト国試問題そのものの中にもヒントを埋め込んでいることもあります。

(   )内も時には,重要です。


4 組織内のコンフリクトに対処する最も優れた方法は,葛藤の相手と顔を合わせないようにすることである。


関係がもつれてどうしてもほどくことができない時には,そういうこともあるかもしれません。


しかし最も優れた方法ではないことは,子どもでも分かります。


よって×。


5 組織を構成するグループ間の目標が一致しなくても,グループ間にコンフリクトが生じることはない。


目標が一致しないから,コンフリクトが生じます。


よって×。


今日の問題は,決して難しくない問題だったと思います。

しかし国試会場では今のように冷静に問題を読むことはできません。


冷静さを保つには,普段からの訓練が重要です。

失敗するのが怖いから,模擬試験を受けない,というのは,ちょっとどうなのかなぁ,と思います。


難関校を目指す生徒は,試験をずっと受け続けて本試験に臨みます。


社会福祉士は模擬試験がそれほどないので,場数を踏むことには制限がありますが,それでもいくつかの試験は受けられると思います。


模擬試験は練習の場です。

本試験で失敗は許されませんが,練習の場なら,いくらでも失敗はできます。


介護福祉士やケアマネ試験もそれなりに難しいと思います。

社会福祉士の国試は,それらの国試とは,ちょっと違います。


それらの試験と延長線上の勉強で合格しようと思うのは,とても危険です。

介護福祉士の国試受験資格を得るハードルが上がったものの,ケアマネは規定の資格があり,一定の実務経験があれば誰もが受験できる試験です。


社会福祉士は,受験資格を得ることだけでもハードルが高い資格です。

特に,社会人になって試験を受けたのは,先述の介護福祉士,ケアマネ試験くらい,という人は,受験するための訓練が圧倒的に不足しています。


模擬問題集や模擬試験は,その訓練の場です。


たくさん問題を解くと,苦手科目の中に同じような問題が出てきます。これは見たことあるなぁ,と思うものがたくさん出てきたら,しめたものです。


そんなところから突破口は開けていきます。

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