パラレルプロセスという言葉を聞いたことがありますか?
パラレスプロセスとは?
スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係が,ワーカーとクライエントの関係で展開されていくようになること。
もともとは精神分析学の概念です。
ということは,スーパーバイジーは,無意識のうちにスーパーバイザーとの関係をクライエントに向けてしまうものだと考えられます。
その結果がパラレルプロセスとなります。
さて,それでは今日の問題です。
第31回・問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。
2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。
4 パラレルプロセスとは,スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。
5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーバービジョンの支持的機能である。
今まで国試は31回実施されていますが,パラレルプロセスはたった2回しか出題されていません。
パラレルプロセスの記事(第26回国試)
第26回が初めての出題,2回目の出題となったのが今日の問題の第31回です。
3年間の過去問ではカバーしないことがよくわかることでしょう。
正解は,選択肢4です。
パラレルプロセスがわからなくてもスーパービジョンの機能がわかっていれば正解できそうです。
しかし,正解できるのは,知識がある人だけです。それではほかの選択肢も確認します。
1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。
これを正解にする人はまずいないでしょう。
スーパービジョンの目的は,スーパービジョンを通して,ワーカーの成長を促すことです。
2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの開始の段階で行います。
3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。
まだスーパービジョンの種類は取り上げていませんが,ピアスーパービジョンは仲間で行うスーパービジョンです。そのため,スーパーバイザーはいません。
5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーバービジョンの支持的機能である。
スーパービジョンの機能をしっかり押さえていないと引っ掛けられてしまうのがこの選択肢です。
管理的機能の管理には,労務管理と業務管理があります。
業務を調整するのは,そのうちの業務管理です。
つまり支持的機能ではなく,管理的機能だということになります。
<今日の一言>
次にパラレルプロセスが出題されるのは,おそらく第32回ではないと思います。
しかし,必ずまた出題されると思います。
次の出題を予想すると,またまた間違い選択肢として出題するか,あるいは,パラレルプロセスのテーマでの出題になるのではないでしょうか。
このように出題すると,勉強した人は解けますが,勉強しない人は解けません。