2021年12月28日火曜日

CSとES

今回は,CS(Customer Satisfaction=顧客満足)とES(Employee Satisfaction=従業員満足)を取り上げます。


CSを上げるには,ESを上げることが必要です。


ESが上がるとCSが上がり,CSが上がるとESが上がります。


このような好循環が生まれます。


CSを高めても,ESをないがしろにするような組織は,おそらく長続きしないでしょう。


それでは今日の問題です。


第22回・問題117 サービス・マネジメントに関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。


1 ドナベディアン(Donabedian,A.)によれば,ヘルスケアの質は「結果」(outcome)で評価されるものである。

2 サービスの消費者が知覚するサービスの質は,何が提供されたのかではなく,どのようにして提供されたのかによって評価される。

3 デミング(Deming,W.E.)らが提唱した統計的品質管理手法は,製造業の品質管理に使われるものであり,サービスの品質管理に使うことはできないとされる。

4 サービスの従事者に対して,自主性と判断の自由度を与えることは,優れたサービスを提供することにつながるとされる。

5 サービス・デリバリー・システムという考え方によれば,サービスの水準はサービス従事者とサービスの消費者との二者間の関係によって決まる。


何,これ? と思うような問題です。


しかし,迷わなければ,正解にたどり着けるはずです。


別な言い方をすれば,迷うと正解にたどり着くことはできません。


答えは,今ならすぐわかりますね?


4 サービスの従事者に対して,自主性と判断の自由度を与えることは,優れたサービスを提供することにつながるとされる。


なぜこの選択肢が正解なるのかと言えば,


サービスの従事者に対して,自主性と判断の自由度を与えること → ESアップ


ESが上がると「優れたサービスを提供する」,その結果,CSが上がる


こういったプロセスとなります。


ほかの選択肢も見てみます。


1 ドナベディアン(Donabedian,A.)によれば,ヘルスケアの質は「結果」(outcome)で評価されるものである。


結果は重要でしょう。


例えば,医療では,手術の成功が大切です。


しかし,患者に評価されるのは,結果だけではなく,どのように医療が提供されたか,ということもあるでしょう。


ドナベディアンが示したヘルスケアの質


・構造

・過程

・結果


で評価されます。


構造は,配置された職員数などです。


職員数が多いからといって,質の高いサービスが提供されるかどうかはわかりませんが,少なくとも必要数に足りないような職員数では,満足なサービスの提供はできないでしょう。


過程は,サービスの提供の過程のことです。


つまり,どのように提供されたのか,が過程です。


結果が良くても,乱暴な物の言い方をするようなサービスの提供では評価は低くなります。


結果は,どのような成果があったか,です。


結果は問題文にあったように,サービスの提供には,極めて重要な要素です。


2 サービスの消費者が知覚するサービスの質は,何が提供されたのかではなく,どのようにして提供されたのかによって評価される。


サービスの質の評価は

・サービスの内容

・サービスの提供の仕方


の両方が関連します。


3 デミング(Deming,W.E.)らが提唱した統計的品質管理手法は,製造業の品質管理に使われるものであり,サービスの品質管理に使うことはできないとされる。


デミングらが提唱した統計的品質管理手法とは,PDCAサイクルのことです。


PDCAサイクルの詳しいことは,調べておいてほしいですが,サービスの品質管理にも用いられます。


5 サービス・デリバリー・システムという考え方によれば,サービスの水準はサービス従事者とサービスの消費者との二者間の関係によって決まる。


サービス・デリバリー・システムが最もよくわからないものでしょう。


おそらくもう出題されないように思いますが,簡単に言えば,サービスの提供するための仕組みだと言えるでしょう。


ネットで調べると,最も上位に表示されるのは,大阪市立大学 名誉教授の白澤政和先生の記事です。


このように一般的によく知られていないものが出題されても,正解になることはめったにあることではないので,決して慌てないことが重要です。


サービス・デリバリー・システムは,サービスを提供するための仕組みだとすれば,制度設計なども関係するでしょう。

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