児童手当(1971・昭和46年)
児童扶養手当(1961・昭和36年)
特別児童扶養手当(1964・昭和39年)
の3つがあります。
このうち,最も遅れて創設されたのが,児童手当です。
児童扶養手当は,ひとり親家庭
特別児童扶養手当は,障害児
を対象として支給されるものです。
これらは,福祉六法体制が確立された昭和30年代に創設されています。
昭和30年代の日本はまさしく,高度経済成長の真っただ中です。
社会保障制度は,資本主義という制度を補足するためのものです。
資本主義で得られた利益を用いて,社会保障制度の財源とします。
そういった意味では,児童の養育に対する現金給付はほかの社会手当と同時期に創設されてもよかったはずです。
実は,その当時から創設に向けた議論はあったのですが,様々なコンセンサスを得るのに時間がかかり,ようやく創設されたのが,高度経済成長の末期にあたる1971年でした。
問題点を抱えたまま走り出したこともあり,制度は改正が重ねられて,現在に至っています。
この間,民主党政権時代には,児童手当に変わって,子ども手当が支給されていたこともあります。
制度ができた当初は,第3子からの支給でしたが,現在は第1子から支給されています。
かつては一定以上の所得がある者には支給されませんでしたが,現在は支給されるようになっています。
児童手当の財源
公費(国:2/3,地方:1/3)と事業主によるこども・子育て拠出金さて,今回は,「社会保障」で出題された,児童手当に関する問題を振り返ってみたいと思います。
1問目(第22回・問題51)
我が国の社会保障制度に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
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1 民間被用者に関する児童手当には,事業主の拠出金がある。
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2 健康保険及び国民健康保険には,事業主の負担がある。
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3 児童扶養手当の支給は,婚姻を解消した父等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度を軽減する。
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4 児童手当制度は,所得制限が設けられていない普遍的給付である。
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5 児童手当制度は,第2子から支給される。
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正解は,選択肢1です。
1 民間被用者に関する児童手当には,事業主の拠出金がある。
児童手当の創設に時間がかかったのは,児童手当の財源をどのように設定するか,という問題もあったようです。
事業主は,こども・子育て拠出金を納付しています。
これは,労使折半ではなく,事業主負担のみです。
自営業者や農業者などは,拠出金がありません。
2問目(第26回・問題141)
現行の児童手当制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
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1 児童手当は,児童の年齢にかかわらず同一の金額が支給される。
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2 児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。
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3 児童手当は,児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで支給される。
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4 児童手当は,第3子の児童から支給される。
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5 児童手当を受けようとする父母等は,都道府県知事の認定が必要である。
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正解は,選択肢2です。
2 児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。
3問目(第27回・問題53)
児童手当に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
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1 児童扶養手当が支給される世帯に対しては,児童手当は支給されない。
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2 児童手当の支給には,所得制限が設けられている。
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3 児童手当は,第2子から支給される。
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4 児童手当の支給は,児童が小学校を修了するまでである。
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5 児童手当の費用は,国と地方自治体が半分ずつ負担する。
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正解は,選択肢2です。
2 児童手当の支給には,所得制限が設けられている。
法では,一定以上の所得制限がある者には支給しないという「所得制限」があります。
こども手当に変わって,児童手当が復活した際,所得制限以上の所得がある者に対しても,一律5,000円が支給されています。
4問目(第30回・問題55)
児童手当,児童扶養手当に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
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1 児童手当の支給対象となる児童の年齢は,12歳到達後の最初の年度末までである。
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2 児童手当の費用は,国と地方自治体が50%ずつ負担している。
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3 児童手当の支給額には,物価スライド制が適用されている。
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4 児童扶養手当の費用は,国が全額負担する。
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5 児童扶養手当の支給対象となる児童の年齢は,障害がない子どもの場合,18歳到達後最初の年度末までである。
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正解は,選択肢5です。
5 児童扶養手当の支給対象となる児童の年齢は,障害がない子どもの場合,18歳到達後最初の年度末までである。
障害児の場合は,20歳未満まで支給されます。
<今日の一言>
児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。
4回の問題のうち,2回も同じ内容のものが正解になっているのは,珍しいと言えます。
わが国の児童手当は,欧米に比べると遅い時期に創設されています。
欧米の児童手当の財源がどのようになっているのは知りませんが,もしかするとわが国の児童手当の特徴は,事業主からの拠出金があることなのかもしれません。