いよいよ今回がスーパービジョンシリーズの最終回です。
スーパービジョンの出題はほぼ毎回されています。
そのため,確実に正解したい問題です。
出題内容は,
スーパービジョンの種類
スーパービジョンの機能
です。
出題スタイルは,一般的な一問一答式の問題と事例問題に分かれます。
事例問題は,決して簡単ではありません。
ポイントが押さえられないと間違えます。
それでは,今日の問題です。
精神保健福祉士・第21回-問題47
L精神保健福祉士は,精神科病院に勤務して3年目に,デイケア担当から閉鎖病棟の担当となり,退院後生活環境相談員も兼ねることになった。1か月後,L精神保健福祉士は,「病棟での患者の様子を目の当たりにして,デイケアの利用者と違うので,入院患者とどのように接していけばいいのか分からなくなった。自分の專門性に自信がなくなった」と,上司のM精神保健福祉士に相談した。
次のうち,この場面でM精神保健福祉士に求められるスーパービジョンの内容として,適切なものを1つ選びなさい。
1 この状況に対する戸惑いは当然だと返す。
2 入院患者との面接場面のロールプレイを行う。
3 他職種の専門性を説明する。
4 退院支援委員会の開催場所や会議前に準備することを教える。
5 退院後生活環境相談員と担当看護師,主治医との関係を解説する。
精神保健福祉士の国家試験は,社会福祉士・介護福祉士の国家試験から10年後から実施されています。
そのため,国試の実施回がちょうど10年違いです。精神保健福祉士の第21回国試ということは,社会福祉士の第31回国試と同じ年に実施されたものです。
余談
精神保健福祉士と社会福祉士の国家試験は一部の科目が同じです。
社会福祉士の国家試験は,午前と午後に分かれています。午前に行われる科目を「共通科目」と呼ぶのは,精神保健福祉士と共通の科目であるという意味です。
さて,問題に戻ります。
スーパービジョンの機能は,3つあります。どれが優先されるということはありません。
その場面によって対応法は変わります。
しかし,常に求められるのは,支持的機能です。
この問題の5つの選択肢は,スーパービジョンの方法としては適切です。
しかし設問に「この場面で」という限定があります。
次の段階でではなく,「この場面で」の対応でなければなりません。
この場面の着目ポイントは,「病棟での患者の様子を目の当たりにして,デイケアの利用者と違うので,入院患者とどのように接していけばいいのか分からなくなった。自分の專門性に自信がなくなった」というL精神保健福祉士の言葉です。
その言葉に対応するのは,選択肢1
この状況に対する戸惑いは当然だと返す。
これは支持的機能を用いた対応です。
ぶっきらぼうな言葉ですが,おそらく気持ちは,L精神保健福祉士の気持ちはスーパーバイザーであるM精神保健福祉士に向くのではないでしょうか。
2 入院患者との面接場面のロールプレイを行う。
3 他職種の専門性を説明する。
5 退院後生活環境相談員と担当看護師,主治医との関係を解説する。
この3つは,教育的機能を用いた対応です。
4 退院支援委員会の開催場所や会議前に準備することを教える。
これは,管理的機能を用いた対応です。
<今日の一言>
今日の問題は,それほど難しくないものかもしれません。
しかし,この問題のように,場面が異なれば適切なものであっても,この場面では適切ではないという問題は,特に注意しなければなりません。
この場面では,「自信がなくなった」というL精神保健福祉士の言葉を受け止めた対応がイの一番に求められます。
L精神保健福祉士の気持ちを受容することができれば,L精神保健福祉士もクライエントの気持ちを受容できるようになります。
これが「パラレルプロセス」です。
スーパービジョンは,奥が深いものですね。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
国家試験は,ボーダーラインを超える点数を取ると合格できます。 国家試験が終わると,「勉強不足だった」という声が聞こえてきますが,すべての人が勉強不足だったとは思いません。 一番目に考えられるのは,問題を読む力が不足していた。 時間がなくなっ...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
参考書を開くと,人名が多く書いてあります。 すべて覚えなければならないのか,と思うと気が重くなると思います。 かつては,人名がわからないと解けない問題が出題されていましたが,今はほとんどなくなっています。 そのため,覚えるべきポイントは,人名よりもその内容だということにな...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
人名を覚えるのを苦手とする人は多いと思います。 しかし,人名問題は,出題ポイントが極めて明確です。 社会福祉士の国家試験は,単語カードを使って勉強するのに向きませんが,人名は,それも有効です。それほど覚えるべきポイントが明確であるということです。 ただし,これからの時期(国試ま...
-
国家試験問題は,よく吟味して出題していると思いますが,それでも問題が不適切なものが出題されることがあります。 社会福祉士の国家試験では,そういった問題の場合は,全員に点数が与えられます。 その科目が0点だった人には,ラッキーですが,そうでない人にとって,よくないことです。 なぜな...
-
今回は,ピンカスとミナハンが提唱したシステム理論を取り上げたいと思います。 システム 内容 クライエント・システム 個人,家族,地域社会など,クライエントを包み込む環境すべてのも...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...