DSM-5は,アメリカ精神医学会が作成した「精神疾患の診断・統計マニュアル」の第5版です。
出題頻度が高いですが,DSM-5のマニュアルを読まないとわからないような問題もあります。
どこまで勉強したらいいの? と思う人もいるでしょう。
確実に覚えておきたいのは,統合失調症と気分障害でしょう。
発達障害は,第33回国試に出題されたばかりなので,出題はしばらくないと思います。
それでは今日の問題です。
第31回・問題7 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)における「神経性やせ症/神経性無食欲症」の診断基準に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 はっきりと確認できるストレス因がある。
2 体重は標準体重以上である。
3 対人恐怖がある。
4 やせることに対する恐怖がある。
5 過食を生じるタイプもある。
統合失調症と気分障害,と言っていたのに,「まさかの神経性無食欲症?」と思う人もいるでしょう。
しかし,それほどは難しくありません。
神経性やせ症/神経性無食欲症は,いわゆる拒食症です。
古い人は,カーペンターズのカレンさんが拒食症で亡くなったことを覚えている人もいるのではないかと思います。
日本人に拒食症が広く知れ渡ったのは,この出来事であったのではないかと思います。
神経性やせ症/神経性無食欲症が,いわゆる拒食症であることがわかれば,消去法で答えは見つけ出すことができるのではないかと思います。
それでは,解説です。
1 はっきりと確認できるストレス因がある。
ストレスによる人もいるかもしれません。しかし,多くの場合,「痩せていることが美しいことだ」と思って痩せていきます。
2 体重は標準体重以上である。
食べない,あるいは食べても吐き出すといったことがあるので,体重が減っていきます。
3 対人恐怖がある。
対人恐怖はありません。
4 やせることに対する恐怖がある。
恐怖があるのは,太ることです。
5 過食を生じるタイプもある。
これが正解です。
いわゆる拒食症なのに,過食があるの? と思う人もいるでしょう。
拒食症と過食症は,一体でみられることもあります。