社会福祉士の国試は,150問出題されます。
そのうち「相談援助の理論と方法」は,最も出題数が多い科目です。
実に21問もあります。
特別な勉強をしなくても解ける事例問題などもあるため,他科目に比べて簡単だと思っていませんか?
国家試験は,得点の高い上位30%の受験生しか合格できない試験です。
特別な勉強をしなくても解ける問題は,他の受験生も解けます。
こういった問題でミスすることは命取りとなります。
合格するためには,この科目で15点以上取りたいです。
勉強スタートが遅くなれば,勉強内容を絞らざるを得なくなり,勉強しなくても得点できる問題が含まれるこの科目に重い配分を置く勉強はしなくなります。
しかし,勉強せずに得点できる問題はそんなに多くないので,得点は伸びません。
15点どころか10点程度しか取れないという結果にもなりかねません。
これでは合格するのが難しいのは火を見るよりも明らかです。
それでは今日の問題です。
第29回・問題115 グループワークに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 波長合わせとは,メンバー間の親しい対面や接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。
2 グループの発達過程とは,グループの誕生から終結に至る,力動的関係の過程を示すものである。
3 グループの凝集性とは,メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。
4 メンバー間の相互作用とは,メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことである。
5 プログラム活動とは,メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にすることである。
グループワークの勉強をしない人は,「波長合わせ」が何かが分かりません。
そのため,この問題の難易度はとても難しいものとなります。
この問題はグループワークの展開過程を押さえておくことが必要です。
グループワークの展開過程
準備期
ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。
この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。
開始期
メンバーが集まって,グループワークを始める前までの段階です。
この段階には「契約」と呼ばれるワーカーの役割などをメンバーに説明する段階が含まれます。グループワークでの約束事などを確認し,援助関係をつくります。
作業期
ワーカーとメンバーが課題解決に向けて,活動を行う段階です。
この段階では,グルーブの仲間意識が生じたり,対立したりすることもあります。
しかし,これらはグルーブダイナミクス(集団力学)を活用したグループワークでは重要な意味を持ちます。
終結期
グループワークを終える段階です。振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。そのため,移行期とも言われます。
今日の問題の正解は
2 グループの発達過程とは,グループの誕生から終結に至る,力動的関係の過程を示すものである。
何となく答えはこれかな,と思う人もいると思いますが,最初からこれが正解だと確信を持って答えられる人は多くはないはずです。
他の選択肢をしっかり消去することで,この選択肢が残ります。
他の選択肢を確認しましょう。
1 波長合わせとは,メンバー間の親しい対面や接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。
波長合わせがグループワークの展開過程の中で最も注意すべきものです。
波長合わせは,ワーカーがクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握することです。
3 グループの凝集性とは,メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。
これが,波長合わせです。
4 メンバー間の相互作用とは,メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことである。
メンバー間の相互作用は,お互いに刺激し,影響し合うことです。
5 プログラム活動とは,メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にすることである。
プログラム活動は,支援プログラムを活用して活動するものです。
<今日の一言>
「波長合わせ」は,その言葉のイメージから,メンバーが顔を合わせて,開始期か作業期に行われるものだと思われがちです。
しかし,実際には,準備期にワーカーが行うものです。
言葉のイメージと実際が大きく異なります。
今日の問題は,波長合わせを正しく理解しておくことで正解できるものです。
正解できるか,できないかはその差です。
こういった差の積み重ねが,合格と不合格につながります。
相談援助の理論と方法でいかに正解できるかは,極めて重要なのです。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
今回は,ロールズが提唱した「格差原理」を学びましょう。 格差原理とは,格差(社会的や経済的に不平等があること)は,最も恵まれない人に用いられる場合にのみ認められること。 格差があることを認めないのではなく,格差があっても,それがその社会の中で最も恵まれない人の利益になるような仕組...
-
システム理論は,「人と環境」を一体のものとしてとらえます。 それをさらにすすめたと言えるのが,「生活モデル」です。 エコロジカルアプローチを提唱したジャーメインとギッターマンが,エコロジカル(生態学)の視点をソーシャルワークに導入したものです。 生活モデルでは,クライエントの...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
歴史が苦手な人は多いですが,イギリスの歴史は覚えておきたい歴史の代表です。 今回のテーマは,ブース,ラウントリーの貧困調査です。 第34回国家試験までの出題回数を調べてみると ブース 12回 ラウントリー 16回 どちらの出題頻度も高いですが,ラウントリーのほうがより出題頻度が...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...