2019年6月13日木曜日

スーパービジョンとコンサルテーションの違い

今回は,スーパービジョンではなく,コンサルテーションを取り上げたいと思います。

コンサルテーションは,ワーカーの質の向上のために外部の専門家に指導を受けることです。

指導する人は,コンサルタント
指導を受ける人は,コンサルティ


スーパービジョンとコンサルテーションは,
教育的機能と支持的機能は共有しますが,コンサルテーションには,管理的機能がないことに違いがあります。


コンサルタントは,指導はするけれど,外部の人間なので管理的な責任は負わないということなのでしょう。

それでは,今日の問題です。

第22回・問題110 事例を読んで,相談援助におけるコンサルテーションの機能に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
〔事 例〕
 医療機関に入職して2年目のT医療相談室員(社会福祉士)は,治療について,患者と家族の意向が食い違う事例を担当していたが,板挟みの状態に陥って打開策が得られなくなった。T相談室員は,相談室長からこの事例についてコンサルテーションを受けるよう勧められた。

1 コンサルタントは,自分でこの患者に面接して,分析したいと提案した。

2 コンサルタントは,自分の助言に従い実行するようにT相談室員に指示した。

3 コンサルタントは,T相談室員の担当ケースについて責任をもつと約束した。

4 コンサルタントは,相談室員同士で事例を検討するための時間を定期的に確保するように相談室に提案した。 

5 コンサルタントは,テーマと目標を自力で設定するようにT相談室員に命じた。


この問題は,現行カリキュラムの初回の国試となった第22回に出題されたものです。
第23回以降はすべてスーパービジョンに関する問題となっています。

第22回もスーパービジョンが出題されていたら,出題率100%と言えたところでした。

それでもスーパービジョンという出題基準の中には,コンサルテーションも含まれると考えると,スーパービジョンの出題率も100%と言えるのかもしれません。


さて,この問題の正解は,選択肢4です。

4 コンサルタントは,相談室員同士で事例を検討するための時間を定期的に確保するように相談室に提案した。

これを正解として答えるのは,簡単ではないと思います。

しかし,ほかの選択肢を消去することで,この選択肢が残ります。

コンサルテーションがわからないと思うと冷静さを失います。

注意が必要です。


最近は,あまり見なくなりましたが,業績のよくない企業にコンサルタントが指導に入り,業績を飛躍的に伸ばしたというドキュメントがあります。

ああいうものを見ると,コンサルタントは,企業側の理解を得て,従業員はコンサルタントの指導に絶対的に従っています。

これができるのは,本来コンサルテーションにはない管理的機能を得て指導しているからです。


その視点でほかの選択肢を見てみましょう。

1 コンサルタントは,自分でこの患者に面接して,分析したいと提案した。
2 コンサルタントは,自分の助言に従い実行するようにT相談室員に指示した。
3 コンサルタントは,T相談室員の担当ケースについて責任をもつと約束した。
5 コンサルタントは,テーマと目標を自力で設定するようにT相談室員に命じた。

選択肢1は,すべては患者の権利擁護のためにソーシャルワークがあることを忘れている対応です。

分析するために患者に面接するというのはあってはならないことです。
もし必要なら,患者の同意を得て,面接場面に同席する程度でしょう。

選択肢2と選択肢5は,「指示する」「命じる」という管理的機能による対応だと言えるでしょう。

選択肢3は,選択肢2と5とちょっと違いますが,「責任を持つ」というのは,管理的機能だと言えます。


<今日の一言>

現行カリキュラムで,コンサルテーションそのものが出題されたのは,今日の問題が唯一です。

しかし,事例問題では,以下のようにちょこちょこ出題されています。


<第24回>
次のうち,N介護支援専門員が行ったケアマネジメント業務を表す用語として,最も適切なものを一つ選びなさい。
1 コーディネーション
2 スクリーニング
3 モニタリング
4 アウトリーチ
5 コンサルテーション


<第25回>
次のうち,L社会福祉士が行った支援機能に当たるものとして,適切なものを2つ選びなさい。
1 コンサルテーション
2 アウトリーチ
3 エンパワメント
4 ソーシャル・アクション
5 アドボカシー


<第29回>
次のうち,D社会福祉士がこの場面で最初に行うこととして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 アセスメント
2 プランニング
3 スクリーニング
4 モニタリング
5 コンサルテーション


すべて,カタカナ用語で構成された問題であることがわかります。

カタカナ用語は,覚えにくいものですが,こういったものをきっちりしっかり覚えていくことが,合格に近づくことができることがよくわかることでしょう。


きっちりしっかり勉強した人にとっては,決して難しくないですが,勉強不足の人は,おそらく答えられないと思います。

今の国試は,努力は必ず報われる試験です。

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