しかし,国家試験を間近に控えた今,どうしても確認してほしいことがあります。
社会福祉士は,誰もが受験できる資格ではありません。受験資格を得るためには,長い道のりが必要です。
その意味で,受験資格を得ること自体は,とても貴重なことです。
社会福祉士の資格を取りたいのはなぜですか?
すべての受験予定者の方にこの問いを投げかけたいと思います。
これから国家試験までには,どれだけ勉強しても焦り,不安は高まっていきます。これは誰もが同じく経験することです。
その時に,自分に問いかけてみてください。
社会福祉士の資格を取りたいのはなぜですか?
目的を見失わないことが大切です。
さて,今日は,児童福祉施設のうちの一つである「母子生活支援施設」を学びます。
児童福祉法に規定される母子生活支援施設
入所対象
|
配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童。
|
利用方法
|
福祉事務所に利用申し込みを行う。
|
それでは,今日の問題です。
第30回・問題139 母子生活支援施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 父子家庭も入所の対象とすることができる。
2 入所する児童は,15歳に満たない者とされている。
3 母子室は,4世帯につき1室以上が設備基準とされている。
4 施設長は,入所中の個々の母子について,自立支援計画を立てなければならない。
5 家庭支援専門相談員を置かなければならない。
この問題は,消去法でなければ正解できない問題です。
なぜなら,正解は
4 施設長は,入所中の個々の母子について,自立支援計画を立てなければならない。
だからです。このことについて,勉強して国家試験に臨んだ人はまずいないからです。
それでは,ほかの選択肢を消去しましょう。
1 父子家庭も入所の対象とすることができる。
入所対象は,配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童です。
これに準ずる事情とは,例えばDV被害者などです。
父子家庭が対象になってはいけないのです。
2 入所する児童は,15歳に満たない者とされている。
これはちょっと考えてしまいますね。
児童福祉法に規定される児童は,「満十八歳に満たない者」です。
つまり,母子生活支援施設を利用できる児童は18歳未満となります。
3 母子室は,4世帯につき1室以上が設備基準とされている。
母子生活支援施設は,生活の場です。収容の場ではありません。
今どき4世帯が一部屋で生活することは考えにくいです。
もちろん1世帯1部屋です。
5 家庭支援専門相談員を置かなければならない。
母子生活支援施設に配置される職員は,母子支援員です。
家庭支援専門相談員を置かなければならないのは,以下の施設です。
乳児院
児童養護施設
児童心理治療施設
児童自立支援施設
<今日の一言>
今日のような問題は,消去法で答える問題です。
必ずこういった問題はあります。
このタイプの問題は,しっかり知識を持った人だけが正解できるので,国家試験にふさわしいものだと言えます。
しかし,難易度は限りなく高い問題になるので,答えられなくてもそれほど気にすることはありません。
高い得点で合格するために,こういった問題も拾っていかなければなりませんが,基本的に6割程度正解できれば合格できます。
国家試験は,3割の人が90点以上取れる試験でなければなりません。
3割の人が100点取れる問題になると,第30回の時のように合格基準点がぐ~んと上がってしまいます。
そのため,国家試験には必ず易しい問題と難しい問題が適度に配分されています。
国家試験に合格するために必要なのは,今まで勉強してきたことをひたすら確実に覚えることです。
これは辛いことです。そのため,目的をいつも忘れないことが大切なのです。