パターナリズムは,クライエントの意向とは関係なく,ワーカーが良かれと思うことに導いたり,支援したりすることをいいます。
事例問題の中によく現れますが,自己決定を原則とするソーシャルワークの対極にあるものです。
つまり不適切な対応です。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題101 ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 パターナリズムとは,援助者の権威的な立場を否定し,対等な立場を重視した援助関係のあり方のことである。
2 援助関係におけるラポールとは,クライエントが自己決定できる権利のことである。
3 援助関係における純粋性とは,援助者のクライエントに対する温かさや親しさのことである。
4 援助関係における目的志向性とは,意図的にクライエントを導くことにより,援助者の自己覚知を促進することである。
5 援助関係における受容とは,援助者がクライエントをありのままに認め,信頼し,その感情を尊重することである。
答えは,すぐわかりますね。
選択肢5です。
5 援助関係における受容とは,援助者がクライエントをありのままに認め,信頼し,その感情を尊重することである。
これ自体は難しくありませんが,ほかに難しいものがあるので,正解するのはそれほど簡単ではありません。
1 パターナリズムとは,援助者の権威的な立場を否定し,対等な立場を重視した援助関係のあり方のことである。
前説のように,これはまったく逆です。
援助者の権威的な立場で援助するのがパターナリズムです。
2 援助関係におけるラポールとは,クライエントが自己決定できる権利のことである。
ラポールは信頼関係です。
3 援助関係における純粋性とは,援助者のクライエントに対する温かさや親しさのことである。
援助関係における純粋性は,ワーカーが純粋にクライエントに向き合う姿勢のことです。
自己一致ともいいます。
ロジャースが提唱した来談者中心療法の基本姿勢の一つです。
4 援助関係における目的志向性とは,意図的にクライエントを導くことにより,援助者の自己覚知を促進することである。
目的志向性とは,意図的にクライエントを導くものですが,その目的は,クライエントの目的に合わせて導くものです。