出題率は決して高くはありません。
しかし,こういったものをしっかり押さえていくことは,底力をアップさせるために必要です。
特に,第32回国家試験で合格を目指すなら,第28回の国家試験は重要です。
さて,今回のテーマは,母子保健法に規定される「母子保健の向上に関する措置」です。
おさらいしておきましょう。
母子保健の向上に関する措置
(実施は市町村)
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・新生児の訪問指導
・健康診査(1歳6か月健診&3歳児健診)
・妊娠の届出
・母子健康手帳
・妊産婦の訪問指導等
・低体重児の届出
・未熟児の訪問指導
・養育医療 など
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この中で,注意すべきなのは未熟児に対する「養育医療」です。
障害者総合支援法には,自立支援医療の中に,障害児に対する「育成医療」があります。
母子保健法 → 養育医療(未熟児に対する医療)
障害者総合支援法 → 育成医療(障害児に対する医療)
その違いをしっかり押さえておきましょう。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題140 次の記述のうち,母子保健法に規定されていることとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 母子保健の向上に関する措置は,妊産婦のみを対象として規定している。
2 低体重児の届出について規定している。
3 予防接種の実施について規定している。
4 乳児家庭全戸訪問事業について規定している。
5 母子生活支援施設について規定している。
正解は,選択肢2です。
2 低体重児の届出について規定している。
母子保健法が規定する低体重児とは,体重2,500グラム未満の乳児です。
ほかの選択肢も確認していきましょう。
1 母子保健の向上に関する措置は,妊産婦のみを対象として規定している。
母子保健の向上に関する措置の対象は
・妊産婦
・乳児
・幼児
・保護者
となります。しかし,これを知らなくても「のみ」があるので,正解にはなりにくいものであると推測できるでしょう。
以下,根拠法をまとめて紹介します。
制度名称
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根拠法
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予防接種
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予防接種法
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乳児家庭全戸訪問事業
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児童福祉法
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母子生活支援施設
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ここで注意したいのは,「乳児家庭全戸訪問事業」と「新生児の訪問指導」を混同しないことです。
乳児家庭全戸訪問事業 → 児童福祉法
新生児の訪問指導 → 母子保健法
<今日の一言>
社会福祉士の国家試験は,どの法律に基づいたものなのかがよく問われます。
内容を覚えることも大事ですが,根拠法も押さえることが大切です。
母子生活支援施設も要注意です。
その名称から「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に規定されていると思いがちです。
しかし,本当は児童福祉法が根拠法です。
もう一つ覚えていてほしいのは,母子生活支援施設は,母子家庭とそれに準ずる家庭を対象していて,父子家庭は対象としていないことです。