国家試験を突破するためには,様々な勉強法があると思います。
しかし,これからはまとめの時です。
様々な勉強を試している時間はありません。
私たちチームfukufuku21のメンバーが目指しているのは,確実に正解できる得点力をつけることです。
社会福祉士の国家試験は文章で展開しているため,ちょっと表現が変わったら,意味をつかむのが難しくなります。
社会福祉士の問題も現在は文章ではない問題が出てきているので,変な言い回しで混乱しなくて済むようになってきました。
しかし,誰もが解ける問題では,受験者に差がつかないので,様々なタイプの問題を出題してふるいにかけてきます。
国家試験で気を付けなければならないのは,存在しないでたらめな選択肢を含められると極端に難しく感じることです。
正解は,実にシンプルなものであったとしても,そのでたらめ選択肢によって混乱するからです。
そういった意味で,これからの時期は,問題を解くことによって,問題に慣れていく勉強が必要です。
知識は,国試に合格するための必要条件ですが,十分条件ではありません。
知識にプラスして問題を解く力をつけることが,国試に合格するための必要十分条件です。
問題を解く力というのは,別な言い方をすれば,でたらめ選択肢を消去できる力です。
消去法は,最も使える解答テクニックです。
それでは,今日の問題です。
第23回・問題139 児童福祉施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 情緒障害児短期治療施設に入所できる期間は,原則として2年を限度としている。
2 障害児入所施設に入所したすべての児童は,18歳になると退所しなければならない。
3 乳児院には,保健上,安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要な場合,幼児を入所させることができる。
4 児童相談所は,妊産婦から申込みがあったときは,助産施設における助産の実施を決定しなければならない。
5 児童家庭支援センターは,児童福祉施設に附置しなければならない。
社会福祉士の国家試験に合格するためには,法制度の知識が必要です。
法制度は,知っていれば解けます。
そういった意味で,短期で実力をつけるためには,法制度系の問題に強くなることが近道です。
この問題の正解は,選択肢3です。
3 乳児院には,保健上,安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要な場合,幼児を入所させることができる。
これが正解だと思って,もう一度問題を見てみると,もう正解はこれしかないように見えてきませんか?
ほかの選択肢がうそっぽく見えるのです。
問題慣れしてくると,こういった正誤を見抜く力がつくようになります。
それでは,うその選択肢を解説しますね。
1 情緒障害児短期治療施設に入所できる期間は,原則として2年を限度としている。
このタイプの問題は,もう今は出題されないでしょう。
情緒障害児短期治療施設は,現在は「児童心理治療施設」に名称が変更されているからです。
この当時までは,「短期」という施設名から,この選択肢のように「利用期間は決まっている」というように出題がなされてきましたが,利用期間の定めは,今もこの当時もありません。
2 障害児入所施設に入所したすべての児童は,18歳になると退所しなければならない。
今は,「すべて」「のみ」といった分かりやすい表現は極力使わないで出題されています。
「すべて」「のみ」は正解にやりにくいことは,多くの人が知っているからです。
しかし,国試ではうっかりすることもあるので,もう一度心に刻んでおきましょう。
4 児童相談所は,妊産婦から申込みがあったときは,助産施設における助産の実施を決定しなければならない。
児童福祉法は,児童の権利を守るための法律です。その法に基づき設置される機関は,やっぱりその目的の機関だということになります。
助産の決定をするのは,どの機関かはわからずとも,少なくても児童相談所ではないという推測はできるでしょう。
児童相談所は,それでなくても忙しいです。何でも押し付けては大変です。
5 児童家庭支援センターは,児童福祉施設に附置しなければならない。
この選択肢は,以前なら正解でしたが,現在はこの規定はありません。
<今日の一言>
国家試験は,合格する人も不合格になる人も,点数の差はほとんどありません。
いかにつまらないミスをせず,今日の問題のようなもので得点していくかが,合否を分けると言っても良いでしょう。
多くの人は,覚えることに必死になって,問題を解く訓練が不足しています。
そういったところが,実は合否に大きくかかわっています。
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