社会福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に規定された国家資格です。
介護福祉士は「介護を行う人である」と誰もが分かります。
しかし,一般の人に聞いたら,
そんな資格があるんだ
とか
名前は聞いたことがあるけれど,何をする人なのかまでは分からない
といった答えが返ってくるのではないでしょうか。
「知る人ぞ知る」といった資格なのかもしれません。
第30回,第31回と2回続けて2,000人ずつ受験者が減っているのが,とても気になるところです。
社会人ルートで社会福祉士を目指す人の基礎資格は,ケアマネジャーが最も多いと思われます。
ケアマネジャーの受験者も減ってきているので,将来的に社会福祉士を目指す人も減るのではないか,ということも懸念されるところです。
社会福祉士及び介護福祉士法で,社会福祉士は以下のように定義されています。
「社会福祉士」とは,社会福祉士の名称を用いて,専門的知識及び技術をもって,身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ,助言,指導,福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。
社会福祉士は,福祉が必要な人への相談援助,福祉サービス関係者等との連絡・調整などを行う者である,ということが分かります。
これが今日の問いの答えです。
専門職でなくても,相談・助言等は行うでしょう。
専門職が行う相談援助とどこが違うのでしょうか?
そのヒントは,「ソーシャルワークのグローバル定義」にあります。
それはまたの機会に紹介したいと思います。
さて今日の問題です。
第31回・問題91 社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 相談援助に関する知識と技能の向上に努めなければならない。
2 診療の補助として喀痰吸引業務を行うことができる。
3 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析することを業とする。
4 資格更新のため所定の講習を受講しなければならない。
5 相談援助の業務を独占的に行う。
またまたおなじみのものが出題されましたね。
今までは,精神保健福祉士に絡めた問題でしたが,今回は目新しいものが含まれています。
それでは解説です。
1 相談援助に関する知識と技能の向上に努めなければならない。
これが正解です。
社会福祉士の責務の一つの「資質向上の責務」です。
2 診療の補助として喀痰吸引業務を行うことができる。
これは間違いです。
平成28年以降の国試に合格した介護福祉士は,医師の指示のもとで,喀痰吸引業務が行えるようになりました。
貴重な資格である社会福祉主事任用資格が取得できた介護福祉士養成校もあったのですが,カリキュラムに「医療的ケア」が含まれたために,社会福祉主事の養成をやめてしまった養成校が多くなったのは,とても残念に思います。
カリキュラムがパンパンになってしまうので致し方ないことなのでしょう。
3 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析することを業とする。
これも間違いです。
この規定があるのは「公認心理師」です。
この資格は,心理系の人にとって念願の国家資格です。
2018年に第1回の国試が実施されたばかりのホカホカの新資格です。
今後は,福祉現場で連携を取ることも出てくることでしょう。
4 資格更新のため所定の講習を受講しなければならない。
これも間違いです。
毎回出題されていますが,国家資格に資格更新のために講習の受講が必要なものは存在しません。
5 相談援助の業務を独占的に行う。
これも間違いです。
社会福祉士は,名称独占の資格ですが,業務独占の資格ではありません。
<今日の一言>
増加する外国人,ひきこもり,そして児童虐待など,新しい社会問題はどんどん発生します。
こういった問題は,単一の福祉ニーズではなく,様々なものが複雑に絡み合って発生します。そのため,問題解決のために多職種がかかわることになるでしょう。
社会福祉士は,相談援助の専門職であると同時に,福祉サービス関係者等の連絡・調整を行う専門職でもあります。
転職することがなくても,現在の職場でも,社会福祉士として学んだことを活かせる場面は必ずあります。
時代がようやく資格に追いついてきたと言えるのではないでしょうか。
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