2019年6月18日火曜日

合格ポイントは「相談援助の理論と方法」

社会福祉士の国試は,150問出題されます。

そのうち「相談援助の理論と方法」は,最も出題数が多い科目です。
実に21問もあります。

特別な勉強をしなくても解ける事例問題などもあるため,他科目に比べて簡単だと思っていませんか?

国家試験は,得点の高い上位30%の受験生しか合格できない試験です。

特別な勉強をしなくても解ける問題は,他の受験生も解けます。
こういった問題でミスすることは命取りとなります。

合格するためには,この科目で15点以上取りたいです。

勉強スタートが遅くなれば,勉強内容を絞らざるを得なくなり,勉強しなくても得点できる問題が含まれるこの科目に重い配分を置く勉強はしなくなります。

しかし,勉強せずに得点できる問題はそんなに多くないので,得点は伸びません。
15点どころか10点程度しか取れないという結果にもなりかねません。

これでは合格するのが難しいのは火を見るよりも明らかです。

それでは今日の問題です。



第29回・問題115 グループワークに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 波長合わせとは,メンバー間の親しい対面や接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。

2 グループの発達過程とは,グループの誕生から終結に至る,力動的関係の過程を示すものである。

3 グループの凝集性とは,メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。

4 メンバー間の相互作用とは,メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことである。

5 プログラム活動とは,メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にすることである。



グループワークの勉強をしない人は,「波長合わせ」が何かが分かりません。
そのため,この問題の難易度はとても難しいものとなります。

この問題はグループワークの展開過程を押さえておくことが必要です。



グループワークの展開過程


準備期
ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。
この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。

開始期
メンバーが集まって,グループワークを始める前までの段階です。
この段階には「契約」と呼ばれるワーカーの役割などをメンバーに説明する段階が含まれます。グループワークでの約束事などを確認し,援助関係をつくります。

作業期
ワーカーとメンバーが課題解決に向けて,活動を行う段階です。
この段階では,グルーブの仲間意識が生じたり,対立したりすることもあります。
しかし,これらはグルーブダイナミクス(集団力学)を活用したグループワークでは重要な意味を持ちます。

終結期
グループワークを終える段階です。振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。そのため,移行期とも言われます。


今日の問題の正解は

2 グループの発達過程とは,グループの誕生から終結に至る,力動的関係の過程を示すものである。


何となく答えはこれかな,と思う人もいると思いますが,最初からこれが正解だと確信を持って答えられる人は多くはないはずです。

他の選択肢をしっかり消去することで,この選択肢が残ります。


他の選択肢を確認しましょう。


1 波長合わせとは,メンバー間の親しい対面や接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。


波長合わせがグループワークの展開過程の中で最も注意すべきものです。

波長合わせは,ワーカーがクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握することです。


3 グループの凝集性とは,メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。

これが,波長合わせです。


4 メンバー間の相互作用とは,メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことである。


メンバー間の相互作用は,お互いに刺激し,影響し合うことです。


5 プログラム活動とは,メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にすることである。


プログラム活動は,支援プログラムを活用して活動するものです。


<今日の一言>

「波長合わせ」は,その言葉のイメージから,メンバーが顔を合わせて,開始期か作業期に行われるものだと思われがちです。

しかし,実際には,準備期にワーカーが行うものです。
言葉のイメージと実際が大きく異なります。

今日の問題は,波長合わせを正しく理解しておくことで正解できるものです。
正解できるか,できないかはその差です。

こういった差の積み重ねが,合格と不合格につながります。

相談援助の理論と方法でいかに正解できるかは,極めて重要なのです。

最新の記事

児童手当法と児童手当

  今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...

過去一週間でよく読まれている記事