社会福祉士の国家試験の合格発表が終わりました。
合格された方はおめでとうございます。
残念ながら合格をつかむことができなかった方は,来年の合格を目指して頑張っていきましょう。
「学習部屋」は,再受験を目指す仲間を応援するために始めたものです。
原点回帰したいと思います。
合格基準点に達することができなった人には,2つのタイプがあります。
①そもそも知識が足りなかった
②後から見たら解ける問題があり,その点数を加えると合格基準点を超えていた。
「①そもそも知識が足りなかった」
のパターンの方は,知識をつけると合格できます。
対応策が単純ではないのは,
「②後から見たら解ける問題があり,その点数を加えると合格基準点を超えていた」
のパターンの方です。
知識をつけるだけでは,壁を乗り越えることができないからです。
自分のタイプを見分ける問題
第31回・問題42 福祉行政における都道府県の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 老人福祉法の規定により,特別養護老人ホームに入所させる権限を持つ。
2 介護保険法の規定により,介護保険の保険者とされている。
3 「障害者総合支援法」の規定により,介護給付の支給決定を行う。
4 児童福祉法の規定により,障害児入所施設に入所させる権限を持つ。
5 知的障害者福祉法の規定により,障害者支援施設に入所させる権限を持つ。
(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
第31回の社会福祉士の国家試験の中でも,最も重要で,基本的で,しかも複雑な問題です。
とても優れた問題です。
試験当時に戻って思い出してみてください。
答えは分かりましたか?
その時は,分からなくてもその後は答えが分かりましたか?
余談です。
社会福祉士の国試は,正しい(適切な)ものを1つ,あるいは2つ選ぶ問題で構成されています。
正しい(適切な)もの以外は,当然ながら正しくないものです。
ところが試験委員にとっては,正しくない選択肢を作るのは難しい作業です。
そこで多用されるのが,市町村と都道府県の役割を入れ替える手法です。
先ほどの問題は,知識がなければ解けない,知識があってもあいまいだと解けないというタイプの問題です。
さて,正解は,選択肢4です。
児童福祉法による障害児支援には,入所支援と通所支援があります。
入所は都道府県の役割
通所は市町村の役割
実に覚えにくいですね。
これを聞いて「?」となった人は「①そもそも知識が足りなかった」のタイプです。
これを聞いて「そうだったのよね。ど忘れしちゃった」という人は「②後から見たら解ける問題があり,その点数を加えると合格基準点を超えていた」のタイプです。
②のタイプの人は,注意して勉強を進めていかないと同じことを次回も繰り返す恐れがあります。
第31回国試に向けて,ある程度の分量がある参考書で勉強してきた人は,知識量はあったと思います。
それ以上の知識は必要ありません。
第31回国試で合格基準点を超えるために必要なのは
理解社会学
ポランニー
ヘイトスピーチ解消法
世界幸福度報告書
特定最低賃金
などの知識ではありません。
合格した人でも,これらを知っていた人はほとんどいないと思います,
知識不足だと思うと深みに入ります。
中途半端な知識では得点力は伸びません。
必要なのは,参考書に書かれたものを確実に覚えることです。
例として・・・
都道府県と市町村の役割は,法制度にかかわるほとんどの科目で出題されます。
これを確実な知識にした方が,出るか出ないかわからないものを追っかけるよりも確実に得点力が高まります。
地方自治法に都道府県と市町村の役割分担の基本が規定されています。
第二条 地方公共団体は、法人とする。
○2 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
○3 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。
○4 市町村は、前項の規定にかかわらず、次項に規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。
○5 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
これでわかることは,
市町村は
基礎的な地方公共団体として事務を行う。
都道府県は
市町村の連絡調整,市町村が処理することが適当でないと認められる事務を行う。
さて,ここからが重要なところです。
規模又は性質で,市町村が適当ではないと認められるものとはどんな事務なのでしょうか。
まずは性質です。
障害児支援は,なぜ,市町村と都道府県に分かれているのでしょうか。
障害児の入所は,子どもが親と離れて生活することを意味します。
その判断は,極めて難しいものです。
そのため,都道府県が担います。
ここで得られる法則は,難しい判断が求められる事務は,都道府県の役割だということです。
介護保険法の要介護認定と障害者総合支援法の障害支援区分認定などは,難しい判断が求められますが,市町村が行う例外事例です。
次は規模です。
原発事故で非難している村や島嶼部ではない村のうち,最も規模が小さいのは,高知県の大川村です。人口は400人未満です。
この規模でできることには限界があります。
例えば,現場職員の実務者研修を実施しようと思っても,対象はたった一人しかいないかもしれません。非効率的です。
そのため,専門職の人材確保や人材育成は,都道府県が担います。
これから勉強をすすめていくときは,「規模又は性質」を意識すると良いです。
理解度は何倍にもなるでしょう。
<今日の一言>
やみくもに覚えようとしても,なかなか覚えられるものではないです。
覚え方には工夫が必要です。
特に②のタイプの方は,特に意識してみてください。
同じ勉強だと同じ失敗をする恐れがあります。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
約3週間にわたって,「福祉行財政と福祉計画」に取り組んできました。 今回から科目は「社会保障」に移ります。 どの科目でも共通かもしれませんが,この科目は社会保障制度の骨組みを理解することが求められます。 社会保障は,何を財源とするかによって ①社会保険制度(社会保...
-
今回は,保護観察官と保護司です。 保護観察官 〈配置〉 地方更生保護委員会事務局及び保護観察所 〈業務〉 保護観察,調査,生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に従事する。 ...
-
ホッブズ問題 とは,社会の人々が自分の利益のために行動する「万人の万人に対する闘争」の状態の時,どのように社会の秩序が保たれるのか,について問う命題です。 社会学者のパーソンズは,この命題に対して,人は社会のルールに従って行為するため,社会の秩序が保たれると考えました。これを「主...
-
今回のテーマは「ニーズのとらえ方と充足方法」です。 このように書くとソーシャルワークの話かと思う人もいると思いますが,福祉政策のニーズを考えてみたいと思います。 結局は一緒です。 ポイントは,以下の通りです。 ・バイオ(身体的) ...
-
今回は,保護観察官と保護司を学びましょう。 保護観察官と保護司は,お互いに協力し合い,保護観察などの業務に携わります。 保護観察官 保護司 保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者及び...
-
ソーシャルワークは,慈善組織協会( COS )の活動が始まりだとされています。 ソーシャルワークに限らず,始まりは出題されやすいものです。 細かくいうと C OS はケースワーク(個別援助)の源流 セツルメントはグループワーク(集団援助)の源流で...
-
社会福祉士の国家試験は難しいように感じますが,決して難しいことを聞いているわけではありません。 今日のテーマは,ロールズが提唱した「格差原理」です。 「正義論」という書籍の中で述べられたものですが,なんと800ページを超える超分厚い本です。 受験ワークブックの共通科目と専門科目の...
-
社会福祉士は,社会福祉士及び介護福祉士法に規定される国家資格です。 同法では以下のようなものが規定されています。 誠実義務 その担当する者が個人の尊厳を保持し,自立した日常生活を営むことができるよう,常にその者の立場に立って,誠実にその業務を行わなければならない。 ...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
社会保険制度は,社会保険料を財源として運用されますが,日本の社会保険制度には,社会保険料だけではなく,税も財源としていることに特徴があります。 しかし,注意してほしいのは,財源割合では税が社会保険料を超えるようには制度設計はされないことです。 もし税財源の...