福祉サービスの組織と経営は,平成19年改正で登場した科目です。
社会福祉士らしい科目だと思うのですが,苦手だと思う人が多くて残念な感じがします。
社会福祉士以外には福祉の資格では学ぶことがないだけに,しっかり学べば,職場でも差がつくと思います。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題112 特定非営利活動法人と社会福祉法人に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 特定非営利活動法人は,行政への届出の続きだけで設立できる。
2 社会福祉法人と特定非営利活動法人は,原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっている。
3 特定非営利活動法人における「理事会」と社会福祉法人の「理事会」は,業務に関して,同じ役割をもっている。
4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。
5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。
第22回国試が実施された頃がとても懐かしいです。
こんな問題が出題されるのだ,と新鮮に感じました。
今見ると,正解するのは簡単ですが,当時はどんな問題が出題されるのかがわからなかったので,とてつもなく難しかったのです。
今見ると,合格基準点が低いので,その時代に受験したかったと思う人もいるかもしれませんが,その考えは間違っています。
今は情報が多くあるので,その当時よりも格段に解きやすくなっているのです。
さて,今日の問題に話は戻りますが,内容は難しいですが,正解するのは決して難しくはありません。
なぜなら,正解は選択肢4だからです。
4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。
これが正解だとわからなくてもほかの選択肢は消去できるので,正解するのはそれほど難しくありません。
1 特定非営利活動法人は,行政への届出の続きだけで設立できる。
特定非営利活動法人の設立は,所轄庁による「認証」が必要です。
社会福祉法人・医療法人の設立は,「認可」が必要です。
2 社会福祉法人と特定非営利活動法人は,原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっている。
この条件があるのは,社会福祉法人です。
3 特定非営利活動法人における「理事会」と社会福祉法人の「理事会」は,業務に関して,同じ役割をもっている。
同じではないから,出題する意味があります。
違いは分かりますか?
特定非営利活動法人の理事会は,特定非営利活動促進法では規定がありません。
社会福祉法人の理事会は,社会福祉法で,
一 社会福祉法人の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長の選定及び解職
の業務を行うことが規定されています。
理事会よりも覚えておきたいのは,最高議決機関です。
社会福祉法人 → 評議員会
特定非営利活動法人 → 社員総会
4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。
先に書いたように,これが正解です。社会福祉法人は,さまざまな優遇があります。
5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。
社会福祉法人は,公益事業も収益事業も行うことができますが,もちろん制限があります。