一度くらいは目を通すことをおすすめします。
ボリュームのある法律ではありませんし,介護福祉士に関する部分と試験センターに関する部分があるので,社会福祉士に関する部分はそれほど多くはありません。
現行カリキュラムで出題されたのは,以下の内容です。
第24回 社会福祉士の義務
第27回 法改正にかかわるもの
第29回 法規定全般
第30回 業務と義務
第31回 法規定全般
第27回を除けば,義務を含む法規定全般が出題されていることがわかります。
第29回の出題は
問題91社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士の名称使用は,登録後でなければならない。
2 業務を行うに当たっては,クライエントの主治医の指導を受けなければならない。
3 専門性の維持・向上を目的として,資格更新研修を受けなければならない。
4 所属する勤務先の立場を優先して業務を行わなければならない。
5 資質向上の責務として,相談援助に関わる後継者の教育指導に努めなければならない。
第31回の出題は
問題91 社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 相談援助に関する知識と技能の向上に努めなければならない。
2 診療の補助として喀痰吸引業務を行うことができる。
3 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析することを業とする。
4 資格更新のため所定の講習を受講しなければならない。
5 相談援助の業務を独占的に行う。
それほど難解なものではないと思いますが,これらの問題は後日改めて紹介したいと思います。
それでは,今日の問題です。
第24回・問題84 社会福祉士及び介護福祉士法に定められた社会福祉士の義務に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 クライエントが施設を離れて地域で自立生活を営めるよう,その業務を行わなければならない。
2 専門性の維持・向上を目的として,5年に一度の資格更新研修を受けなければならない。
3 クライエントに関する秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。
4 その業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
5 クライエントに主治の医師があるときは,その指導に従わなければならない。
同じようなものが繰り返し出題されていることがわかるでしょう。
出題ポイントは限られているのです。
それでは解説です。
1 クライエントが施設を離れて地域で自立生活を営めるよう,その業務を行わなければならない。
これは間違いです。
これに似た規定は,精神保健福祉士の業務に規定されています。
精神保健福祉士は,精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け,又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ,助言,指導,日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいう。
つまり,精神保健福祉士は,地域相談支援,社会復帰に関する相談を行う者であることが明記されているのです。
社会福祉士は,以下のように規定されています。
社会福祉士は,身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ,助言,指導,福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。
つまり,社会福祉士は,相談援助と連絡・調整を行う者です。
精神保健福祉士とは,大きく違うのがよくわかるでしょう。
2 専門性の維持・向上を目的として,5年に一度の資格更新研修を受けなければならない。
これも間違いです。
社会福祉士を含めて,国家資格に更新制のあるものはありません。
3 クライエントに関する秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。
これも間違いです。
秘密保持義務は,
社会福祉士又は介護福祉士は,正当な理由がなく,その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなった後においても,同様とする。
と規定されています。
4 その業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
これが正解です。
連携は,
社会福祉士は,その業務を行うに当たっては,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
と規定されています。
5 クライエントに主治の医師があるときは,その指導に従わなければならない。
これは間違いです。
これに似た規定があるのは,精神保健福祉士です。
精神保健福祉士は,その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは,その指導を受けなければならない。
と規定されています。
「指導に従わなければならない」ではなく,「指導を受けなければならない」です。
指導は受けなくはなりませんが,その指導に必ずしも従わなければならないということではありません。
精神保健福祉士が福祉の専門職としての独自性のあるところでしょう。
また,「指導」であって,「指示」ではないことも注意ポイントです。
<今日の一言>
問題文の中には,精神保健福祉士という文言は使用されていませんが,精神保健福祉士法を意識したものが含まれていることがわかります。
他職種と比較することで,社会福祉士の役割を浮き彫りにするためだと思います。
資格の更新制のあるものの代表には,介護支援専門員があります。
これも社会福祉士と介護支援専門員の資格の違いが浮き彫りにされます。
介護支援専門員が行うケアマネジメントは,ソーシャルワークの一技法を切り取って,介護保険法に規定したものです。
更新制のある国家資格はありません。新しい国家資格である公認心理師も同様です。更新制があるのは,民間資格である認定心理士です。
更新制がないのが,国家資格の特徴であると言えるのかもしれません。
公認心理師は,創設されたばかりということもあり,まだ広く認知されているとは言えません。
そのため
公認心理師は,5年に一度の資格更新研修を受けなければならない。
といった出題がされると迷ってしまいます。
しかし「更新制のある国家資格はない」と押さえておけば,公認心理士に限らず,他の国家資格でも迷うことはありません。
国試で得点力を上げるためには,原則を覚えて,その上で例外があった場合は例外だけを押さえるのが効率的で,効果が高い覚え方ということになります。
今日のタイトルの問いの答えは
※2021/07/02追記 最近では更新制のある国家資格があるらしいです。しかし社会福祉士国試に出題されるようなメジャーどころの資格にはありません。
です。
なお,公的なもので期限が定められているものがあります。
それは国家資格ではなく都道府県知事などの「免許」です。自動車免許のように,期限を定めてその業務を行うことを許可するものです。
医師や看護師などは,免許であり国家資格です。
そのために,業務独占の資格となるのです。
なお,公的なもので期限が定められているものがあります。
それは国家資格ではなく都道府県知事などの「免許」です。自動車免許のように,期限を定めてその業務を行うことを許可するものです。
医師や看護師などは,免許であり国家資格です。
そのために,業務独占の資格となるのです。