2022年9月22日木曜日

バーンアウトの主症状

 バーンアウト(燃え尽き症候群)は,1970年代にフロイデンバーガーによって提唱されました。


その後,マスラックが症状を測定する尺度(MBI)を開発しました。


それによると,バーンアウトの主症状は


情緒的消耗感(仕事を通じて,情緒的に力を出し尽くし,消耗してしまった状態)

個人的達成感の低下(「ヒューマンサービスの職務に関わる有能感,達成感が低下してしまった状態)

脱人格化(「クライエントに対する無情で,非人間的な対応)


だとされます。


バーンアウトの要因には,個人的要因と環境的要因があることが指摘されています。


個人的要因には,クライエントによりかかわろうとする姿勢があります。


ヒューマンサービスは,成果が見えづらいこともあるのかもしれません。


環境的要因には,過重労働などがあります。そのため,バーンアウトの防止には,組織ぐるみで取り組むことが求められます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題13 ストレス反応の1つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 理解と発話の両面での失語症状が生じる。

2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。

3 近時記憶の著しい低下が生じる。

4 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。

5 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。


ちょっと不思議な問題ですが,落ち着いて考えると,答えは見えます。


こういった問題は,レアケースを考えると訳がわからなくなります。


バーンアウトの症状が問われているわけですから,


「情緒的消耗感」(仕事を通じて,情緒的に力を出し尽くし,消耗してしまった状態)

「個人的達成感の低下」(「ヒューマンサービスの職務に関わる有能感,達成感が低下してしまった状態)

「脱人格化」(「クライエントに対する無情で,非人間的な対応)


にあたるものはどれかを考えることが必要です。


この3つのいずれかに当てはまりそうなのは,


2 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。


です。これは脱人格化の症状です。


もう一問です。


第30回・問題13 バーンアウト(燃え尽き症候群)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 対人援助職に生じることは少ない。

2 援助対象者一人ひとりの感情に配慮した行動をとりやすくなる。

3 極度の身体的疲労は示すが,情緒的問題は少ない。

4 個人の能力やスキル不足が主な原因であり,職場環境の影響は小さい。

5 仕事に対する個人的達成感の低下が生じる。


この問題は,第32回から比べると,問題のつくり方が下手すぎです。


バーンアウトの症状を詳しく知らなくても,答えを選べてしまうからです。


正解は,選択肢5です。


5 仕事に対する個人的達成感の低下が生じる。


個人的達成感の低下は,主症状の一つです。


ほかの選択肢は以下のとおりです。


1 対人援助職に生じることは少ない。


ヒューマンサービスにかかわる人がバーンアウトを生じやすいと言われています。


2 援助対象者一人ひとりの感情に配慮した行動をとりやすくなる。


バーンアウトでは,脱人格化を生じます。つまり援助対象者に配慮した行動ができなくなります。人を物のように感じるようになるからです。


3 極度の身体的疲労は示すが,情緒的問題は少ない。


バーンアウトでは,情緒的問題が起きます。


4 個人の能力やスキル不足が主な原因であり,職場環境の影響は小さい。


職場環境の影響が,環境的要因のことです。

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