2021年12月10日金曜日

パターナリズム

パターナリズムは,クライエントの意向とは関係なく,ワーカーが良かれと思うことに導いたり,支援したりすることをいいます。


事例問題の中によく現れますが,自己決定を原則とするソーシャルワークの対極にあるものです。


つまり不適切な対応です。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題101 ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 パターナリズムとは,援助者の権威的な立場を否定し,対等な立場を重視した援助関係のあり方のことである。

2 援助関係におけるラポールとは,クライエントが自己決定できる権利のことである。

3 援助関係における純粋性とは,援助者のクライエントに対する温かさや親しさのことである。

4 援助関係における目的志向性とは,意図的にクライエントを導くことにより,援助者の自己覚知を促進することである。

5 援助関係における受容とは,援助者がクライエントをありのままに認め,信頼し,その感情を尊重することである。


答えは,すぐわかりますね。


選択肢5です。


5 援助関係における受容とは,援助者がクライエントをありのままに認め,信頼し,その感情を尊重することである。


これ自体は難しくありませんが,ほかに難しいものがあるので,正解するのはそれほど簡単ではありません。


1 パターナリズムとは,援助者の権威的な立場を否定し,対等な立場を重視した援助関係のあり方のことである。


前説のように,これはまったく逆です。


援助者の権威的な立場で援助するのがパターナリズムです。


2 援助関係におけるラポールとは,クライエントが自己決定できる権利のことである。


ラポールは信頼関係です。


3 援助関係における純粋性とは,援助者のクライエントに対する温かさや親しさのことである。


援助関係における純粋性は,ワーカーが純粋にクライエントに向き合う姿勢のことです。


自己一致ともいいます。


ロジャースが提唱した来談者中心療法の基本姿勢の一つです。


4 援助関係における目的志向性とは,意図的にクライエントを導くことにより,援助者の自己覚知を促進することである。


目的志向性とは,意図的にクライエントを導くものですが,その目的は,クライエントの目的に合わせて導くものです。


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