児童手当
児童扶養手当
特別児童扶養手当
の3種類があります。
このうち,最も早くできたのは,1961(昭和36)年の児童扶養手当です。
国家試験には出題されないと思いますが,この時期に児童扶養手当が創設されたのは,1959(昭和34)年の国民年金法に関連しています。
国民年金法では,死別した母子家庭に対する拠出制の「母子年金」と無拠出制の「母子福祉年金」が創設されています。児童扶養手当は母子福祉年金の受給資格を満たさない母子に対する補完的な制度として創設されました。
母子年金と母子福祉年金は,1985(昭和60)年の法改正で,遺族基礎年金ができたときに廃止されています。
特別児童扶養手当は,1964(昭和39)年に創設されています。
創設時は,重度の知的障害児を対象とした「重度精神薄弱児扶養手当法」という名称でした。
その後,1966(昭和41)年に,身体に障害のある児童を対象に含めて「特別児童扶養手当法」となりました。
さて,今回のテーマは「児童扶養手当の徹底理解」です。
まずは,基本を確認しましょう。
児童扶養手当法
目的
|
父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため。
|
支給対象
|
父又は母と生計を同じくしていない児童。
ただし,児童が施設入所している場合は支給されない(母子がそろって母子生活支援施設を利用する場合を除く)。
|
児童の定義
|
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者。
又は20歳未満で政令で定める程度の障害の状態にある者。
|
支給の制限
|
前年の所得が一定以上ある場合は,全部又は一部を支給しない。
|
養育費との関連
|
父から養育費の支払いがあった場合は,その額を所得とみなす。
|
併給
|
父又は母の死亡について支給される公的年金給付を受けることができるときは,支給されない。ただし。公的年金額が児童扶養手当よりも低額の場合は,その差額を支給する。
|
それでは,今日の問題です。ただし,現在では,制度が変わり,あいまいになっているので,このまま出題されると不適切問題になるでしょう。
第24回・問題140 児童扶養手当に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 児童扶養手当の額の水準は,母と子ども1人の世帯の場合,全部支給と所得等に応じて細分化して定められた一部支給とからなる。
2 児童扶養手当の支給対象は,子どもが20歳に達する日以後の最初の3月31日までとなっている。
3 児童扶養手当は,児童を監護しない親からの養育費の確保が受給の要件となっている。
4 児童扶養手当は,父又は母の死亡について支給される公的年金と併せて給付を受けることができる。
5 児童扶養手当は,婚姻によらないで懐胎した子が,子の父親に認知されると手当が停止される。
この問題があいまいになっている理由は,選択肢4です。
4 児童扶養手当は,父又は母の死亡について支給される公的年金と併せて給付を受けることができる。
この問題が出題された時は,児童扶養手当は公的年金とは併給することができませんでしたが,2014(平成26)の法改正で,受給できる公的年金があってもその額が児童扶養手当よりも低額の場合は,その差額を受給できるようになったからです。
さて,この問題の正解は,選択肢1です。
1 児童扶養手当の額の水準は,母と子ども1人の世帯の場合,全部支給と所得等に応じて細分化して定められた一部支給とからなる。
前年の所得によって,全部支給と一部支給があります。
母子家庭の場合は,父からの養育費の支払いがあった場合は,養育費を所得とみなされます。
2 児童扶養手当の支給対象は,子どもが20歳に達する日以後の最初の3月31日までとなっている。
児童扶養手当は,児童が18歳に達する日以後の最初の3月31日まで支給されます。政令で定める程度の障害がある場合は,20歳未満まで支給されます。
3 児童扶養手当は,児童を監護しない親からの養育費の確保が受給の要件となっている。
児童扶養手当は,父又は母と生計を同じくしていない児童を監護する者に対して支給されます。
養育費の支払いを受けていることは受給要件にはありません。
逆に,養育費の額によっては,児童扶養手当は一部支給,あるいは全額支給停止となります。
5 児童扶養手当は,婚姻によらないで懐胎した子が,子の父親に認知されると手当が停止される。
児童扶養手当は,父又は母と生計を同じくしていない児童を監護する者に対して支給されます。
子の父親に認知されるだけでは,手当の停止はされません。停止されるのは,認知した父と生計を同じくした場合です。
<今日の一言>
社会手当は,支給対象,支給要件など覚える項目が多く,理解が面倒だと思います。
しかし,今日の問題の内容程度の基本事項を覚えておけば,十分対応可能です。
なぜなら,絶対に深掘りして出題しないからです。