今日の高齢者施策の中心は,介護保険制度ですが,社会福祉士なら,社会福祉制度である老人福祉制度は確実に覚えておきたいところです。
老人福祉法が出題されるときには,多くの場合,養護老人ホームが含まれます。
それだけ,重要視していることがよくわかるでしょう。
老人福祉法で規定される入所要件は,
65歳以上の者であって、環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難なもの
この経済的理由というのが,養護老人ホームの最大の特徴です。
歴史をひもとくとその理由がよくわかります。
救護法 → 養老院
生活保護法 → 養老施設
老人福祉法 → 養護老人ホーム
このように変遷し,現在に至ります。当初から貧困対策だったことがよくわかります。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題119 第二次世界大戦後の我が国の高齢者保健医療福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 経済的に困窮した高齢者を対象とする入所施設として,「旧生活保護法」で保護施設,「新生活保護法」では養護老人ホームが設けられた。
2 特別養護老人ホームは,高齢者への経済的援助と介護を行う施設として,老人福祉法(昭和38年)に規定された。
3 デイサービス,ショートステイサービス等は,福祉関係八法改正(平成2年)によって,それまでの措置事業から契約対象の事業に位置づけられた。
4 老人医療費の無料化は,国の制度としては老人福祉法の改正(昭和48年)により行われたが,老人保健法の制定(昭和57年)により一部自己負担が導入された。
5 「ゴールドプラン21」は,介護保険制度が始まった2000(平成12)年度から10か年計画でスタートし,サービス基盤の整備目標や今後の方向性を明らかにした。
(注)1 「旧生活保護法」とは,1946(昭和21)年に制定された生活保護法のことである。
2 「新生活保護法」とは,1950(昭和25)年に制定された生活保護法のことである。
選択肢1と2は,誤りであることがわかるでしょう。
選択肢1は前説で書いた通りです。
選択肢2は,経済的が関連するのは,養護老人ホームです。
特別養護老人ホームの入所要件は,
65歳以上の者であって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なもの
3 デイサービス,ショートステイサービス等は,福祉関係八法改正(平成2年)によって,それまでの措置事業から契約対象の事業に位置づけられた。
措置から契約に変わったのは,介護保険法(2000年施行)です。
福祉関係八法改正では,第二種社会福祉事業に規定されています。
4 老人医療費の無料化は,国の制度としては老人福祉法の改正(昭和48年)により行われたが,老人保健法の制定(昭和57年)により一部自己負担が導入された。
これが正解です。
これは極めて重要です。
確実に押さえておきたいです。
5 「ゴールドプラン21」は,介護保険制度が始まった2000(平成12)年度から10か年計画でスタートし,サービス基盤の整備目標や今後の方向性を明らかにした。
もう今はゴールドプラン等は,出題されないと思います。
しかもこんないじわるな出題されることはないでしょう。
ゴールドプラン 1989年 (10か年計画)
新ゴールドプラン 1994年 (10か年計画の後期計画)
ゴールドプラン21 1999年 (5か年計画)
年と期間の2つが間違っています。