厚生労働省による説明文書には,以下のように記載されています。
里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)
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趣旨
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施設に地域支援の拠点機能を持たせ,里親やファミリーホームへの支援体制の充実を図るとともに,施設と里親との新たなパートナーシップを構築する。
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人材
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・家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)と同じ資格要件(社会福祉士,施設で5年以上勤務した者,又は児童福祉司資格のある者)を満たし,里親養育に理解があり,ソーシャルワークの視点を持てる人
・実践を積み重ねながら,里親支援の在り方を見いだし,里親支援ソーシャルワークの専門性を高める。
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役割
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①所属施設の児童の里親委託の推進
②退所児童のアフターケアとしての里親支援
③地域支援としての里親支援
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活動
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・施設の直接処遇の勤務ローテーションに入らない。施設の視点から離れ,里親と子どもの視点に立つ。
・児童相談所の里親担当職員や里親委託等推進員とともに,定期的な家庭訪問を行うほか,施設機能を活かした支援を含め,里親支援を行う。
・児童相談所の会議に出席して情報と課題を共有する。
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位置付け
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・配置施設を里親支援機関に指定し,役割を明示する。
・児童家庭支援センターを附置する施設では,里親支援専門相談員は,センターを兼務し連動する。
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里親支援機関とは,乳児院及び児童養護施設のことです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題142 里親支援専門相談員に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士の資格を有する者でなければならない。
2 施設入所している被虐待児童等への生活場面での1対1の対応,保護者への援助を主な目的としている。
3 施設入所している児童の保護者等に対し,児童の早期家庭復帰,里親委託等を可能とするための相談援助を主な目的としている。
4 厚生労働大臣が指定する者が行う研修を受講することが,義務づけられている。
5 里親支援を行う児童養護施設及び乳児院に配置される。
混乱しやすいのは,里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)と家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)です。
おおまかな違いは,
里親支援専門相談員は,里親支援を専門に行う。家庭支援専門相談員は,児童の早期家庭復帰などを行う。
というように色分けすることができます。
ということで,正解は選択肢5です。
5 里親支援を行う児童養護施設及び乳児院に配置される。
児童養護施設及び乳児院は,「里親支援機関」と位置付けられています。
それではほかの選択肢も見てみましょう。
1 社会福祉士の資格を有する者でなければならない。
社会福祉士が必置なのは,地域包括支援センターのみです。
地域包括支援センター以外で,この選択肢が出てきたら,すぐさま消去してください。
2 施設入所している被虐待児童等への生活場面での1対1の対応,保護者への援助を主な目的としている。
こんな規定はありません。
3 施設入所している児童の保護者等に対し,児童の早期家庭復帰,里親委託等を可能とするための相談援助を主な目的としている。
施設入所している児童の保護者等に対し,児童の早期家庭復帰,里親委託等を可能とするための相談援助を主な目的としているのは,「家庭支援専門相談員」です。
混乱しないように,もう一度整理しておいてください。
4 厚生労働大臣が指定する者が行う研修を受講することが,義務づけられている。
こんな規定はありません。
<今日の一言>
国家試験が近くなると,
ここで出るよ
といった怪しげなうわさが飛び交います。
どんな問題が出題されるかは,試験問題を作った試験委員でさえわかりません。
自分が作った問題が採用されるかどうか知らないからです。
冷静に考えると「ここが出る」といったものはあり得ないことです。
それにもかかわらず,そういった話が蔓延するのは,藁にもすがりたい一心だからでしょう。
これから国家試験までの限られた時間の中での勉強で,重要なのは確実に覚えていくことです。
今日の問題で言えば,「里親支援専門相談員」と「家庭支援相談支援専門員」の違いを明確に押さえることです。
国家試験が近くなったからと言って,それまでの勉強方法を変える必要はありません。
ひたすらコツコツ今までの勉強を繰り返していくことが大切です。
「ここが出る」といった怪しげなうわさには極力耳を貸さないくらいの気持ちも必要です。
耳に入ってきたとしても「出る可能性がある」という程度に思っておきましょう。