ストレングスは,「強さ」を意味しています。
人にも環境にも「強さ」を見出すことができます。
「弱さ」は容易に見出すことができますが,「強さ」を見出すのは容易ではありません。
だからこそワーカーにとって重要です。
ポジティブでないとクライエントのストレングスを見出すことはできないでしょう。
よくよく考えてみると,いろいろなものにストレングスを見出すことができるはずです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題91 サリービー(Saleebey,D.)の唱えるストレングス視点に関する次の記述うち,正しいものを一つ選びなさい。
1 問題解決を行うためのストレングスは,個人や家族のみならず,地域の中にも見い出すことができる。
2 クライエントの希望やビジョンには,ストレングスを見い出すことができない。
3 逆境や困難な体験における苦しみは,ストレングスの形成を妨げる。
4 ストレングスを高めることと,クライエントの目に見えない潜在力の強化とは反するものである。
5 クライエントのストレングスの見極めは,ソーシャルワーカーの客観的判断に基づくものである。
サリービーという名前が出ていますが,それを意識せずとも答えは見えます。
逆にそれにとらわれては,正解できるものもできなくなってしまうので注意が必要です。
それでは,解説です。
1 問題解決を行うためのストレングスは,個人や家族のみならず,地域の中にも見い出すことができる。
これが正解です。
地域の中には,クライエントの周りの地域住民や友人も含みます。
2 クライエントの希望やビジョンには,ストレングスを見い出すことができない。
そんなことはないです。
3 逆境や困難な体験における苦しみは,ストレングスの形成を妨げる。
逆境や困難があっても,クライエントは死なないで生きています。
これこそがストレングスです。
逆境や困難を乗り越えられなければ,自殺しているかもしれません。
自殺せず,それを乗り越えてきたことは,クライエントのストレングスです。
4 ストレングスを高めることと,クライエントの目に見えない潜在力の強化とは反するものである。
ストレングスと潜在力は,同じベクトルです。
反するものではありません。
5 クライエントのストレングスの見極めは,ソーシャルワーカーの客観的判断に基づくものである。
クライエントのストレングスは,客観的にわかるものではありません。
ワーカーがクライエントとかかわっていく中で,ストレングスになっていくこともあるからです。
クライエントにかかわるワーカーもクライエントにとってのストレングスなのです。