しかし,基本的には,職務が職名になっていることが多いので,一回勉強してしまえば忘れても対応可能でしょう。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題142 次の説明に該当するCさんの職種として,正しいものを1つ選びなさい。
Cさんは,児童福祉施設に配置されており,児童相談所等と連携を取りながら子どもと保護者の関係調整,関係機関と連携しながら保護者支援を行っている。主に家庭復帰を支援し,家庭復帰後の地域での見守り体制の調整を行うほか,要支援児童・要保護児童を含み,地域における子育てに関する相談にも応じる。この職に就くことができるのは,社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者,児童養護施設等において乳幼児の養育や児童の指導に5年以上従事した者,児童福祉司となる資格を有する者,などのいずれかに該当する者とされている。
1 里親支援専門相談員
2 児童自立支援専門員
3 家庭支援専門相談員
4 主任児童委員
5 家庭相談員
このスタイルの出題は,この時が初めてです。
現在のカリキュラムになる前,新しい国家試験をどのように行うかについての検討会の報告書を見ると,毎年一定程度,新しいスタイルの問題を出題することが述べられています。
そのため,今後も様々なスタイルの出題があるでしょう。
そういった問題が出題されても決して慌てないことが大切です。
びっくりするような問題は必ず出題されます。
さて,「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」では,児童養護施設について,以下のように規定されています。
配置職員
|
児童指導員
嘱託医
保育士
個別対応職員
家庭支援専門相談員
栄養士(一定規模以上の場合)
調理員(一定規模以上の場合)
看護師(乳児が入所している場合)。
|
家庭支援専門相談員
|
社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者
児童養護施設において児童の指導に5年以上従事した者
児童福祉司の任用資格を持つ者
のいずれかに該当する者。
|
このように規定されていますが,こんなところまで覚えることはありません。
まだ里親支援専門相談員は,配置義務がありません。
里親支援専門相談員は,里親支援を行う施設に配置されます。
さて,この問題の正解は,「3 家庭支援専門相談員」です。
家庭支援専門相談員の配置
専門職名
|
家庭支援専門相談員
|
配置される機関
|
乳児院
児童養護施設
児童心理治療施設
児童自立支援施設
|
職務内容
|
児童の早期家庭復帰
退所後の支援
里親委託推進 等
|
「家庭支援専門相談員」を正しく覚えていないと焦ってしまうかもしれません。
しかし,前説に書いたように,職名と職務はつながっていることが多いので,そこから推測することができるでしょう。
こういった問題の攻略法は,とにかく落ち着くことです。
それでは,ほかの選択肢も確認してみましょう。
1 里親支援専門相談員
里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)は,乳児院と児童養護施設に配置されて,里親支援を専門的に行います。
乳児院と児童養護施設に配置される理由は,それらは「里親支援機関」とされているからです。
里親支援専門相談員の資格要件は,家庭支援専門相談員と同じです。さらには,里親養育への理解があり,ソーシャルワークの視点が持てる人とされます。
2 児童自立支援専門員
児童自立支援専門員は,児童自立支援施設に配置される職員です。児童の生活指導などを担います。
4 主任児童委員
主任児童委員は,児童委員の中から指名されて,児童委員の援助などを行います。
5 家庭相談員
家庭相談員は,福祉事務所の家庭児童相談室に配置される職員です。福祉事務所の家庭・児童にかかわる業務を担います。
<今日の一言>
国家試験では,必ずびっくりするスタイルの問題が出題される!
国家試験が終わると
今年の国家試験の出題傾向が変わった
見たことのない問題ばかりだった
という感想が聞かれます。
国家試験は,毎年少しずつスタイルを変えて出題されています。
一つとして同じ問題はありません。
しかし,過去問をみると,ドラスティックな変化は感じられないでしょう。
びっくりするスタイルの問題であっても,びっくりするのは出題された瞬間だけで,実はそれほど大きな変化ではありません。