身体障害者福祉法は,福祉三法の中では最も遅く成立しています。
本当は,戦争で傷ついた人のために戦後すぐに作りたかった制度ですが,当時の日本は独立国家ではなく,GHQの支配下にありました。
そのため,身体障害者を対象とする法制度は作りにくかったのです。
福祉三法では,最後にできた理由がなんとなくわかっていただけそうですか?
そんな折,ヘレンケラーさんが日本に訪問したことが法成立を加速させました。
身体障害者福祉法が規定する身体障害には,肢体不自由だけではなく,聴覚障害,視覚障害,言語障害も含まれるのは,ヘレンケラーさんの影響は大きいです。
さらに現在では,内部障害も身体障害に含まれます。
内部障害
心臓機能障害 腎臓機能障害 呼吸器機能障害 膀胱・直腸機能障害 小腸機能障害 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV感染症) 肝臓機能障害 |
それでは今日の問題です。
第31回・問題6 障害に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 遂行機能障害は,高次脳機能障害に含まれる。
2 白血病による免疫機能障害は,身体障害者福祉法の内部障害に含まれる。
3 先天性の疾患は,聴覚障害の原因疾患に含まれない。
4 脳性麻痺は,身体障害者福祉法の肢体不自由の原因疾患に含まれない。
5 糖尿病の合併症は,視覚障害の原因疾患に含まれない。
何てへたな問題だと思います。へた具合で言えば,かなりへたです。
正解は,選択肢1か2に絞られてしまいます。
選択肢2は消去できるので正解するのは簡単ですが,選択肢3から5は誰もが消去できます。
そういった意味では,新しいカリキュラムの「社会福祉士国家試験の在り方に関する検討会」
https://www.mhlw.go.jp/content/000881634.pdf
で示しているように四者択一の問題や試験委員への研修などが必要なのは納得です。
結局この問題でも,二者択一になってしまっています。
国家試験を適切につくるのは,本当に難しいことです。
試験委員に対する研修を行うのは第37回国試以降なので,それまでは今までと同じようにほころびは生じます。とても有難いことです。
選択肢2の免疫機能障害は,白血病ではなくHIV感染症なので誤りです。
ということで,正解は選択肢1です。
1 遂行機能障害は,高次脳機能障害に含まれる。