できないワーカーは,利用者が苦情めいた言葉を発したとき,その言葉の表面をとらえた対応をします。
できるワーカーは,その言葉の背景には何があるのかを考えて対応することができます。
せっかくなら,できるワーカーになりたいものです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題103 事例を読んで,特別養護老人ホームで働くL生活相談員(社会福祉士)による利用者Mさんへの対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
〔事例〕
ある日の夕食時,一週間前に入所したばかりのMさんが,「こんな食事には,もう耐えられない」といって,食事への不満を訴えた。その場にいた介護職員がいくら勧めても,Mさんは食べようとしなかった。どうも食事のことだけではなさそうだと感じたL生活相談員は,すぐに担当の介護職員とともに,Mさんと個別面談の機会を持った。その席でMさんは,「本当は施設になんか来たくなかった。家族と一緒に暮らしたかった」と話した。
1 食事がおいしくないことをMさんにわび,我慢してほしいと頼む。
2 食事への不満を解消するために,Mさんの好物や希望する食事の内容を教えてもらう。
3 施設に早く慣れるために,Mさんには過去のことよりこれから先のことを考えてもらう。
4 すぐにMさんの家族に来所してもらい,今後についてMさんと話し合ってもらう。
5 施設での生活に対する気持ちや家族への思いを,Mさんに率直に話してもらう。
できるワーカーなら適切な対応は,すぐわかることでしょう。
正解は,選択肢です。
5 施設での生活に対する気持ちや家族への思いを,Mさんに率直に話してもらう。
これ以外は,すべてMさんの言葉の表面だけをとらえた対応です。
1 食事がおいしくないことをMさんにわび,我慢してほしいと頼む。
2 食事への不満を解消するために,Mさんの好物や希望する食事の内容を教えてもらう。
3 施設に早く慣れるために,Mさんには過去のことよりこれから先のことを考えてもらう。
4 すぐにMさんの家族に来所してもらい,今後についてMさんと話し合ってもらう。
正解とは明らかに異なります。
事例問題の正解は,このようにポイントを絞って考えると,ほかの選択肢とは明らかに異ななります。
もし,迷うようなことがあれば,別の視点で問題を読み直すことが必要です。
この問題の場合は,「本当は施設になんか来たくなかった。家族と一緒に暮らしたかった」というヒントを与えてくれていますが,現場ではこういったことを言ってくれることは,そんなにあることではありません。
この言葉がなくてもご利用者の本心には気がつきたいものです。