2019年12月15日日曜日

家庭支援専門相談員と里親支援専門相談員

児童福祉には,様々な専門職が活動しています。

社会福祉士の国家試験で,専門職に関する問題が出題された時に確実に正解するためには,以下の3つのポイントを覚えておくことが重要です。


①専門職名
②配置される機関
③職務内容


専門職の種類によっては,資格要件も押さえておくことも必要ですが,詳しく覚えることはありません。社会福祉士(及び精神保健福祉士)には数多くの専門職に任用される資格があるからです。

さて,今回は,様々な専門職のうち,家庭支援専門相談員と里親支援専門相談員を覚えましょう。


家庭支援専門相談員と里親支援専門相談員
専門職名
家庭支援専門相談員
里親支援専門相談員
配置される機関
乳児院
児童養護施設
児童心理治療施設
児童自立支援施設
乳児院
児童養護施設


職務内容
児童の早期家庭復帰
退所後の支援
里親委託推進 等
里親支援 等



配置される機関は,乳児院と児童養護施設は共通です。

里親に関する職務は,家庭支援専門相談員(いわゆるファミリーソーシャルワーカー)も里親支援専門相談員も担っていますが,より専門的なのが里親支援専門相談員です。

それでは,今日の問題です。


第23回・問題142 「家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)」に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 資格については,特定の資格要件はない。

2 各市の保健センターに配置され,主として子育てに関する相談に応じる専門職である。

3 福祉事務所の家庭児童相談室において,虐待等の家庭環境上指導の必要な家庭に対し,訪問等の方法により,児童,保護者への指導を行う。

4 児童相談所において,里親家庭への児童の早期定着を促進する業務を行う。

5 乳児院等の児童福祉施設において,児童の早期家庭復帰や家庭復帰後の相談・養育指導,里親委託の促進等の業務を専門に担当する。


「児童と家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」は,苦手としている人が多い科目なので,点数が取れない傾向にあるようです。

しかし,決して深い知識を求められることなく,基本を押さえておくことで,多くの問題は解けます。

さて,この問題の正解は,選択肢5です。


5 乳児院等の児童福祉施設において,児童の早期家庭復帰や家庭復帰後の相談・養育指導,里親委託の促進等の業務を専門に担当する。

知っていれば,簡単に答えられますが,知らなければ勘で正解を選ぶことになるので,正解するのは,かなり難しい問題でしょう。

それでは,ほかの選択肢も見ていきましょう。


1 資格については,特定の資格要件はない。

もちろん,資格要件はあります。


2 各市の保健センターに配置され,主として子育てに関する相談に応じる専門職である。


家庭支援専門相談員が配置されるのは,以下の通りです。

乳児院
児童養護施設
児童心理治療施設
児童自立支援施設


3 福祉事務所の家庭児童相談室において,虐待等の家庭環境上指導の必要な家庭に対し,訪問等の方法により,児童,保護者への指導を行う。

福祉事務所の家庭児童相談室に配置されているのは,社会福祉主事と家庭相談員です。

福祉事務所は,家庭支援に関する機能が十分ではないために家庭児童相談室が設けられていますが,必ず設置しなければならないものではありません。


4 児童相談所において,里親家庭への児童の早期定着を促進する業務を行う。

家庭支援専門相談員は,児童相談所には配置されません。

児童相談所は,里親支援に関する機能が十分ではなかったために,児童福祉法の2016年改正によって,児童相談所の業務に里親支援が加わりました。


<今日の一言>

試験対策の講座の先生は,「こういったところが出そうだから,確認しておきましょう」と言います。

しかし,多くの場合,当たったり外れたりします。

10個言ったうちの1つでも当たれば,言った方も満足しますし,聞いた方も「あの先生の言ったことは当たった。あの1点のおかげで合格できた」と思うかもしれません。

確かに1点の重みはあります。
しかし,合格に必要なことは,出題基準に示された範囲をひたすら覚えていくことです。

出題範囲が広いので,ヤマを張って国試に臨んだところで,合格基準点(いわゆるボーダーライン)を超えることは難しいと考えます。

そんなに簡単に合格できる資格なら,資格の価値は下がってしまいます。

だからといって合格が難しい試験では決してありません。

地道な努力を重ねた人は,必ず報われる試験です。
運が良いだけで合格できる試験ではありません。

そのために,国家試験問題は,

勉強した人は解ける
勉強しない人は解けない

でなければなりません。

勉強した人でも解けない
勘の良い人が解ける

であってはならないのです。

試験対策の講座の先生には,「こういったところが出そうだから,確認しておきましょう」というレベルではなく,具体的に「どこをどのように気をつけて覚えたら良いか」を伝えてもらいたいものです。

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