2021年12月23日木曜日

福祉サービスの組織と経営

福祉サービスの組織と経営は,平成19年改正で登場した科目です。


社会福祉士らしい科目だと思うのですが,苦手だと思う人が多くて残念な感じがします。


社会福祉士以外には福祉の資格では学ぶことがないだけに,しっかり学べば,職場でも差がつくと思います。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題112 特定非営利活動法人と社会福祉法人に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 特定非営利活動法人は,行政への届出の続きだけで設立できる。

2 社会福祉法人と特定非営利活動法人は,原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっている。

3 特定非営利活動法人における「理事会」と社会福祉法人の「理事会」は,業務に関して,同じ役割をもっている。

4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。

5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。


第22回国試が実施された頃がとても懐かしいです。


こんな問題が出題されるのだ,と新鮮に感じました。


今見ると,正解するのは簡単ですが,当時はどんな問題が出題されるのかがわからなかったので,とてつもなく難しかったのです。


今見ると,合格基準点が低いので,その時代に受験したかったと思う人もいるかもしれませんが,その考えは間違っています。


今は情報が多くあるので,その当時よりも格段に解きやすくなっているのです。


さて,今日の問題に話は戻りますが,内容は難しいですが,正解するのは決して難しくはありません。


なぜなら,正解は選択肢4だからです。



4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。


これが正解だとわからなくてもほかの選択肢は消去できるので,正解するのはそれほど難しくありません。


1 特定非営利活動法人は,行政への届出の続きだけで設立できる。


特定非営利活動法人の設立は,所轄庁による「認証」が必要です。


社会福祉法人・医療法人の設立は,「認可」が必要です。


2 社会福祉法人と特定非営利活動法人は,原則として,実施する事業のために必要な資産を自ら所有することが,法人設立の条件となっている。


この条件があるのは,社会福祉法人です。


3 特定非営利活動法人における「理事会」と社会福祉法人の「理事会」は,業務に関して,同じ役割をもっている。


同じではないから,出題する意味があります。


違いは分かりますか?


特定非営利活動法人の理事会は,特定非営利活動促進法では規定がありません。


社会福祉法人の理事会は,社会福祉法で,

一 社会福祉法人の業務執行の決定

二 理事の職務の執行の監督

三 理事長の選定及び解職


の業務を行うことが規定されています。


理事会よりも覚えておきたいのは,最高議決機関です。


社会福祉法人 → 評議員会

特定非営利活動法人 → 社員総会


4 社会福祉法人は,介護サービス事業を実施する上で,特定非営利活動法人に比べ,法人税の取扱いが優遇されている。


先に書いたように,これが正解です。社会福祉法人は,さまざまな優遇があります。


5 社会福祉法人は,社会福祉事業以外の事業を実施することについて,特に制限が設けられていない。


社会福祉法人は,公益事業も収益事業も行うことができますが,もちろん制限があります。

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