社会福祉士の国家試験の合格基準は,おおむね6割ラインです。
1問1点で150問の出題なので,90点程度がボーダーラインとなります。
合格基準点が発表されるようになった第15回以降,ボーダーラインが最も高かったのは99点,最も低かったのは72点です。
ボーダーラインが高くなろうと低くなろうと学ばなければならない内容はまったく変わるわけではありません。
ボーダーラインが上下しているのは,問題の難易度が一定に保たれたものではないため,ボーダーラインで調整しているためです。
国試問題には,
とても難しい問題
難しい問題
やや簡単な問題
簡単な問題
があります。
簡単だといっても,実際に簡単だと思えるものは少ないのが現実ですが,結果的に解ける問題があります。これが「簡単な問題」です。
社会福祉士の国試は,どうやらボーダーライン90点,合格率30%を目指しているようです。
そのために,誰もが解けない問題を出題して点数調整しているのではないかと感じられます。
そんな問題で面食らって,我をなくしてしまうことのないように気をつけなければなりません。
さて,国試合格のためには,すべての科目で得点がなければなりません(問題数が少ない就労支援サービスと更生保護制度は2科目で1群)。
そのため,極端に難しい問題がそろった科目は0点になる恐れがあるために,そうならないように工夫して出題されています。
勉強した人は解ける
勉強が足りない人は解けない
理想の国試問題を作り上げて出題しているのです。
その基本は,
いわゆる一見さんは正解になりにくい
というものです。
しかしいつもそうだとは限りません。
一見さんでも正解になるときがあります。
消去法でその選択肢が残るような構成の問題です。
勉強をしっかりした人ではないと他の選択肢を消去できないので,難しい問題となります。
それでは今日の問題です。
第31回・問題94 日本のソーシャルワークの発展に寄与した人物に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 仲村優一は,著書『グループ・ワーク小團指導入門』において,アメリカのグループワーク論の大要を著した。
2 竹内愛二は,著書『社會事業と方面委員制度』において,ドイツのエルバーフェルト制度を基に方面委員制度を考案した。
3 永井三郎は,著書『ケース・ウォークの理論と實際』において,アメリカの援助技術について論じた。
4 小河滋次郎は,論文「公的扶助とケースワーク」において,公的扶助に即したケースワークの必要性を示した。
5 三好豊太郎は,論文「『ケースウォーク』としての人事相談事業」において,ケースワークを社会事業の技術として位置づけた。
出題回数を確認しましょう。(旧カリキュラム時代も含む)
仲村優一 6回
竹内愛二 7回
永井三郎 一見さん
小河滋次郎 9回
三好豊太郎 一見さん
一般的には,永井三郎と三好豊太郎は,正解になりにくいものです。
それでは解説です。
1 仲村優一は,著書『グループ・ワーク小團指導入門』において,アメリカのグループワーク論の大要を著した。
これは間違いです。
仲村先生は,日本社会事業大学の教授などを務められた方で,2015年に亡くなりました。
1950年代には,日本福祉大学教授だった岸勇先生と,公的扶助とケースワークの関係をめぐって「仲村・岸論争」が繰り広げられました。
岸先生は,公的扶助とケースワークは分離させるべき,仲村先生は,公的扶助とケースワークは一体化して行うべきというのが論争のポイントです。
仲村先生の功績はそれこそありますが,「仲村・岸論争」はこれからも語り継がれていくものとなるでしょう。
ということで,
論文「公的扶助とケースワーク」において,公的扶助に即したケースワークの必要性を示した。
これが仲村先生についての記述です。
2 竹内愛二は,著書『社會事業と方面委員制度』において,ドイツのエルバーフェルト制度を基に方面委員制度を考案した。
これも間違いです。
竹内先生は第30回に引き続き,2年連続での出題となりました。
竹内先生は,日本に初めてケースワークを紹介したことで知られます
ということで
著書『ケース・ウォークの理論と實際』において,アメリカの援助技術について論じた。
これが竹内先生についての記述です。
3 永井三郎は,著書『ケース・ウォークの理論と實際』において,アメリカの援助技術について論じた。
これも間違いです。
永井三郎という人は,何をした人か分からなくても,この選択肢の内容は竹内先生のことを述べたものなので消去することができます。
4 小河滋次郎は,論文「公的扶助とケースワーク」において,公的扶助に即したケースワークの必要性を示した。
これも間違いです。
小河滋次郎と言えば,大阪府の方面委員制度を創設した人として知られます。
ということで
著書『社會事業と方面委員制度』において,ドイツのエルバーフェルト制度を基に方面委員制度を考案した。
これが小河滋次郎についての記述です。
5 三好豊太郎は,論文「『ケースウォーク』としての人事相談事業」において,ケースワークを社会事業の技術として位置づけた。
これが正解です。
三好豊太郎の実績を知らなくても,消去法でこれが残ります。
<今日の一言>
今日の問題は,かなり難易度の高い問題です。
三好豊太郎を知っていた受験生はほとんどいなかったのではないでしょうか。
それでもあえて正解選択肢として配置したのは,この問題の脇を固める常連さんの存在があったからです。
特に正解するための決め手となったのは,仲村先生と竹内先生です。
正解となった三好豊太郎を知らなくても正解できる人とできな人が生じるのは,こういったところに要因があるのです。
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