社会福祉士は,「社会福祉士及び介護福祉士法」に規定された国家資格です。
「社会福祉主事」を名刺に入れている人がいますが,社会福祉主事は,福祉事務所に配置される公務員です。
福祉事務所に配置されない場合は,「社会福祉主事任用資格」と入れるのが正式です。
社会福祉主事は,戦後にできた誇り高き制度です。
保護事務は,救護施設では方面委員,旧生活保護法では方面委員から名称が変わった民生委員が実施しました。
ところが民生委員は今と同じく,基本は民間ボランティアのようなものです。
そこに専門職として,社会福祉主事が誕生しました。
福祉の専門職の誕生です。
このほかには,査察指導員,老人福祉指導主事,身体障害者福祉司,知的障害者福祉司,児童福祉司などが社会福祉主事任用資格を持つ者の中から任用されます。
民間でも社会福祉主事任用資格を持つ者を任用するものがあります。
例えば,施設長,生活相談員,福祉活動専門員などです。
福祉の国家資格は存在しなかったため,主事資格をそれらに適用していたのです。
そのため,民間でも主事資格は,現在でも貴重な資格となっています。
そして,国家資格として,社会福祉士が誕生します。
それでも,主事資格はいまだに貴重な資格であることには変わりません。
さて,国家資格の多くは免許ではないので,名称独占であるのが大半です。
免許とは,その業務を行うことを許可するものです。
医師,看護師など古くからある国家資格は,業務独占の性格を持っているので,医師免許,看護師免許といった言い方がされます。
それに対して,社会福祉士は,社会福祉士免許とは言いません。業務独占ではないからです。
「社会福祉士及び介護福祉士法」では,
社会福祉士でない者は,社会福祉士という名称を使用してはならない。
と規定されています。
しかし
社会福祉士でない者は,相談援助の業務を行ってはならない。
という規定はありません。
今日の問いである「社会福祉士は業務独占? それとも名称独占?」の答えは
「名称独占」ですが,「業務独占」ではない
です。
なぜあなたは業務独占ではない社会福祉士の資格を取ろうとしているでしょうか?
人によって,様々な理由があるでしょう。
1年後の資格取得に向けて,今一度自分自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。
それほど資格取得を欲していなかったら,受験をやめるのも一つの方法です。
「資格を必ず取得するのだ」という強い意志がなければ,勉強を続けるのは難しいです。
しかし,少しでも資格を取りたい気持ちがあるなら,あきらめるのはもったいないです。
本当はそれほど欲しい資格ではなかった。だから受験をやめる。
と思うのは「合理化」です。
社会福祉主事も貴重な資格であることは,昔も今も変わるものではありません。
しかし一定科目を履修すれば取得できる資格です。
社会福祉士は,厳しい試験を潜り抜けてきた人だけが得られる資格です。
名刺に肩書を入れることも意味がありますが,それ以上に,ジェネラリストとして,社会福祉全体を知っていることに意味があります。
その分,試験は難しくなりますが,「資格を必ず取得するのだ」という強い意志があれば,決して資格取得は難しいものではありません。
ぜひ,今一度自分に問いかけてみてください。
正しい勉強法で,正しく理解すれば,必ず合格できます。
前置きが長くなりましたが,今日の問題です。
第30回・問題91 社会福祉士及び介護福祉士法で定められている社会福祉士の業務と義務に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 社会福祉士でなければ社会福祉士の名称を用いて業務を行ってはならない。
2 業務を行う上で主治医の指示を受けなければならない。
3 5年ごとに更新のための研修を受けなければならない。
4 秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。
5 業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
第30回の国試らしく,とても素直な問題だと思います。
しかし,だからと言って必ずしも正解できるとは限らないのが,国試の怖いところです。
最も怖いのは,勘違いです。
普段は冷静に文章が読める人でも,国試会場の中では,勘違い,思い違い,読み間違い,見落としなど多くのことが起きます。
第31回・問題35はいかにもそんな問題です。
国試直後に各社から解答速報を出しますが,選択肢2を正解にした大手出版社があります。
この問題の答えは合格発表まで分かりませんが,少なくとも選択肢2は明らかに間違いです。
この問題の解答を担当した専門家でさえ,読み間違いすることがあることをよく物語っている例だと思います。
まして,試験会場では本当によく起きます。
こういうミスをしないためには,問題を解く練習が欠かせないのです。
特に正解を2つ選ぶ問題は要注意です。
それでは解説です。
1 社会福祉士でなければ社会福祉士の名称を用いて業務を行ってはならない。
これは正解です。
社会福祉士は名称独占の国家資格です。
2 業務を行う上で主治医の指示を受けなければならない。
これは間違いです。
またまた出題されましたが,この規定に似たものがあるのは「精神保健福祉士」です。
ただし,精神保健福祉士が主治医から受けなければならないのは「指導」であり,「指示」ではありません。
社会福祉士にはこういった規定はありません。
精神障害者は,精神疾患と精神障害を同時に持っていることが特徴です。
身体障害などのように,治療が終わり,障害が固定されることによって,障害者として認定されるのとは違いです。
そのために,精神保健福祉士には,社会福祉士に規定されない「主治医の指導を受けなければならない」という規定が必要なのです。
3 5年ごとに更新のための研修を受けなければならない。
これも間違いです。
社会福祉士に限らず,更新研修が定められている国家資格は,今のところ存在していません。
4 秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。
これも間違いです。
秘密保持義務
正当な理由がなく,その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士でなくなった後においても,同様とする。
と規定されています。
5 業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
これは正解です。
連携
その業務を行うに当たっては,その担当する者に,福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービスが総合的かつ適切に提供されるよう,地域に即した創意と工夫を行いつつ,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
と規定されています。
<今日の一言>
社会福祉士の国試は,合格率が示している通り,誰もが簡単に合格できるものではありません。
しかし,正しい勉強,正しい理解を一つひとつ積み重ねていけば,必ず資格取得はできます。
だからこそチームfukufuku21は,本気で社会福祉士を目指す人を応援しているのです。
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