国家試験で何が出題されるか,誰も予測できません。
予測できるのは,せいぜい出題基準の中項目程度です。
社会で話題になっていることが出題されるから,世の中の出来事やニュースに注意しましょう,という人もいます。
そういったものも出題されることはあると思います。
現時点(2022年2月)で,最も話題になっていることと言えば何でしょうか?
新型コロナウイルス感染症でしょう。
しかし,第34回国家試験までには出題されたことはありません。
第34回国家試験で関連して出題されたのは,以下の問題です。
第34回・問題3 感染症に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 ノロウイルスの潜伏期間はおよそ14日である。
2 インフルエンザは肺炎を合併することがある。
3 肺炎はレジオネラ菌によるものが最も多い。
4 疥癬の原因はノミである。
5 肺結核の主な感染経路は飛沫感染である。
新型コロナに関連しているものと言えますが,直接的なものではありません。
正解は,選択肢2です。
2 インフルエンザは肺炎を合併することがある。
勉強せずとも正解できるものでしょう。
しかし,予測した人は,したり顔で「やっぱり感染症が出た」と言うでしょう。
本当は少しずれています。
新型コロナウイルスが直接的に出題されたのは,たった1つです。
問題126 「令和3年版高齢社会白書」(内閣府)で示された日本の高齢者の生活実態などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の就業率を年齢階級別にみると,65~69歳については,2010年(平成22年)から2020年(令和2年)までの間,継続して下落している。
2 2016年(平成28年)時点での健康寿命は,2010年(平成22年)と比べて男女共に延びている。
3 2020年(令和2年)における75歳以上の運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数を2010年(平成22年)と比較すると,およそ2倍に増加している。
4 60歳以上の人に家族以外の親しい友人がいるか尋ねたところ,「いる」と回答した割合は,日本・アメリカ・ドイツ・スウェーデンの中で,日本が最も高い。
5 60歳以上の人に新型コロナウイルス感染症の拡大により生活にどのような影響があったか尋ねたところ,「友人・知人や近所付き合いが減った」と回答した割合は,およそ1割であった。
近年の話題で,第34回に出題されたのは,
医療ケア児
ヤングケアラー
ダブルケア
8050問題
保活
です。
このうち,知識が問われたのは,以下の問題です。
第34回・問題27 新しい社会的リスクやそれへの対処に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 ニートとは,35~59歳の未婚者のうち,仕事をしておらず,ふだんずっと一人でいるか,家族しか一緒にいる人がいない者のことを指す。
2 ダブルケアとは,老老介護の増加を踏まえ,ケアを受ける人と,その人をケアする家族の双方を同時に支援することを指す。
3 保活とは,子どもを認可保育所等に入れるために保護者が行う活動であり,保育所の待機児童が多い地域で活発に行われる傾向がある。
4 8050問題とは,一般的には,80代の高齢の親と,50代の無職やひきこもり状態などにある独身の子が同居し,貧困や社会的孤立などの生活課題を抱えている状況を指す。
5 ワーキングプアとは,福祉給付の打切りを恐れ,就労を見合わせる人々のことを指す。
正解は,選択肢3と4です。
3 保活とは,子どもを認可保育所等に入れるために保護者が行う活動であり,保育所の待機児童が多い地域で活発に行われる傾向がある。
4 8050問題とは,一般的には,80代の高齢の親と,50代の無職やひきこもり状態などにある独身の子が同居し,貧困や社会的孤立などの生活課題を抱えている状況を指す。
これも決して難しくないでしょう。
特別な知識がなくても解けます。一般常識とも言えるかもしれません。
国家試験に合格するために必要なことは,出るかどうかわからないものに時間をかけることよりも,出る可能性のあるものを勉強することです。
つまり,出題基準の小項目に示されているものを確実に押さえることが欠かせません。
そうしないと,トピックを押さえたところで,点数は積み上がらないからです。
地道な勉強で必ずボーダーラインは超えます。それが今の国家試験です。