第22回以降の国家試験でスーパービジョンが出題されなかったのは,現時点(第33回国家試験まで)まででは,たった1回だけです。
そのたった1回は,コンサルテーションが出題されたためです。
コンサルテーションは,外部の専門家から指導・助言を受けることです。
スーパービジョンの機能には,教育的機能,支持的機能,管理的機能がありますが,コンサルテーションはこのうちの管理的機能がないところに特徴があります。
それはそうです。
コンサルテーションを行うコンサルタントは,組織の外部の人間なのですから,内部の人と異なり,管理的な側面を持つことはありません。
それでは今日の問題です。
第22回・問題110 事例を読んで,相談援助におけるコンサルテーションの機能に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
〔事 例〕
医療機関に入職して2年目のT医療相談室員(社会福祉士)は,治療について,患者と家族の意向が食い違う事例を担当していたが,板挟みの状態に陥って打開策が得られなくなった。T相談室員は,相談室長からこの事例についてコンサルテーションを受けるよう勧められた。
1 コンサルタントは,自分でこの患者に面接して,分析したいと提案した。
2 コンサルタントは,自分の助言に従い実行するようにT相談室員に指示した。
3 コンサルタントは,T相談室員の担当ケースについて責任をもつと約束した。
4 コンサルタントは,相談室員同士で事例を検討するための時間を定期的に確保するように相談室に提案した。
5 コンサルタントは,テーマと目標を自力で設定するようにT相談室員に命じた。
コンサルテーションが持つ機能は,教育的機能と支持的機能です。
その視点から考えると明確ですが,そうでなくても答えは見えていることでしょう。
それでは,解説です。
1 コンサルタントは,自分でこの患者に面接して,分析したいと提案した。
3 コンサルタントは,T相談室員の担当ケースについて責任をもつと約束した。
コンサルタントが,もし分析するのなら,コンサルタントも同席して行うライブ・スーパービジョンのようなものでしょう。
同じく,担当ケースに対して責任をもつということもありません。何せコンサルテーションには管理的機能はないのですから当然でしょう。
2 コンサルタントは,自分の助言に従い実行するようにT相談室員に指示した。
5 コンサルタントは,テーマと目標を自力で設定するようにT相談室員に命じた。
コンサルタントは,管理的機能は持ちません。
コンサルティに指示したり,命じたりする権限は持ちません。
コンサルタントの提案や助言を取り入れるか,取り入れないかは,コンサルティの判断です。
コンサルタントは,コンサルティにあくまでも指導・助言するものです。
4 コンサルタントは,相談室員同士で事例を検討するための時間を定期的に確保するように相談室に提案した。
これが正解です。
知識なしでも選べるでしょう。
なぜなら,これだけが「提案する」という柔らかめの表現となっているからです。
つまり,私たちチームfukufuku21が提唱している
あいまい表現に正解多し
です。