2019年3月18日月曜日

第32回国試に向けて~勉強法を考える

第31回国試の合格発表が終わり,早い方ではもう試験結果の通知か届いていることだと思います。

不合格になった方は,とても悔しいことでしょう。

その悔しさを原動力にして,次回の国試合格を目指していきましょう。

何度もチャレンジしている方は,どうしたら合格できるのだろうと途方にくれているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

国家試験は,毎年少しずつ重なっていて,少しずつ違います。
この「少しずつ違う」がくせ者です。


「社会理論と社会システム」は,多くの受験生が苦手とする科目です。

覚えにくいことと,国試では勉強したことがないものが出題されるからです。
しかし,いくつかの知識を重ね合わせると,正解できます。

正解できなかった方には,傷口に塩を塗ることになるかもしれませんが,問題を振り返ってみましょう。

第31回・問題15 次のうち,社会の福祉水準を測定する社会指標として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 失業率
2 GDP
3 消費者物価指数
4 幸福度指標
5 財政力指数

類似問題はこれです。

第27回・問題15 社会指標に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会指標のねらいは,経済的な豊かさを測定することであり,国内総生産(GDP)などがよく用いられる。
2 社会指標とは,主観的評価ではなく,客観的な要因を数量化したものである。
3 社会指標のねらいは,その社会の福祉水準を測定し,政策に活用することにある。
4 社会指標は,個別の分野の目標達成の指標ではなく,総合的な指標として用いられる。
5 社会指標の開発は,2000年代に入りOECDや国際連合などの国際機関を中心に始まった。

第27回で社会指標とはどのようなものかを聞いて,第31回では具体的な社会指標を聞いています。

完全に重なっているのは,GDPです。

正解は,第27回が選択肢3
第31回は選択肢4です。

全然別な答えになっているように思うかもしれませんが,実は一緒です。

「福祉」は,狭義的には社会福祉制度をイメージするかもしれませんが,実は,もともとは「幸せ」という意味です。

示す偏は,神様を意味して,神が止まっている(そこにいる)から「幸せ」という意味になります。

もう一問です。

第31回・問題16 ジニ係数に関する次の説明のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 値が大きいほど格差が大きいことを示す。
2 -1から+1の値をとる。
3 同一労働同一賃金に関する指標である。
4 所得増減量を基に算出される。
5 所得分布全体に占める低所得層の比率を示す。

これの類似問題はこれです。

第27回・問題63 貧困と格差に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一人当たり可処分所得を低い順に並べ,中央値の半分に満たない人の割合を相対的貧困率という。
2 ジニ係数は,その数値が小さくなるほど,所得分布が不平等であることを表す。
3 タウンゼント(Townsend,P)は,栄養学の観点から科学的,客観的に貧困を定義する絶対的貧困の概念を主張した。
4 貧困の再発見とは,貧困線付近の低所得世帯より公的扶助世帯の方で可処分所得が上回ってしまい,いつまでも公的扶助から抜け出せないことをいう。
5 生活保護世帯の子どもが成長し,再び生活保護世帯になるという貧困の連鎖については,日本では確認されていない。


第31回の正解は,選択肢1
第27回の正解は,選択肢1

第28回・問題26 貧困・所得格差に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 OECDにおける相対的貧困率は,等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。
2 ジニ係数の値が1に近いほど,所得格差は小さい。
3 平均所得の実質額が低下しジニ係数の値が上昇すれば,社会の構成員の満足の総和は上がる。
4 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると,「子どもがいる現役世帯」のうち,「大人が一人」の世帯員では,相対的貧困率は50%を超える。
5 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると,1997年(平成9年)以降,相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。


ここでもジニ係数が出題されています。

ジニ係数は,国試では,第19回,第26回,第27回,第28回,第29回に出題されている出題確率は,近年極めて高いものです。

しかも科目を超えて出題されています。

この問題は実は,とても重要な問題です。

第31回・問題63 低所得者の状況などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「平成26年全国消費実態調査所得分布等に関する結果」(総務省)によると,1999年(平成11年)から2014年(平成26年)にかけて,貧困かどうかを判断する貧困線(等価可処分所得の中央値の半分の額)が上昇している。
2 「平成26年所得再分配調査報告書」(厚生労働省)によると,2002年(平成14年)から2014年(平成26年)にかけて,所得再分配後のジニ係数は上昇傾向にある。
3 「平成28年度被保護者調査」(厚生労働省)によると,2012年度(平成24年度)から2016年度(平成28年度)にかけて,世帯類型別被保護世帯数のうち母子世帯の割合は上昇している。
4 「生活困窮者自立支援制度における支援状況調査集計結果(平成29年度)」(厚生労働省)によると,新規相談受付件数は年間30万件を超えている。
5 「平成29年度医療扶助実態調査」(厚生労働省)によると,医療扶助受給者の入院に係る傷病分類別構成割合のうち最も多いのは精神・行動の障害である。


この問題の選択肢2につながっています。

この問題はとても難しい問題です。正解は選択肢5だからです。

しかし,選択肢2を消去できれば,正解に近づくことができます。

消去法は,確実な知識を持っているからこそ使える解答テクニックです。


<今日の一言>

社会福祉士の国試は,試験センターが示す出題基準に沿って出題されています。

出題範囲は,無限ではありません。

出題基準に示されていない問題も出題されることがありますが,それは極めてまれです。

ほとんどの問題は,出題基準に沿って出題されているのです。

出題範囲は有限です。
しかし,過去3年間に出題された問題だけでは,出題基準はカバーしません。

現行カリキュラムの国試は,第22回から実施されています。
第31回では10回を数えます。

次回のカリキュラムはいつ改正されるのか,今の時点では分かりません。
しかし,第30回からの国試の出題を見ていると,終盤に入り,総まとめに入っている感じがします。

出題基準には入っているものの,今まで出題されたことがないものの出題を見受けるからです。

7問出題される科目では,3年間の過去問では21問しかありません。
この問題数で,出題基準をカバーしないことは,火を見るよりも明らかです。

もっとさかのぼって,しかも最新の制度に変えた過去問を提供してくれる学校もあります。そういったものを有効活用しましょう。

そうではない人は,古い過去問を買うのは怖いので,やっぱり参考書でしっかり覚えていくことが大切です。

最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事