人事考課は,今は多くの組織で取り入れられているものだと思います。
個別面談で課題を明らかにして,その課題をクリアするための目標を立てます。
あらかじめ決めておいた期間が過ぎると,また面談を行い,目標に対してどうだったのかを評価します。
しかし,評価するのは決して簡単なことではありません。
そのために大きな組織では考課者訓練を行います。
そうしないと,評価が甘くなりがちな寛大化の誤差や一部の欠点のために全体の評価が厳しくなるハロー効果などを生じてしまうためです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題115 福祉サービス提供組織における人材養成と確保に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 OJT(On-the-Job-Training)とは,教育訓練の方法の一つであり,職場を離れて行う職務教育訓練方法のことである。
2 OFF-JT(Off-the-Job-Training)とは,教育訓練の方法の一つであり,作業遂行の過程で中断・再開して行う訓練方法のことである。
3 教育訓練の方法の一つである自己啓発は,職場における上司などの直接の指導を受けながら行う能力開発の方法である。
4 人事考課における考課者の判断は,客観的な評価要素を定めて明確な定義づけを行っていれば,ハロー効果(halo effect)や寛大化の誤差(leniency error)などの影響を受けることはない。
5 ジョブ・ローテーション(job rotation)の目的の一つは,同じ仕事に長く従事することによって生じるマンネリズムを防止することである。
勉強不足の人は,当惑し混乱してしまうような問題でしょう。
それでは,解説です。
1 OJT(On-the-Job-Training)とは,教育訓練の方法の一つであり,職場を離れて行う職務教育訓練方法のことである。
2 OFF-JT(Off-the-Job-Training)とは,教育訓練の方法の一つであり,作業遂行の過程で中断・再開して行う訓練方法のことである。
この2つは,入れ替わっています。
そのため,こういったように出題してくれれば,受験生としては,2つとも消去できるのでラッキーです。
ただし,このようなことに気づくためには,ある程度の知識が必要です。
3 教育訓練の方法の一つである自己啓発は,職場における上司などの直接の指導を受けながら行う能力開発の方法である。
自己啓発を知らなくても,自己という名称から自分で行うことなのだろうという目星はつけられます。
こういったものを確実に消去できないと正解するのはかなり難しくなります。
合格する人と合格しない人の差は,実はこんなところにあるように思います。
教科書や過去問題集にあるものだけが出題されるのではあれば,記憶力の高い受験生が有利です。
現場では,知識があっても知恵のない社会福祉士を必要としていません。
そう思いませんか?
4 人事考課における考課者の判断は,客観的な評価要素を定めて明確な定義づけを行っていれば,ハロー効果(halo effect)や寛大化の誤差(leniency error)などの影響を受けることはない。
ようやくここで,今日のテーマの寛大化の誤差が登場してきました。
内容はともかく
言い切り表現に正解少なし
影響を受けることはない,という断定的表現は,だれか一人でも影響を受けることがあったら,成り立ちません。そのために言い切り表現は,正解が少なくなります。
ただし,法制度は別です。
法制度は,法の適用範囲をきっちり定めるために,言い切り表現でも正解になります。
5 ジョブ・ローテーション(job rotation)の目的の一つは,同じ仕事に長く従事することによって生じるマンネリズムを防止することである。
これが正解です。
この問題の難易度が高いのは,この選択肢をすぐ正解にはできにくいからです。
しかし,これが正解です。
だから,ほかの選択肢を消去しなければならないものは,確実に消去しないと,得点力は上がりません。
別な言い方をすれば,消去できる力があれば,得点できると言うこともできそうです。