ソーシャルワークの端緒はイギリスで生まれ,アメリカで育っていきました。
そのため,専門用語には英語が多く使われています。
一般生活で使われないものが多いために,嫌悪感を持たず,慣れるのは,決して簡単なことではないかもしれません。
しかし,国試にとっては,勉強した人と勉強が足りない人の差がつくように出題するのが理想なので,知識がなくても解けるものよりも,知識がなければ解けないものを上手に出題します。
現在,スーパービジョンに取り組んでいます。
カタカナ語が並ぶ典型的なものと言えるでしょう。
スーパービジョン
・ソーシャルワーカーとしての成長を促すもの。
スーパーバイザー → 指導する者。
スーパーバイジー → 指導を受ける者。
スーパービジョンの種類
・個別スーパービジョン
・グループスーパービジョン
・ライブスーパービジョン
・ピアスーパービジョン
・セルフスーパービジョン
スーパービジョンの種類を正しく理解するためには,スーパーバイザーとスーパーバイジーを正しく理解する必要があります。
それでは今日の問題です。
第29回・問題117 スーパービジョンに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 ピア・スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが同席して行う。
2 グループ・スーパービジョンは,一人のスーパーバイザーが複数のスーパーバイジーに対して行う。
3 個人スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが相互に交代しながら行う。
4 セルフ・スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行う。
5 ライブ・スーパービジョンは,スーパーバイザーを置かずに,スーパーバイジーが集団で行う。
スーパービジョンの種類で,理解しにくいのは,スーパーバイザーがいないスーパービジョンがあることです。
スーパービジョンの種類
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内容
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個別スーパービジョン
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スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行うスーパービジョン。
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グループスーパービジョン
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1人のスーパーバイザーと複数のスーパーバイジーで行うスーパービジョン。
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ライブスーパービジョン
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ソーシャルワーク場面にスーパーバイザーが同席して行うスーパービジョン。
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ピアスーパービジョン
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仲間同士で行うスーパービジョン。スーパーバイザーとなる者はいない。
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セルフスーパービジョン
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自分自身で振り返りを行うスーパービジョン。自分がスーパーバイザー。
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正解は,選択肢2
2 グループ・スーパービジョンは,一人のスーパーバイザーが複数のスーパーバイジーに対して行う。
これなら大丈夫です。
前回の
個人スーパービジョンとは,複数のスーパーバイザーが,一人の援助者に対してスーパービジョンを行うことをいう。
とはスーパーバイザーとスーパーバイジーが逆になっていますね。
正解するには,
スーパーバイザー → 指導する者。
スーパーバイジー → 指導を受ける者。
を正しく理解することが大切です。
他の選択肢も見てみましょう。
1 ピア・スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが同席して行う。
これは,ライブスーパービジョンです。
3 個人スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが相互に交代しながら行う。
個人スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーピーバイジーが1対1で行います。
4 セルフ・スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行う。
これは,個人スーパービジョンです。
5 ライブ・スーパービジョンは,スーパーバイザーを置かずに,スーパーバイジーが集団で行う。
ライブ・スーパービジョンは,スーパーバイザーとスーパーバイジーが同席して行います。
<今日の一言>
国試は,1問が1点です。
難しい問題であっても,易しい問題でも1問1点です。
今日の問題は,難易度は易しめと言えるでしょう。
こういった問題でミスしないことがコツです。
現在の問題文は,比較的短くなっているので,言い回しで引っ掛けるということは少なくなっています。
しかし,国試で怖いのは読み違いです。
文字自体に意味がある表意文字の漢字と違って,カタカナ語は文字に意味を持たない表音文字のため,読み違いを起こす可能性が高まります。
そこで,文章の途中にスラッシュを入れて読むという訓練方法があります。
個人スーパービジョンとは,複数のスーパーバイザーが,一人の援助者に対してスーパービジョンを行うことをいう。
ここに
個人スーパービジョンとは,/複数のスーパーバイザーが,/一人の援助者に対してスーパービジョンを行うことをいう。
と入れます。
この方法は,かつて設問が長かった第25回国試以前に用いていたものです。
しかし第30回より第31回国試の問題の文字数が長くなったこともあり,もしかするとまた必要とされてくるかもしれないものかもしれません。
スラッシュを入れることで,目が文章から離れにくくなる効果があります。一つひとつをしっかり読むことができます。
そのため,読み直しをする必要もなくなります。