グループワークは,集団を用いて援助するものです。
集団を活用しないのでしたら,グループワークを行う必要がありません。
グループワーカーの器量が求められます。ケースワーク(個別援助技術)の要素とグループワーク(集団援助技術)のスキルが必要だからです。
グループワークのプロセス
プロセス |
段階 |
注意点 |
準備期 |
ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階 |
この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。 |
開始期 |
メンバーが集まって,グループワークを始める前までの段階 |
この段階には「契約」と呼ばれるワーカーの役割などをメンバーに説明する段階が含まれます。グループワークでの約束事などを確認し,援助関係をつくります。 |
作業期 |
ワーカーとメンバーが課題解決に向けて,活動を行う段階 |
この段階では,グルーブの仲間意識が生じたり,対立したりすることもあります。しかし,これらはグルーブダイナミクス(集団力学)を活用したグループワークでは重要な意味を持ちます。 |
終結期 |
グループワークを終える段階 |
振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。そのため,移行期とも言われます。 |
それでは,今日の問題です。
第22回・問題109 グループワークにおけるメンバー間の葛藤への援助者の対応に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 グループの健全な成長に向けて,メンバー同士の衝突を避け,葛藤を取り上げないようにする。
2 葛藤が生じた場合,グループ全体にかかわる課題にではなく,メンバー個々の言動に関してコメントするように促す。
3 強く意見を主張するメンバーにリーダーシップをとらせる。
4 葛藤の背後には,他者を理解しようとするエネルギーが隠れており,それを引き出してグループが成長する手助けをする。
5 解決策を見いだすためには,グループ全体の意思決定を優先させ,メンバー個人の心配事やニーズの表出を控えさせる。
グループを活用していないのは,これらです。
1 グループの健全な成長に向けて,メンバー同士の衝突を避け,葛藤を取り上げないようにする。
2 葛藤が生じた場合,グループ全体にかかわる課題にではなく,メンバー個々の言動に関してコメントするように促す。
5 解決策を見いだすためには,グループ全体の意思決定を優先させ,メンバー個人の心配事やニーズの表出を控えさせる。
これらは,すべて誤りです。
特に選択肢1の「グループの健全な成長に向けて,メンバー同士の衝突を避け,葛藤を取り上げないようにする」は最もだめです。
葛藤はとても重要です。
正解は選択肢4です。
4 葛藤の背後には,他者を理解しようとするエネルギーが隠れており,それを引き出してグループが成長する手助けをする。
これでわかるように,葛藤が重要なのは,その背後には,他者を理解しようとするエネルギーが隠れているからです。
葛藤は,クライエントが変化・成長するきっかけとなるものです。これを活用しないで何を活用する? といった感じでしょう。