第34回国家試験で正答率が低いと思われる問題をピックアップしました。
第34回・問題97 事例を読んで,生活困窮者を対象とした自立相談支援機関で相談に当たっているD相談支援員(社会福祉士)のこの段階における対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Eさん(45歳,女性)から相談窓口に,「毎日不安でたまらない。どうしたらよいか」という電話があり,その結果,来所面接となった。Eさんは独身で,兄弟はおらず,両親を15年前に相次いで亡くしている。高校卒業後,様々なパートタイムの勤務をしたが長続きはせず,現在は失業中である。軽度のうつ病のため通院しており,主治医からは時間をかけて治療していきましょうと言われている。両親の没後,古い家を相続して住んではいるが,一時,収入があると,物を購入することがやめられず,家中が物で溢れている。既に,手持ちの資金が底をついており,就労を考えたこともあるが,勤務先でのつらい体験が思い浮かび,何事をするにも自信が持てない。また,友人など周囲に相談できる人はほとんどおらず,孤立感を感じている。
1 生活困窮者一時生活支援事業の利用を勧める。
2 生活福祉資金貸付制度の利用を勧める。
3 債務処理に詳しい司法の専門家と連携を取る。
4 Eさんの症状を把握するため,Eさんの了解を得て,通院先の病院と連携を取る。
5 地域での孤立感を軽減するため積極的にボランティア活動へ参加することを提案する。
事例で判断が分かれそうな問題です。
問題77 行政行為の効力に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても,取り消されるまでは,その行政行為の効果は否定されない。
2 行政行為の無効確認訴訟の出訴期間は,一定期間に制限されている。
3 行政行為の効力は,国家賠償請求訴訟によっても取り消すことができる。
4 行政庁は,審査請求に対する裁決など,判決と似た効果を生ずる行政行為であっても,自ら違法であると気付いたときは,職権で取り消すことができる。
5 行政庁は,税の滞納処分など,判決を得なくても強制執行をすることができる。
この問題は,各社の見解がわかれているもののようです。
問題28 人権に関する次の事項のうち,国際条約として個別の条文に規定されるに至っていないものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 性的指向及び性自認に基づく差別の禁止
2 障害者への合理的配慮の提供
3 自己の意見を形成する能力のある児童が自由に自己の意見を表明する権利
4 同一価値労働同一賃金の原則
5 人種的憎悪や人種差別を正当化する扇動や行為を根絶するための措置
この問題は,知識で消去しきれないからです。
このような問題が出題されると勉強不足を実感しますが,しかし,それはすべての受験生も同じことです。
合格に必要なのは,誰もが解けない問題で得点することではなく,多くの人が正解できているような問題でミスしないことです。