2021年12月7日火曜日

プランニング(計画立案)について

プランニング(計画立案)は,クライエントの福祉ニーズの充足のためにあるはずなのに,国家試験では,クライエントがないがしろにするような出題があります。


そういった問題で間違った人は,たとえ合格基準点(ボーダーライン)に達していたとしても不合格にしたほうが良いのに,と強く思います。


社会福祉士には,高い倫理性が強く求められているからです。


カリキュラムの平成19年改正では,禁忌枝について検討されましたが,導入には至りませんでした。


令和元年改正では,今のところ,話題に上っていないようです。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題97 相談授助過程のプランニングに関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 プランニングは,アセスメントと援助の実施とつなぐ作業である。

2 プランニングでは,最も理想的な対策を立てることが求められる。

3 プランニングでは,利用者への援助の即効性ではなく,長期目標の達成を目指す。

4 プランニングでは,利用者が問題を抱えて動揺している場合,援助計画にクライエントを関与させない。

5 プランニングでは,利用者の要望に積極的に応えるような計画を立てる。


不思議な問題です。


正解は,選択肢1です。


1 プランニングは,アセスメントと援助の実施とつなぐ作業である。


この選択肢は,ソーシャルワークのプロセスを述べたものです。


アセスメント

 ↓  ↓

プランニング

 ↓  ↓

インターベンション


こんなことを正解にした意図がよくわかりません。



これ以外の選択肢は,プランニングはどうあるべきなのかについて記述されているのに,これだけは,どんな作業なのかを述べています。


不適切なことは述べられても,どんなプランニングが適切なのを適切に述べることは,意外に難しいことなのかもしれません。


そのほかの選択肢も解説します。


2 プランニングでは,最も理想的な対策を立てることが求められる。


一読すると正解に思う人もいるかもしれません。


しかし,プランニングは,クライエントのためにあります。


理想って何なのでしょうか。


あなたは言えますか?


プランニングに必要なことは,クライエントが抱える福祉ニーズを解決する視点です。


そしてそれは,クライエントの自己決定によってなされるものです。


ワーカー主導であってはなりません。


3 プランニングでは,利用者への援助の即効性ではなく,長期目標の達成を目指す。


プランニングには,短期目標も長期目標もあります。


4 プランニングでは,利用者が問題を抱えて動揺している場合,援助計画にクライエントを関与させない。


一読するとこれも正解だと思う人もいるかもしれません。


しかし,それはワーカーの実力不足を棚に上げた対応です。


動揺しているクライエントと一緒にプランニングすることは,クライエントに希望を与えることにもなるでしょう。


5 プランニングでは,利用者の要望に積極的に応えるような計画を立てる。


利用者の要望を聞くことは重要です。


それだけでプランニングするのではなく,専門職の視点で,潜在的な福祉ニーズを明らかにして,その対策も必要です。


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