エリクソンによる発達段階の発達課題vs危機
乳児期(0~1歳) 基本的信頼 vs 基本的不信 幼児前期(1~3歳) 自立性 vs 恥・疑惑 幼児後期(3~6歳) 自主性 vs 罪悪感 児童期(7~11歳) 勤勉性 vs 劣等感 青年期(12~20歳) 同一性獲得vs 同一性拡散 前成人期(20~30歳) 親密 vs 孤立 成人期(30~65歳) 世代性 vs 停滞 老年期(65歳以降) 統合 vs 絶望 |
青年期の同一性とは,アイデンティティのことです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題1 次の年齢のうち,エリクソン(Erikson,E.)の発達段階に関する理論にいう「アイデンティティ」が発達課題となる年齢として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 3歳
2 7歳
3 15歳
4 30歳
5 50歳
アイデンティティは青年期の発達課題であることはよく知られていますが,肝心の青年期は,何歳のことなのかわからなかった人は多かったのではないかと思います。
意外な盲点を突かれた問題のように思います。
正解は,表にあるように「3 15歳」です。
青年期は,12~20歳です。この問題が18歳くらいなら,迷うことなく青年期だと思えますが,現代の15歳はまだまだ子どもなので,青年期のイメージがありません。
18~20歳ではなく,15歳と出題するのが,珍しくいやらしい問題のように感じます。
エリクソンの発達理論は,危機介入アプローチに影響を与えた
「危機」というと自然災害などの「状況における危機」のイメージが強いですが,もう一つの危機として発達課題に対する「発達における危機」があるので,エリクソンの出題頻度が高いように思います。
せっかくなので,各アプローチに影響を与えた基礎理論等をまとめておきます。
アプローチ名 |
影響を与えた主な理論など |
心理社会的アプローチ |
精神分析理論 |
機能的アプローチ |
意志心理学(自我心理学の一派) |
問題解決アプローチ |
役割理論,コミュニケーション理論 |
課題中心アプローチ |
精神分析理論,役割理論,学習理論 |
危機介入アプローチ |
発達理論,危機理論 |
行動変容アプローチ |
学習理論 |
エンパワメントアプローチ |
ソーシャルアクション |
ナラティブアプローチ |
物語理論 |
解決志向アプローチ |
短期療法(ブリーフセラピー) |
フェミニストアプローチ |
女性主義(フェミニズム) |
実存主義アプローチ |
実存主義 |
エコロジカルアプローチ |
システム理論 |
エンパワメントアプローチ,フェミニストアプローチ,実存主義アプローチ,エコロジカルアプローチは基礎理論について問われたことはありません。