内発的動機づけは,自分の興味などによって動機づけられるものです。
外発的動機づけは,外部からの報酬などによって動機づけられるものです。
内発的動機づけによって始めたものが,報酬などによって外発的動機づけになると,動機づけが弱まります。これをアンダーマイニング効果といいます。
また,動機づけが持続しやすいのは,外発的動機づけよりも内発的動機づけです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題8 次の記述のうち,内発的動機づけによる行動として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 観衆から拍手を受けることが楽しくて,駅前での演奏活動を毎週続けた。
2 おこづかいをもらえることが嬉しくて,玄関の掃除を毎日行った。
3 出席するたびにシールをもらえることが楽しくて,ラジオ体操に毎朝通った。
4 絵を描くことが楽しくて,時間を忘れて取り組んだ。
5 成功すれば課長に昇進できると言われ,熱心に仕事に取り組んだ。
心理学理論と心理的支援には,このようなタクソノミーⅡ型の問題がよく見られます。
タクソノミノーⅡ型の問題とは,知識があることを前提にして,一度思考することで答えを出すタイプの問題です。
知識を想起することで答えられるタクソノミーⅠ型よりも難易度が上がります。
この問題の場合は,まず内発的動機づけとは何かを想起して,各選択肢に当てはめて考えて答えを出します。
それでは解説です。
1 観衆から拍手を受けることが楽しくて,駅前での演奏活動を毎週続けた。
演奏活動を続けているのは,観衆から拍手を受けることが楽しいからです
拍手という外部からの報酬によって動機づけられているので,外発的動機づけです。
2 おこづかいをもらえることが嬉しくて,玄関の掃除を毎日行った。
玄関を掃除しているのは,おこづかいをもらえるためです。
おこづかいという外部からの報酬によって動機づけられているので,外発的動機づけです。
3 出席するたびにシールをもらえることが楽しくて,ラジオ体操に毎朝通った。
ラジオ体操に通っているのは,シールをもらえるからです。
シールという外部からの報酬によって動機づけられているので,外発的動機づけです。
4 絵を描くことが楽しくて,時間を忘れて取り組んだ。
時間を忘れて絵を描いているのは,描くことが楽しいからです。
絵を描くこと自体に興味をもっているので,内発的動機づけです。
ということで,これが正解です。
5 成功すれば課長に昇進できると言われ,熱心に仕事に取り組んだ。
熱心に仕事に取り組んでいるのは,成功すれば昇進できるからです。
昇進という外部からの報酬によって動機づけられているので,外発的動機づけです。
この問題の外発的動機づけは,報酬というポジティブなもので構成されていますが,怒られる,おこづかいをもらえない,おやつがもらえないといったネガティブなものによって動機づけられるものも外発的動機づけです。
もう一問解いてみましょう。
第23回・問題8 次の記述のうち,内発的動機に基づく行動として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 おこづかいをもらえるので,家事の手伝いをした。
2 興味を持ったので,社会保障の勉強を始めた。
3 お腹が減ったので,パンを食べた。
4 暑いので,教室の窓を開けて換気した。
5 叱られるのが嫌なので,仕方なく勉強をした。
選択肢5が叱られるのが嫌だ,というネガティブなものによって動機づけられている外発的動機づけです。
正解は,選択肢2です。
2 興味を持ったので,社会保障の勉強を始めた。
「興味を持った」とわかりやすく出題してくれています。
一応そのほかも解説します。
1 おこづかいをもらえるので,家事の手伝いをした。
家事を手伝うのは,おこづかいがもらえるからです。
つまり外発的動機づけです。
3 お腹が減ったので,パンを食べた。
4 暑いので,教室の窓を開けて換気した。
この2つは,内発的動機づけでも外発的動機づけでもありません。
マズローの欲求階層説の生理的欲求だと言えるのかもしれません。