運営適正化委員会は,社会福祉法に規定され,都道府県社会福祉協議会に設置されています。
〈業務〉
・日常生活自立支援事業の福祉サービス利用援助事業の適正な運営のための助言・勧告。
・福祉サービスに対する苦情の解決のための相談等。
2番目の福祉サービスに対する福祉サービスに対する苦情の解決のための相談等は,苦情の解決のあっせんをするものであって,福祉サービス事業者への改善命令を出すようなものではありません。
改善命令などを出すことができるのは,指定権者や認可権者です。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題118 福祉サービスの適切なサービス提供体制の確保の方法と実際に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 福祉サービスにおけるサービス・マネジメントとは,ケアマネジメントやケースマネジメントの方法を示したものである。
2 社会福祉法に規定する運営適正化委員会は都道府県社会福祉協議会に設置され,福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保とともに,福祉サービスの利用者からの苦情に適切に対応するために設けられている。
3 「福祉サービス第三者評価事業」は,福祉サービスの質の向上のために,社会福祉法に規定された措置として社会福祉事業の経営者にその受審が義務づけられている。
4 福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)とは,発生した事故による利用者への損害賠償に対処するためのものである。
5 福祉サービスの事業者にもISO9001の審査を受ける団体が出てきているが,このISO9001とは,サービスを提供した結果について審査認定するものである。
知識なしで正解することはできない問題です。
しかし,正解は,選択肢2です。
2 社会福祉法に規定する運営適正化委員会は都道府県社会福祉協議会に設置され,福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保とともに,福祉サービスの利用者からの苦情に適切に対応するために設けられている。
近年の国試問題にはみられない長い文章ですが,そのおかげで,運営適正化委員会のポイントがすべて入っています。
第22回国試は,本当に貴重です。
それでは,ほかの選択肢も解説します。
1 福祉サービスにおけるサービス・マネジメントとは,ケアマネジメントやケースマネジメントの方法を示したものである。
サービス・マネジメントは,サービス提供の質管理を行うものです。
ケアマネジメント(ケースマネジメント)は,ソーシャルワークの一技法です。
3 「福祉サービス第三者評価事業」は,福祉サービスの質の向上のために,社会福祉法に規定された措置として社会福祉事業の経営者にその受審が義務づけられている。
福祉サービス第三者評価事業の受審が義務づけられているのは,児童福祉法の社会的養護の施設だけです。
質向上のために,以下のように規定されています。
社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。
4 福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)とは,発生した事故による利用者への損害賠償に対処するためのものである。
リスクマネジメントは,事故を発生させない取り組みも含みます。
5 福祉サービスの事業者にもISO9001の審査を受ける団体が出てきているが,このISO9001とは,サービスを提供した結果について審査認定するものである。
ISOには,さまざまな規格があり,そのうちの9001は,質の管理の規格です。
審査するのは,マニュアルなど,どのようにサービスを提供する仕組みがあるかどうかです。